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車に乗って、跡部邸に連れてきて貰ったあたし

「乃愛、お帰り」

「た、ただいま・・・」

「なんや、元気ないな」

「そうだろうな」

後から降りて来たお兄ちゃんは何とも言えない表情で

「岳人、跡部呼んで来ぃ」

「あ、あぁ」

がっ君が走っていくくらいにあたしはひどいのだろうか

慌てた様子で来てくれたけーご君

「久しぶりだな、跡部」

「はい」

「乃愛を泣かせた奴が青学に出た」

そう言ったお兄ちゃんの言葉に驚かされたけーご君たち

「不動峰中から行った橘と言う男に」

「「!?」」

「跡部、忍足。暫く乃愛が不安定になるかもしれない。あまり無理をさせるな」

「はい」
「せやな」

そう返事をしてくれた侑君たち
その返事を聞くと帰って行ってしまった

「あ・・・」

「乃愛」

「けーご君?」

「大丈夫だ。俺達も青学の聞いてた奴らも、立海のあいつ等だって
誰も乃愛が氷帝を裏切った、だなんて思ってねぇよ」

「!?」

「せやなぁ、橘も変なところで頭が固いちゅー所があるさかい。
あの男にはそう見えたんかも知れんなぁ」

「・・・」

「今日は、マネージャーの仕事はいい。
今日まで頑張って書いているからな。今日は休め」

「いい、の?」

「あぁ。こんなことでそんな嘘を言ってどうする」

アハハ

「お前の周りにいる奴らを信じてやれ」

そう言ってくれたけーご君

「あ、うん・・・」

頭に手をやって、コートの方に向かって行ってしまったけーご君

一緒にコートの方に行くと練習をしている皆の姿があって

「乃愛様。あまり日向におられると焼けてしまいますぞ」

そう言って来たのは、跡部家の筆頭執事のミカエルさんがベンチの近くに大きなパラソルを開いてくれていて

「あり、がとう、ございます」

「いいえ。景吾坊ちゃまも、氷帝のテニス部の皆様も、楽しそうで何より。
それに、乃愛様がここにいらっしゃることで、活気づいているようにも見えますよ」

そう、かなぁ?

「あとで、お飲み物をお持ちいたします」

そう言って下がって行ったミカエルさん
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