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シングルスが始まると言ったタイミングで
コートに出来た人だかり
「乃愛、記録は後でもいいから
見ているといいよ。皇帝と言われる真田の試合と、手塚の試合を」
「あ、うん」
コートの外にいても分かる。
2人の気迫ともいえるこの緊張感
「お前さんまで緊張しなさんな」
「え?」
「手、震えてるぜぃ」
「嘘」
自分の手を見ると、確かに震えていて
「気づかなかった」
「手塚と真田。互角ともいえる2人だからね。
過去の対戦は1勝1敗。後にも先にも
2試合しか、彼らはしていない」
!?
「嘘だ。それで、この緊張感が出来るものなの?」
「え?」
「「乃愛、声に出すぎじゃ(だろぃ)」」
「声に出てた?」
「あぁ」
真田君のサーブで始まったこの試合。
青学の皆にもこの緊張が伝わっているのかもしれない
「チーッス」
そんな声がして振り向いたら
「越前」
「何してるんっすか?」
「練習試合。立海とね」
「!?」