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結局買う物も買わないまま
寮へ戻って来たあたし。

確か、今日は高架下でテニスをするとは言っていた

「高架下、言って見ようかな」

再び量を出て高架下に行くと、先ほどと同じ女性が中にいて

「こんな所・・・見たくなかったよ」

これ以上ここにいると自分がみじめになってしまう。
それだけ、まーくんが好きになってたんだ・・・

高架下の道路を隔てていつも通りの道に出ようとしたときだった

「乃愛!」

「!?」

がしっと掴まれた腕はまーくんに捕まれていて


「え?」

「え?じゃなか。見に来たんじゃったら
普通に入ってくればええじゃろ」

!?
気づいて・・・くれてたの?


「ううん。ちょっと近くに用事があっただけだから」

「そんな、嘘は俺には通じんぜよ、乃愛」

何で?

「で?用事は」

「まだ・・・」

「ほうか」

それだけ言うと

「まだ、時間あるんじゃろ?」

「??うん」

「なら少しテニスを見てけば良いナリ」

「!?でも・・・邪魔だと思われているのに、なんで、あたしにそんな優しくしてくれるの」

「そんなん決まっとるじゃろ、
同じ立海のマネージャーだからじゃ」

そう言ったまーくんの言葉に
固まってしまったあたし

「ごめん。暫く1人になりたい」

「そうか」

高架下から離れて
普段の買い物を済ませたあたしは
寮に戻って来るなり、疲れ果てて
眠ってしまった
頭に浮かぶのは、まーくんの顔と言葉で

「あんな現場、見なければ良かった」

そう思わせるのに、乃愛には十分なダメージで

だけど、まだ、乃愛はこの気持ちに何も答えられずにいて

この気持ちが恋だと、気づくのに
そう時間がかからない事も
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