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「何時まで、続くの?
この長いラリー」

あれからずっと打ち合っているこの2人

「手塚の足元をよく見てみるといいよ」

足元?

「動いて・・・ない?」

「あぁ」

「もう、出してんのかよぃ」

出してる?

「手塚ゾーン」

手塚ゾーン・・・?

「まぁ、真田だし、心配はいらないと思うけど。
真田の動いている量の半分も彼は動いていないからね」

!?

そんなに違う物なの!?

次々と技を出している真田君に対して
難なく打ち返している手塚君

「出るよ」

「え?」

「滅多に出すことはしないから、良く見ておくといいよ。
手塚の十八番(オハコ)」

十八番・・・?

「相変わらずすっげぇ」

「今の、何・・・?」

打ったボールがネット際に戻って行くなんてそんな事あり得るの?

「零式ドロップショット」

零式・・・?

「そろそろ、真田も出してくるよ」

「何・・・を?」

そんなことを思っているうちに
手塚君のラケットが弦君の打ったボールから弾かれてしまった

「今の・・・」

「はぁ~。相変わらず、すっげぇ威力だろぃ」

相変わらず?
ということは、こんなのを前にも見ているということだろう

「雷(ライ)」

「ライ?」

「雷だよ」

雷・・・かぁ

「立海の中では、出さないようにと
毛利先輩にも言われているしね」

「そうなの?」

「あぁ。あれはあまり出さない方がいいと
言われているんだ。膝にも負担がかかるしね。
選手生命、俺達も短くなんてさせたくないしさ」

そんなことを話していると

「それは手塚も同じだよ」

手塚君も?

「零式ドロップを使うということは
肘に、負担を掛けていてね」

「そう、なんだ」

「手塚がドイツに行くのは
プロになるためでもあるけど
ひじの治療にも専念できるからなんだ」

肘の治療の専念か
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