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修ちゃんの車が止まったのは

「水族館?」

「「せや。懐かしいやろ」

うん。
とても懐かしい

「あの時も、水族館だったね」

「覚えてたんやな」

「うん」

氷帝に行くのが怖くて、合宿所に
籠り切ってたあたしを
出かけるからと連れ出してくれたのが
水族館だった

「ほな、行こか」

修ちゃんと一緒に手を繋いで中に入っていくと
凄い人込みになっていて

「はぐれんといてな」

「うん」

中学の時も、こうやって手を繋いで
水族館の中を一緒に歩いたっけ

「わぁっ」

最初に見に行くのは、決まってペンギンだ

「かわいー」

「ねぇ、修ちゃん」

「んー?」

「何で、水族館だったの?」

ペンギンを見ながら修ちゃんに
思ってることを聞いてみた

でも思ってるのとは少しだけ
違った答えだった

「せやなぁ。乃愛の誕生日だけやったら
別に、他の場所でも良かったんよ。
だけどな。俺はまだ乃愛に、編入やけど
立海に入ったお祝いしてんかったしな」

「!?」

「その祝も兼ねて、乃愛と初めて行った場所とはちゃうけど、水族館にしたんや」

「そっか。ありがとう。修ちゃん」

「ええよ。乃愛が今、幸せならそれで」
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