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そんなことを言っていると

「本当にここにいやがった」

「せやなぁ」

!?

声のする方にはがっ君と侑君の姿があって

「しっかし、浮き輪がねぇと泳げねぇとはな」

「そないなこと言うもんやないで」

やっぱり、氷帝も意地悪だ

「随分と子供(ガキ)みてぇじゃねぇか。乃愛」

「けーご君まで、そう言うこという・・・」

「いい所に来てくれたね」
「その様だ」

氷帝の3人もプールの中に入って来たと思ったら
がっ君に、浮き輪を下げられてしまい

「ひゃぁっ」

足がつかない水の中が怖いの知ってるくせに・・・っ
まーくんにしがみ付くと

「向日、それ(浮き輪)返しんしゃい」

「いやに決まってんだろ?」

「乃愛がこうなったのって一体」

「おい、岳人」

「何だよ。跡部」

「乃愛が泳げねぇのは」

「初等部の3年の時ぐらいじゃね?」

「ほぅ」

「随分と前から」

泳げないんだな。
そう言った4人

「しかし、何故乃愛は仁王に抱き着いている」

「向日の手を見てみんしゃい」

がっ君の手にはあたしが使っていた浮き輪が握られていて

「なるほど」

「それで仁王に」

とりあえず、あたしをプールから出してくれたまーくん

「何で、乃愛は泳げなくなったんだい?」

「秋月だよ。秋月玲奈。覚えてんだろ」

「あぁ。いたな。氷帝のテニス部マネージャー」

「"だった"の方な」

「それがどうしたんだい?」

「秋月の会社が越智グループに吸収されたんだよ。その年の春に。
当然、越智は何も悪いことはしていねぇ。
だがな。お嬢様育ちのあいつが
自分の会社を吸収されればどうなるか。分からねぇはずがねぇんだ」

「!?」

「高等部まで一緒だったのは」

「乃愛はそう言うことにあまり関心持ってねぇよ」

「なるほど」
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