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弟君を抱えて部屋に連れて行くまーくんを見て

「お兄ちゃんなんだなぁ」

「なんじゃ、嘘だと思ってたんか」

「うん」

「ひっどいのぉ」

「ねぇ、まーくん。夕飯は?」

「あー。何かテキトーに買ってくるけぇ
心配しなさんな。あいつ等も意外と何でも食べるしのぉ」

それでも、具合の悪い子供たちであることには変わりはない

「何か作ろっか?」

「ええんか?」

「いいよ」

「冷蔵庫にあるもん使いんしゃい」

冷蔵庫の中を覗いていいというまーくんの言葉に甘えて
冷蔵庫を開くと

「何で、何もないの」

これで買ってくる気だったんだろう


「はぁ・・・」

「なんじゃ」

「何もなくてよく生活できるね?」

「俺は元々料理は嫌いじゃ」

へぇ。意外

「ちょっと、買出ししてくる」

「じゃが」

「まーくんはここにいてあげてね?
弟君たちが起きた時誰もいなかったら寂しいでしょ?」

「分かったぜよ」

カバンを持って仁王家をいったん出ると

「乃愛?」
「本当だ。乃愛だね」

「ブンちゃんに精市君?どうして?」

「仁王の様子は?」

「元気そうだよ?弟君たちの方がしんどそう」

「本当に兄弟の方が具合悪かったんだね」

「だな」

「仁王に伝えておいてくれ。明日も無理はするなってね」

「わかった」

「で?乃愛はどっか行くのか?」

「買出し。まーくん家、何もないからさ」

「なるほど」

「俺が付き合ってやるよ」

「いい・・・いいよっ」

部活で疲れてるのに、そこまでしなくても

「平気だって。どうせ家に帰っても
弟と遊ぶだけだしよ」

弟と遊ぶだけって・・・

「ま、佑太の場合、どうせ受験勉強見なくちゃ行けねぇしな」

なら、早く帰った方が・・・

「でも、そんな最初から俺も見たくないわけ。で、そこに乃愛が来て買出しだって言うから
それを手伝うだけ。いいんじゃねぇ?なぁ、幸村君」

「いいと思うよ」
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