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「乃愛を、アメリカに連れて行こうと思っていたのだ」

アメ、リカ・・・?
あたしを?

その言葉に固まってしまったあたしとお兄ちゃん

「それは・・・決定・・・?」

「いや。乃愛が日本で、今幸せなら連れて行く事は出来ないだろう」

そっか
お父さんたちは、あたしがもし寂しいと思ってるならって考えてくれたのかもしれない

「大丈夫。日本(こっち)にはお兄ちゃんも
立海の皆も、彼氏もいるんだもん。幸せだよ」

「彼氏だと?」

「あら。乃愛も、そんなお年頃だったのね」

「うん」

「彼氏と離したら、乃愛に嫌われそうだな。俺も」

そう言ったお父さんは苦笑いをしていて

「早くにお嫁に行っちゃいそうですね。あなた」

「あぁ」

そんな事、無いと思うけど・・・

「小さかったころは、ずっと月光だったのにな」

「・・・!」

「覚えていたのか」

「勿論だ」

「あの女の所から連れてきた初日
越智家の使用人の誰にも懐かないで
部屋の隅っこにいた乃愛が
月光を見て、抱き着いていたのを今でも鮮明に覚えている」

!?
そんなことまで覚えてたの?

「あら。一緒に氷帝の幼稚舎に通っている時だってそうだったでしょう?」

「へ?」

「そうだな。俺がテニスコートにいると分かればずっとテニスコートで見ていたな」

「覚えてたの?」

「あぁ」

だからこそ、あんなことを言っても
あたしをコートの隅からでも守ってくれるんだ
修ちゃんもそうだけど

「俺は、修二と付き合うと思っていたがな」

「な!?」

「ほう」

「そう言えば、乃愛は明日
誕生日だったわね」

「あぁ。もう17歳になるのか」

「うん」

「彼氏は、年上なの?」

「え?」

「そうだな。気になるところだ」

何で?

「月光や修二君と言えば、乃愛よりも年上だしな」

「ううん。同級生」

「あら」

「意外だな」

そんなに意外だったんだ?
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