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「上出来だ、さすがは乃愛だよ」

そう言ってくれた育人先輩

「少し休憩してから。違う教科に移ろうか」

「はぁい」

ブンちゃんと赤也君がこっち側に来て

「乃愛先輩」

「赤也君?」

「仁王先輩ってこの事」

「知ってる。帰省だって言ってあるし
間違いではないよ」

「へ?」

「マジかよぃ」

「本当だ」

すっと現れたお兄ちゃん

「え?」

「乃愛と俺の両親はな。ほとんど
日本にはいない。海外生活が長くてな。
越智の家で養女として迎え入れられているが
それをよく思っていないものがいるのも
また事実だ。だが、そんな場所に帰れば
再び氷帝の時と同じになってしまう。
だから、帰省という目的で、この合宿所に帰ってくるんだ」

「マジ・・・?」

「うん。もう、気にしてないけどね。
気にしてたら、ずっと気にしたままになっちゃうし」

「そうかよぃ」

こっちに戻って来た育人先輩達

「育人先輩・・・?」

「あくとと今話をしてきてね」

「あくと君?」

何で?

「切原君は、学年が違うようだからね。
乃愛たちがやっているものを見ていても難しいだろう?」

「だから、乃愛と丸井君を私が」
「切原君を僕が見るということにしました
乃愛。君島に何かをされそうになったら
大声で助けを呼ぶといいよ、越智君の方が
乃愛の事を見ているからね」

そう言ってくれたあくと君

「育人先輩はそんなことしないよ」

「そうか。君島」

「えぇ。では二手に分かれましょう」

それだけ言うとあくと君は赤也君を連れて
ノートを広げている赤也君を見ているだけのあくと君

「丸井君。キミの苦手教科は」

「理科と数学」

「なるほど。乃愛とは逆の様ですが、大丈夫でしょう」

逆?

「乃愛の嫌いな科目は、ほぼ文系。
丸井君の苦手科目は理数系。
大分違うのですよ」
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