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時計を見ると11時50分で

「随分と中途半端な時間だな」

「あぁ。まぁ、この中には人は入れないようにしているからな。
もう少しずらしても大丈夫だろう」

「なら、もう少しやるかのぉ」

そう言ってあたしをさらに奥まで引っ張っていくまーくん

「どこまで行くの」

「さて、どこまで行くかのぉ」

はい?
このプールでそれすら考えていないの?

「もー、戻ろーよ。まーくん」

「ここでええじゃろ」

止まったまーくんとあたしの方からはあのメンバーが見えにくくて

「このままでええから、足少し動かしてみんしゃい」

「足?」

「そうじゃ」

足をプラプラさせていると
ここまで泳いできたらしいブンちゃん

「もうちょい、思いっきり動かしてみ?」

「無理!」

「つーか、泳ぐ以前に、潜れんのかよぃ」

「そうじゃのぉ。飯食った後にでも試すとしようかのぉ」

「は!?」

今、試すって言った!?

「ヤダ!絶対にヤダ!」

「丸井、ちと先に行っててくれんかのぉ」

「練習させながら帰ってくんのかよぃ」

「そのつもりじゃ」

そんな会話を聞きながら
先に戻って行ったブンちゃん

「さて、もうちと練習しながら戻るとするかのぉ」

「本当に練習するの」

「当り前じゃ。
俺のいるところまで泳いで来んしゃい」

そう言って泳いで先に行ってしまったまーくん

「イジワル・・・」

足をプラプラさせながら
ゆっくり進んでいるあたしには
ある一定の場所で止まっているまーくんには
遠い場所の様で

「足が疲れた」

「また、随分と遠くまで送られたもんやなぁ乃愛」

「侑君」

「せやかて、頑張れない乃愛やないやろ」

「頑張りたいけど、怖いんだもん」

「せやなぁ。少し手伝ったるさかい。
そない、泣きそうな顔せえへんでも」

「うぅ~」
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