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「そっか、ありがとう」

「??いいえ。お気になさらず」

そう言って帰っていった比呂士君。
まーくんはきっと女の人と一緒なのかもしれない
琉唯ちゃんに電話を掛けて1人でぶらぶらしてから寮に戻ると伝えて電話を切った

「あっれぇ~~~~~?」
「可愛い子、はっけぇーーん」

へ?

「きゃああっ」

後ろから掴まれる形で抑え込まれてしまったあたし

「や、ヤダヤダ!離して!」

「ヤダだって。可愛いー」

「離して。って言われて放す男なんているわけねぇじゃん」

腕を掴まれた瞬間、知らないこの男に恐怖を抱いて


助けて・・・

欲しいだなんて、あたしの我儘なんだろう

「あだっ」

え・・・?
何事かと思えば下には見慣れた
黄色いボールがあって

「どういう、こと・・・」

「乃愛!」

え・・・?


あたしを男の腕から引きはがしてくれたのは

「まー・・・くん・・・」

「心配かけさせなさんな」

「な、何で・・・」

「俺が、乃愛を1人にさせると思ったか?」

そんな質問されると思わなくて
コクンと頷いてしまったあたし

「あ・・・」

「そんなわけないじゃろ。
幸村もやぎゅーも入り口で乃愛を見たと
言う連絡を貰ったんじゃ。
じゃが、行ったら乃愛はおらんくて帰ろうとしたときに
見つけたんじゃ、乃愛の事を。連れて行かれそうになって放っておく彼氏はおらんじゃろ」

彼氏・・・
そう、思っていいの・・・?

「こんな可愛い浴衣を着てくるとは思わなかったぜよ」

「!?」

可愛い、って思ってくれたの・・?


「こんな乃愛、誰にも見せたくないのぉ。
アイツにも」

「アイツ・・・?」

「昼間一緒におった奴じゃ」

「琉唯ちゃん・・・?」
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