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「ほな、行くで」

そう言った侑君のサーブで始まったこのゲーム

スピードも、テクニックも謙也君に負けず劣らずなまーくん
それでも、1ゲーム取られてしまった

「なぁ、仁王」

「なんじゃき」

「掛け。せえへん?」

「掛け、じゃと?
お前さんは何を掛けるんじゃ」

「決まっとるやろ。乃愛や」

!?

あたし?
ぴくっと反応したまーくん

「なら、負けられんのぉ」

え?

「俺だけじゃないじゃき。乃愛を狙ってるのは」

「え?は?え?
どう言うこと・・・?」

「お前、仁王の気持ちにも気づいてなかったのかよ」

「うわ、におー先輩悲しいっすね」

その言葉はまーくんに届くことはなくて

「仁王の真骨頂が見られるかもしれんな」

「え?」

「アイツのデータは、俺達ですら取れていない。唯一の男だ」

!?

「アイツがどんな技を出すかもわからない」

そんなの・・・

「だが、ペテン師でもあるしなアイツは」

そう言った柳君

「うん」

「何だ・・いまの・・・」

「え?」

「何が起きた」

「分からない」

だけど、まーくんの打った打球が
高い位置から、コートに戻ってきたのも事実で

「ロブ?」

ニヤリと笑ったまーくん

メテオドライブ

「えらい技を隠し持って居ったもんやな」

「ええじゃろ?この技を出したんは、中学の全国以来じゃがのぉ」

中学、以来・・・?

「出したか?あんなの」

「いや」

「出していましたね。確かに。
あの青学戦で」

そう言った柳生君の言葉に

「あれより、威力が上がってねぇっすか!?」

「上がってるな。同じ技だというのなら」

??

「乃愛は分かっていないようだけどね」

「そうだな。見に来ていないのなら分からないかもしれないな」

「うん。初めて見た」

練習でも、あんなの見たことがない

2ポイント連取したまーくんと1ポイントのままの侑君

どっちが勝っても、どっちが負けても可笑しくないこの試合

「乃愛」

「サブちゃん?」

「もうちょい力抜いて見とったらええよ」
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