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「だから泣いて出てきたんか」

「修ちゃ・・・」

「どうせ、ウスウス気づいてたんだろ?ツキ」

「あぁ」

!?
お兄ちゃんは、気づいていたの!?

「気づかない方が可笑しいくらいに
乃愛は分かりやすいからな」

「ゔ・・・」

修ちゃんや、ここにいる人だったら
こんな思い、する事もなかったかもしれない

ずっと一緒にいてくれた修ちゃんを好きになりたかった

「しかし、乃愛がそう言う風に言う人は
中々いないですしね」

「あぁ」

「修二は"修ちゃん"奏多は"カナちゃん"」

「いや。1人だけ、いるぞ。同じ呼び方をされているのが、ここにも」

「え?」

「いますね。平等院が」

!?
「ほー・・・くん?」

「あぁ」

「同じですね」

「育人、せん、ぱい?」

「どういうことですか、と乃愛は言うよな」

「あくと君?」

「乃愛が、本当に信用している人ほど
種ヶ島や、平等院と同じ呼び名になる。ということだよ」

!?

「無理に呼ぼうとしても、呼べないのは
それはその彼を乃愛がまだ恐怖の対象か
信用していないかのどちらかでしかない」

あ・・・

そう言うこと、なんだ・・・

「そっか」

「自分でも気づいていなかったようですね」

「育人、せんぱい?」

「私の場合は、それに呼びなれている。ということでしょうから」
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