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寮に戻ると
浴衣に着替えさせられたあたし。

「く、苦しい・・・」

「これぐらい我慢!」

鬼ぃ・・・

琉唯ちゃんの家は、茶道をメインとしている家なので
和服の着付けもすんなりと出来てしまう。

「出来たよ」

鏡の前に立たせてくれた瑠衣ちゃん

「これが・・・あたし?」

「そうよ。他に誰がいんのよ?」

そうだけどさ・・・

「例の彼、きっと待ってるんでしょ?待ち合わせの場所で」

あ・・・

「途中まで一緒に行ってあげるから。
そんな不安な顔をしないの」

「だって・・・」

「侑士のことでも、そんなに悩まなかったり、不安な顔もしなかったくせに
例の彼には出来るのね。羨ましいわ。あの、彼が」

そう言って来た琉唯ちゃん

じゃ、行こっか」

お祭り会場に行くと、ちらほらと
人が集まり始めて来ていて

まーくんは、来てくれないかもしれない。
あの女の人がいるんだもん。
あたしなんてかないっこないや

「じゃあ、乃愛。何かあったら連絡して」

そう言って先に中に行ってしまった琉唯ちゃん

「あれ?乃愛じゃないか」

「精市君、に」

「俺の妹の茉海(マミ)って言うんだ。まだ小学生でね
1人で来させるにはちょっと怖いからさ」

「そう、なんだ」

「仁王は?」

「まだ、来てないの」

「は?」

あの仁王が見たいな顔をしている精市君

「もう少し待っても来なかったら
中にいる琉唯ちゃんと一緒に回るよ」

「そうか。例の彼女と」

「うん」

気を付けてね。そう言って妹の手をちゃんと握っている精市君は優しいお兄ちゃんなんだろう

スマホを見るとすでに夕方の5時を示しているのに
まーくんが来る気配がなくて

「あれ?乃愛さんではないですか」

「比呂士君」

「仁王君なら中にいましたけど
はぐれてしまいましたか?」

え・・・?
まーくんは1人で中にいるの?
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