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「乃愛」

「お父さん?」

「次、いつ帰ってこれるか分からないが
お前は、俺達の娘だ。あまり自分を追い詰めるな」

「・・・!」

「そうね。何かあったら月光の所や
アメリカに来ても構わないわ」

「うん」

アメリカまで行くことがないよう
これは思っていることしか出来ないけど

「じゃあ、今日会えてよかったよ。
お父さん、お母さん」

「あぁ」
「えぇ」

「誕生日、ありがとう」

「17歳、おめでとう」

「うん」

まーくんと手を繋ぎながら
神奈川の夜の街を歩くのも悪くはないかも

「しっかし、お前さん」

「んー?」

「そんな服も似合うんじゃな」

そんな服?

自分の服装を見て

「あ・・・」

立海の制服
実家に置いてきたままだ

「どうしたんじゃ」

「制服、家に置いてきちゃった」

「馬鹿じゃのぉ」

「うぅ」

スマホでお兄ちゃんに電話を掛けるとすぐに出てくれて

「どうした」

「お兄ちゃん、立海の制服家に置いてきちゃった」

そう言ったあたしの言葉の後
ハァというため息が聞こえてきて

「仕方がない。俺が取りに帰る。
寮の前で待って居ろ」

「うん。ありがとう」

暫くまーくんと待つこと
1時間ちょっと

「乃愛」

「お兄ちゃん」

「持ってきたぞ。仁王と一緒に待っていたのか」

「うん」

制服を受け取ると
「修二からの伝言だ」

修ちゃんからの?

「明日は、朝から出かける。とのことだ。
ここで待っているといい」

「分かった」

それを聞くと

「仁王。送っていく。乗れ」

「ええんじゃろうか」

「大丈夫だよ」

まーくんを乗せた車は静かに走り出して行ってしまった
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