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「あーん?幸村じゃねぇのかよ?」
「この試合に幸村は出ん」
そう言い切った弦ちゃん
「弦ちゃん。乃愛が怖がるぜよ」
そう言ったまーくんの言葉に
噴出している丸井君と赤也君
「仁王。貴様、その言い方は辞めんか!」
「ほぉ」
「余程」
「乃愛にそう言われるのが嫌と見える」
柳君にそう言われてあたしの方を見たけど
弦ちゃんが怖くて、隣に来たまーくんの後ろに隠れてしまった
「なぬ!?」
「ほらの?」
「おい、試合を始めるぞ」
そう言った跡部君の方を向いた弦ちゃんは
普段と何ら変わらない表情でコートに立っていて
跡部君からのサーブで始めたこの試合。
「さて、キングと皇帝。どっちが強いかな」
キング?
皇帝?
「真田」
皆がそう言っているけど
跡部君の実力も想像以上かもしれない
いろんな技を出してくるのに
全部返していく跡部君に弦ちゃん
「3-3」
あっという間に3ポイントずつ取っているこの2人の原動力は一体何なんだろう
お互い一歩も譲らないままタイブレークまでもつれ込んでしまった
「あの真田が」
「ここまで追いつめられるとはのぉ」
「俺も跡部とやった時、タイブレークまで持ってこさせられたね」
!?
「持ってこさせられた?」
「あぁ。跡部は、タイブレークを得意としているからね」
そうだ。跡部君は、タイブレークを得意としていたんだっけ
「3942-3940.ゲームセット!
氷帝学園跡部。7-6」
「ちっ」
「そんな・・・」
立海が連続で負けるなんて
こんなこと、今まで見たことがない
「いい試合が出来た。跡部」
「あぁ。俺もだ」
そう言っているのが聞こえた
「けーご、くん」
「!?」
「ようやくその呼び名に戻しやがったか。乃愛」
「え?」
「無意識の様だね。跡部」
「その様だ。だが、もう苗字呼びは
俺も忍足も許さねぇぞ」
「!?」
氷帝サイドに戻ったけーご君