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食堂の中に入って行った育人先輩にあくと君
「なんで」
「私が直々に話してあげよう。切原君。キミのご両親に」
「!?」
「でも、乃愛先輩が君島先輩は交渉人だって」
「私も交渉する人間は選んでいますよ。
切原君はここに残りたい。乃愛も君を立海から辞めさせたくはない。利害の一致もまた
交渉のなせる事実。まぁ、切原君を含めた
立海の皆さんは合宿所に呼ばれていますからね。
残れるには十分な事ですよ」
「「!?」」
食べている最中に再びなりだしたスマホ
画面には、オヤジと書かれていて
お父さんからなんだ。と思った
「何だよ?」
そう言った赤也君。さっきとはちょっと雰囲気も変わって
「だから!」
「切原君。私が変わりましょう」
そう言ってくれてスマホを取り上げてくれた育人先輩
「初めまして。切原君のお父様でしょうか」
流石、交渉人というだけあるのかもしれない
「切原君。君島に任せておくといいよ」
「でも」
「見てみるといい。乃愛も、安心しているだろう?それは、彼が100%に近い確率で
切原君がここに残れる交渉を君島がしてくれるからだよ」
「えぇ。彼は今テニスの合宿に来ていまして。
学校を出るということは、この合宿も途中で退去しなくてはならなくなってしまいます。
彼の、底なしの実力は私たちが開花させたいのです。
それに、ここに来ている彼は、とてもいい表情(かお)をしていますよ」
「!?」
「心配なのも分かりますが、彼は自分でここに残りたいと言っている以上は」
「分かりました。責任を持って切原君を
この合宿所でお預かりいたします」
そう言って切った電話
「はい」
「あ、どうもっす」
「切原君。家にある荷物をここに必要最低限運んでくると言い」
「!?」
「なるほど」
「どういうことだよ?」
「赤也君のお父さんは
赤也君がここにいることを条件に
日本に残ることを許してくれたんでしょ?」
「その通りだ」