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「なるほど。君島さんの言っていた恐怖の対象は真田かいな」

!?
育人先輩、そんなことを言ってくれていたの・・・?

「恐怖の対象・・・だと!?」

「せや。乃愛はな、そないな大きな声が苦手なんよ」

そう言ってくれたサブちゃん
確かに大きな声は苦手だ。
あの氷帝で、最初はけーご君と樺ちゃんしか信じられなかったときに
他のレギュラー陣や準レギュラーの皆の声が大きく聞こえてからは

「見てみぃ。乃愛を」

そう言って真田君に言って来たサブちゃん

「大丈夫かい?顔色が悪いね」

「大丈夫・・・びっくりしただけだから」

「そうかい?」

ふっと笑ったサブちゃん

「大きな声が苦手だというのなら!
だったら・・・!」

「まだ、大きな声を出して恐怖で充満させて支配するって?
真田、お前それ逆の立場になっても同じことが言えるん?」

「逆の立場・・・?」

「そう。乃愛の立場になってみぃ」

「氷帝でないこと、無いこと言われて
跡部と樺地しかいなかったとき
他のレギュラーや部員たちはあの人数でや
乃愛に言葉という暴力を振っていた。それが
1人の声ならともかく数百人と言った人数でだったらどないする」

「結構な大声になるね」

「!?」

「せやろ。乃愛はそんな声を聴いて来ているからこそ
そないな大声は苦手なんよ。現に真田を名前で呼べなかったのも
乃愛にとっての恐怖の対象が真田では、呼べるはずがないやろ」

そう言ってくれたサブちゃん

「あ、そうだ。毛利先輩」

「なんや」

「乃愛が、この中だと2人、名前で言える人がいるって言われたんですが」

「2人・・・?3人とちゃう?」

「え?」

「乃愛は、言える人間が誰か分かってると言っていましたが」

「せやろうな。簡単な話や。
真田は呼べんということがもう分っとる。
仁王や切原、桑原を抜いた3人や」

「柳か柳生。俺か丸井って言うことか」

「せや」

クイッとサブちゃんのジャージを摘まんで

「言わなくちゃ、ダメ・・・?」

「こいつらがそれで納得せえへんよ?乃愛」

「言いにくいんか?」

コクンと頷くと

「そうやな。もう少し待ったり」

「え?」
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