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まーくんの後ろに隠れると

「幸村」

「何だい?」

「乃愛が隠れてしまっては何もできんぜよ」

「そうだね」

そんなことを言ってまーくんのそばから
引きはがされたあたしは

幸村君が目の前にいる状態で

「で?誰を言えるんだい?」

「言いたくない」


「ほう」

「これはまた」

だって、幸村君の笑顔がとても怖いんだもん

「毛利先輩になら乃愛も言えるだろうが」

「来てるの?」

「あぁ。今日からは暫く学校に来れるという話だが」

「精市」

「ん?なんだい?」

「乃愛はもしかしなくとも、毛利先輩には
言えるのかもしれん。ずっと一緒にいただけあって、そこそこには心を開いているかもしれん」

「あぁ。そうだね。放課後、試してみようか」

「あぁ」

放課後試してくるの・・・?

放課後、テニス部に行くと既に真田君とジャッカル君は来ていて

「もう、始めていたのかい?」

「あぁ」

よく見るけどサブちゃんの姿はどこにも見当たらなくて

「サブちゃんは・・・?」

「毛利先輩ならまだ見ていないが」

まだ、来ていないんだ?
寧ろ、今日は来て欲しくないかな

「何故に、毛利先輩を機にかけているのだ。越智」

「え・・・?」

「あの合宿所で、毛利先輩をそう呼んでから
ずっと俺達の前ではそう呼んでいるな。
同じ学校の先輩だということを忘れてはいないだろうな」

真田君に、言われたくないんだけどなぁ
そんなことを思っていたら

「おー。集まってるん?」

こういう時には必ずと行って来るサブちゃんの姿

「はい」

「毛利先輩!越智をどうにかして苗字に呼び戻さねば!」

「何をそんなに息まいとんのや。真田。
乃愛に"いつも"みたく言って良いってゆったの俺やよ?
乃愛はそれに応えとるだけやろ」

「そうですね。少なくとも教室ではサブちゃんなんて言っていませんから」

そう言ってくれた幸村君

「何!?」
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