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「どうした?」
「あ、柳君」
あまりにも遅いから出てきてくれたんだろう
「お前たちの隠し子か?」
「な訳なか。丸井の弟じゃ」
「知っている」
知っているなら聞かないでよ
「丸井なら外だろう?」
「あぁ。じぇけん、コヤツ1人にするわけにもいかん」
「なんだ。佑太は一緒ではないのか」
「あぁ」
「ならば仕方あるまい」
そう言ってスマホで電話を掛け始めてくれた柳君はスピーカーにしてくれていて
「何だよぃ、柳」
「丸井。落とし物がクラスの前にいるが」
「は?落とし物?」
「兄ちゃ・・・」
その声が聞こえたのだろう
「了太。昼に迎えに行くまでそこで待ってろぃ」
そう言って来た丸井君
「ゔん・・・」
「何時までも泣いてんじゃねぇ。男だろぃ?」
「うん」
「わりぃな。柳。そこで預かっててくれねぇか?」
「あぁ。言いだろう」
そう言って了太君を中に入れた柳君
「越智は子供の相手が得意そうだな」
「そうでもないよ?」