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あの気まずいまま海原祭最終日。
蓮二君と精市君の計らいで今日1日フリーにしてもらっている
まーくんは、部活の方に出ている予定だ
「仁王先輩、まだ来てないんっすか!?」
「あぁ」
「ですが、家に掛けたらとっくに家は出ていると」
そう、なんだ
"勝手にせぇ"そう言われてショックを受けている自分がいて
「乃愛?」
「あ、ううんなんでも、ない」
「そうかい・・・?」
「見つけたらこちらに来るよう伝えて頂けますか?」
「あぁ」
そう返事をしている精市君と蓮二君
テニスコートを離れて教室に入ると
「仁王」
「なんじゃ、参謀に幸村」
一緒にいるあたしを視界にすら入れてはくれていない
「ふふ。"なんじゃ"じゃないだろう?今日は
仁王の登板の日だよ?早く行かないと
真田に鉄拳をくらわされるよ」
そう言った幸村君の言葉に
しぶしぶ立ち上がって
あたしなんていないかのような立ち振る舞いで
横を通り過ぎて行ったまーくん
「・・・」
「乃愛、仁王と何があった」
何か。じゃなくて何がと断定してくる蓮二君