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「まだ、悩んでんのかいな」

「侑君・・・」

心配そうな顔をしてあたしを見てくれる侑君は
いつもそうだった。中学の時から
テニス部で何かあるときも、いつも心配そうにあたしを見てくれていた

「仁王、ちょい打たへん?」

「!?」

「忍足、何考えてやがる」

「ええやろ別に。乃愛の為の打ち合いや」

あたしの・・・ため・・・?

「俺は別に構わん」

「まーくん!?」

「まーくん、ねぇ」

「似合わねぇ」

テニスコートに連れていかれたあたし。
今日は部活が休みなだけあって
いつもは煩いくらいのテニスコートがもの凄く静かだ

「ジャージ、持ってきてたんだ」

「当り前じゃ。お前さんを連れて
打ちっぱなしでも連れて行こうと思ってたんじゃからの」

!?

そんな事、考えていたの・・・?

「仁王、一球勝負でええやろ?」

「構わん」

そう言った侑君とまーくん

「乃愛」

「・・・?」

「よう、見ときんしゃい」

「へ?」

まーくんも侑君のテニスも散々見て来た
コートに入った2人を見ていると

「これは、お前を掛けた一球勝負だ。
目をそらすなよ」

そう言って帰って行ったけーご君

「あたしを、掛けたって、どういうこと・・・?」
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