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まーくんや他の人たちは他の生徒たちにもみくちゃにされていて

「大丈夫だよ。柳も丸井も分かってるから」

そう言ってあたしの手を引いてくれた精市君は

「ここは・・・?」

「音楽室。昔のだけどね」

そうなんだ

階段を上がって来たのは、何も置いていない教室で

「乃愛は、仁王が好きなんだろう?」

「好き・・・だけど・・・」

まーくんはあたしを好きじゃないかもしれない

「なら、今ここで試そうか」

え・・・?

精市君の顔が近づいてきたと思ったら

「ひゃぁっ」

後ろに引かれてしかも口を手で覆われていて

「何しとるんじゃ。幸村」

「何って?」

「乃愛に」

「それは、仁王に関係ないんじゃないか?」

「何じゃと・・・!」

後ろで怒っているはずのまーくんの心臓の音がダイレクトに聞こえて来ていて

「コヤツは誰にも渡さん。例え幸村でもじゃ」

そう言って来たまーくん

「ふーん。でも、女遊びは辞められないんだろう?それじゃ、いくら何でも乃愛が可哀そうだ」

女、アソビ・・・

「何・・・?」

「仁王と氷帝の忍足が同じタイプだったら、乃愛はどっちを選ぶ?」

「あたし、あたしは・・・、あたしを好きでいてくれる人がいい」

そう答えたあたしに手を離してくれたまーくん


「勝手にせぇ」

そう言って音楽室を出て行ったまーくん

「人を束縛する癖に、自分はされるのを嫌がるんだよ。仁王は」

「・・・っ」
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