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さっきよりも味付けをちょっと薄くして
卵焼きの中に入れて、包んでいく

「お、めっちゃうまそう!」

「え!?何々!?」

赤也君の言葉に反応したジロ君とブンちゃん

他のも作って行く

「おめぇは何を食べる気だ」

「あたし?」

「あぁ」

「お握りで十分なんだけど」

そう言った瞬間

「「はぁ・・・」」

と盛大なため息が聞こえてきて

「??」

「乃愛、もうちょい食べ」

「な!?」

「そうだね。お握りだけじゃ午後からはきついかもしれないね」

そう言って来たのは精市君とまーくんで

「柳先輩も、丸井先輩も、休憩してください。俺達が変わります」

なんて声が聞こえて、こっちに来たブンちゃんと蓮二君

「お疲れ様」

「あぁ」

タッパに入っているオムそばを取って食べ始めている皆を横目に
焼きそばを焼いていくあたし

「乃愛。休憩も大事じゃ」

そう言って菜箸を取り上げられてしまったあたし

「俺が変わりますよ」

「ありがとう」

「随分と素直になったもんだな」

そう言ったけーご君

「そうだね。ここ最近だよ。
こんなに明るくなったのは」

!?

そんな所まで見てるわけ?

「氷帝にいたころよりはよっぽどいいわけだ」

「せやなぁ。乃愛を氷帝に戻そう思ってたんやけどな。これじゃ無理あらへんか」

「そうだな」

「諦めろ。氷帝」

「せやな」

タッパを片していったけーご君たち

「後でまた来る」

また来るの!?

「騒がしい奴らだ」

「本当だし」

「乃愛」

「んー?」

亮君に声を掛けられるなんて思いもしなかった

「ここにソイツ(ジロー)置いて行くから
子守り、頼んだぞ」

「え・・・」

ジロ君は確かに動く気配なさそうだけど

「頼んだぞ」

そう言ってけーご君の後を追って行ってしまった亮君

「しかし、精市。なぜ氷帝に送ったんだ」

「確かに」
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