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ブンちゃんたちは恐らく帰るであろうから

「生姜焼きでもいい?」

「いいんっすか!?」

「いいよ」

「わりぃな。乃愛」

そう言って来たブンちゃん

「気にしてないよ」

そんなことを話して生姜焼きに入れる
玉ねぎとピーマンを炒めた直後に

「ふざけんなよ!!」

そう言った赤也君の大きな声がここにまで聞こえてきて

「何?」

「両親だろぃ。どうせ」

そう言えば、前にも同じことを言われた気がするけど

「俺は、立海を辞める気はねぇ!」

「「!?」」

スマホを持ったまま、立ち尽くしている赤也君

「赤也」

「丸井先輩、乃愛先輩」

「親父さんなんだろぃ?」

「はい」

お父さん、か

「俺の親父、外資系の仕事してて
暫く海外に行くんっす」

「そうなんだ?でも、今のを聞いていると
赤也君は残りたいんでしょ?」

「はい」

ブンちゃんと赤也君の前にお昼ご飯を置くと

「お兄ちゃんに相談してみようか」

「え?」

「あたし達の両親も海外にいるけど
あたしもお兄ちゃんも日本にいるし」

「あ・・・」

「それなりにいい方法があるかもしれないよ?
お兄ちゃんの場合、合宿所に呼ばれてる。って
いうのを理由にして、日本(こっち)にいるし、
あたしはお兄ちゃんにべったりだったのが分かっていて離さないでいてくれたんだけどね」

「まじかよ」

「うん」

「でも、海外と言っても広いしね。
どこに行くか、まだ分かっていないんでしょ」

「そうみたいっすけど」

席を立ったあたしに

「食べてて。お兄ちゃん呼んでくる」

「でも・・」

「大丈夫」

そう言って食堂を出ると

「育人先輩にあくと君」

「大きな声がしたと思ったら、あの彼だったんだね」

「うん。なんか、親とちょっともめてるみたいでね。
あたしとお兄ちゃんと似たような気もしているけど」

「なら、対処も早い方がいい」

え?

「越智君を呼ぶ間もなく、俺達が
対処してあげよう」

「平気なの?」

「構いません。ただし、夕飯をお肉以外のものでお願いしますね」

「分かった」
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