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先生に言われて戻って来た合宿所
中に入ると、コーチたちが慌てたように動いていて

「乃愛さん!?」

「何で、ここにいる。乃愛」

「先生からこっちに行けるかって。
嫌な予感がしたの」

ハァ・・・とため息をついた徳川君に

「仕方ないでしょう」
「来てしまったものは」

そう言って来た育人先輩にあくと君

その先にいたのは、コートで
額から血を流している修ちゃんの姿

「修ちゃ・・・!?」

「近づいてはダメですよ」

「何で!?」

何で、ダメだというの!?

「今、救急車を呼んでいます。
我々もどうしてこうなったのか分かっていないんです」

え・・・?

「ですが、我々ではないということは確かです」

「ど・・・ういう」

「俺達は修二と一緒にはいなかった。ただそれだけのことだ」

修ちゃんといなかった・・・

「コーチたちも今、修二を狙った人物を探している」

「・・・っ」

ヤダ。ヤダよ・・・
修ちゃん、がここからいなくなるなんて

サイレンのなっている音が聞こえてきて
短歌に乗せられた修ちゃん。
付き添いには、育人先輩とコーチがついて行って

「心配なのはわかるが」

「乃愛」

「サブ、ちゃん・・・っ
お兄ちゃ・・・っ」

「信じてやれ。種ヶ島はここに戻って来るって」

「で、でも・・・っ」

あれだけの出血をしてたら

「大丈夫や。乃愛が心配しなさってたら
修さんも、落ち着かんよー?」

「でも・・・っ」

「大丈夫だ。乃愛。お前が信じてやれ。
ここで、お前が唯一信じている男だろう?」

「うん・・・」

信じてるから、怖いの
ここに戻ってこないんじゃないかって

「何阿あれば、君島から連絡が来るだろう。
こんなんじゃ、暫くは練習も出来んだろうな」

「・・・っ」

「諸君、全員いたんだね?
乃愛もおいで。カメラに不審人物が映っていてね」

不審人物・・・?
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