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侑君がここまで来てくれて

「力、入っとるやろ」

「だってぇ・・・」

じゃないと沈んじゃいそうなんだもん

「力抜いたほうが、ええで」

「へ?」

「その方が体が浮いてくるんややってみぃ」

力を抜くと、下にあった足が浮いてきて

「あわわっ」

侑君に掴んだ時

「し、沈まない・・・・?」

「沈まへんから大丈夫や」

そう言ってくれた侑君は
あたしの手を握ってくれて

「そのまま足をばたつかせてみぃ」

足?

ちょっとだけ動かしてみると

「あれ?進んだ」

「せやろ?」

まーくんがいる所まで
一緒に付き合ってくれた侑君

「なんじゃ、一緒におったんか」

「そりゃ、あんな遠くで浮き輪に捕まったまま止まってたら手伝うに決まっとるやろ」

「それでも、ここまで泳いだんだから
凄いじゃないか。乃愛」

「うぅ・・・」

もう、泳ぎたくない

「じゃあ、乃愛も帰って来たし
お昼にでもしようか」

そう言って外に行こうとした皆を止めて

「作ってきてるよ?」

「「マジ?」」

「マジっすか!?乃愛先輩」

「うん」

驚いているブンちゃんにまーくん、それに赤也君
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