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「視察?」
「えぇ。1度日本基地の視察に行って来ようと思ってね」
「平気か?」
「平気じゃなかったら困るでしょ?」
「それもそうだ」
「何事もないといいのですけれど、お気をつけて」
「ありがとうラクス」
そんな話をした翌日にオーブを出たあたしは日本へ降り立っていて
「あっつ」
これじゃ、オーブの方がまだ全然ましだ。なんて思いながらもオーブの日本基地の方に行くと
「え?マジ?今そこに入るの危険だよ?」
そう言って来たのはチャラそうな男の人
「あー…平気ですよ」
「え?」
「何が平気なんだ。ここは」
「この基地はオーブの基地だからですよ」
「何?」
「オーブであたしに銃を向けるという事は、反逆罪になりかねますので」
「「はぁ!?」」
驚いている男の人達2人を放って基地の中に入ると
「ユキ様」
「お見えになるのでしたらご連絡くれればお迎えに上がったのに」
「そう言ってさぼろうとしていない?」
「そんな事無いですよ!」
なんてワタワタしているオーブ軍の人たちを見ているのも面白いけど
「大丈夫よ。今日はどこまで進んでいるのかの視察だし、あたしもどこに何があるのかを知りたくて歩いてきただけだから」
「ですが!」
「大丈夫よ。そんな軟な育て方をあたしはされていないわ」
「確かに」そう言ったオーブの基地の人間たち
基地の方は大分良さそう
「さて、そろそろ本題」
「本題…ですか」
「えぇ」
この基地には地下水を潜り抜けるパッチもあるから何かあっても問題はないわね」
「はい」
「この基地にモビルスーツとモビルアーマーを常備したいの」
「それなりの規模になると思いますが」
「仕方が無いでしょう?何かあってからでは遅いの。ここに合位置することは既に決定している」
基地から出ると、先ほどの男の人2人と知らない顔が1、2、3
「ざっと見5~6人って所かしら」
「!!」
「なんでそれが分かった」
「そりゃ、嫌でも分かるでしょ」
「!?」
ピリリと鳴ったあたしのスマホには『カガリ』の文字。何かあったのか?
「ちょっと失礼」
「あ?あぁ」
平然と電話に出たあたし
「悪いな視察中」
「いや、それはもう終わったから良いのだけれど、何か進展でもあった?」
「いや、なんの進展もない」
「それは残念」
「って思ってないだろ。その言い方」
「いいえ、思っているわよ?いい加減、返してもらわなくちゃいけないものも向こうは持っているわけだもの」
「そうだよな」
なんて能天気な言い方をしているカガリ
「全く、またいつか狙われるわよ?」
「それは勘弁。だが視察が終わったという事は」
「すぐに帰る。それと、こっちの基地にいくつか置いておきたいから」
「分かっている」
さっすがカガリ
「適当に持って行けばいい」
「助かる」
「気を付けて戻って来いよ」
「あたしが道中そう簡単に狙われるとでも?」
「おもっちゃいない」
でしょーね
「が用心に越したことはないぞ」
「分かってる。じゃあこれから帰るから切るわね」
「あぁ」
電話を切ったあたしに
「よく分からない会話だったな」
「あぁ」
「分からない方が身の為なのでは?」
「何?」
「こんな平和な国がそうそうある訳じゃない」
「何?」
「まぁいつ、どこで突然平和じゃなくなるかもしれない。それだけは忘れない事ね」
男の人達の横を潜り抜けて歩いていると
「待て」
「なんですか」
背後から来た男の人2人はいかにも怪しそうな出で立ちの顔をしている
「また変なのが出た…」
これならほんっとうにオーブに居た方が良かった
「変質者を見たような言い方だな」
「事実でしょう?」
正々堂々と前から狙って来る当たりはいいかも知れないけどね?さすがに男2人を相手にするのは…
「しま…っ」
ニヤリと笑った男たちは勝ったと思いこんだのだろう。でも残念
男の人の懐から銃を抜き取ると、男の人に突き付けたあたし
「いつの間に」
「おいおいマジかよ」
「あれでも公安の人間だぜ?」
コウアン…ね
ポイと投げ返すと
「銃を投げ渡すな!」
「リボルバーは轢いていないわよ」
「何?」
銃を確認すると
「あ、本当だ。彼女の言っていることは正しいようだよ?」
「ちっよく銃を抜き取ることが出来たな」
「まぁそれなりの訓練は受けているので」
「「訓練?」」
「お前、年は」
「そう言えば自己紹介がまだでしたね。こちらの国籍では降谷夢姫といいます」
「こっちの?もう1つあるみたいだな」
「えぇ。もう1つ、あたし的にはこっちの方が馴染みが大きいので」
「どういう」
「オーブ連合首長国、ユキ・リリー・アスハと申します」
「「!?」」
「そして、アスハ家の人間でありながら軍人でもあります」
「な!?」
「来年、また此方に来ますので、その時には此方での性でお呼びくださいませ」
お辞儀をして空港からオーブへ帰ると
「まだ、戦争が続いていると言うのにね」
「全くだ」
そう。今あの戦争の直後から言われている時代に入ってしまったのだ。
『薄氷の平和の時代』、『次なる狂騒への休憩時間』だと
「何も知らない方が幸せな事もあるって言うのにね」
「え?」
「どうかしたのかい?」
「ううん、なんでもない」
「ならいいけど」
「ちょっと、行政府に寄ってくれる?」
「珍しいな」
「視察結果の報告よ」
「あぁ」と言って来た2人は納得したかのように行政府に止まってくれて
あっという間についてしまえば。「じゃあここで待って居るわね」
「ありがとう」
そんな言葉を残して行政府の中に入ると
「ユキ様」
「カガリ様は」
「面談中?」
「はい」
そんな事を話しながら「執務室で待つわ」とだけ伝えると「助かります」と言われていて
オーブは、理念さえ守ればだれでも居住できる国。ナチュラルだろうと、コーディネーターだろうと関係ない国の1つだ。
==
1年後
「本当に行くんだな」
「えぇ」
既に日本基地にはあたしの荷物が送られている。そしてラクスにはあたしから託した鍵がある
「何も無いといいのだけれど」
「私もそう思う」
「でも何事も無いから、今のこの世界があると思うの。あの時の様な思いをするのは、もう御免だわ」
「そうだな。お前の場合、トダカにもあっていくんだろう?」
「えぇ。トダカはあたしをこのオーブで拾ってくれて、お父様に出会わせてくれた恩人だもの。でなきゃ今頃あたしもキラ達とも出会っていなかったでしょ?」
「それもそうだな」
その日のうちにトダカにい会いに行くと
「珍しいな。今日は軍服じゃないのか」
「オーブにいる間、今日からはしばらくオフにしてくれたのカガリが」
「珍しい事もあるものだ」
「そうだね。あたし、日本基地に行くことになったからその報告に」
「そうか、オーブを離れるのか」
「はい。あの時…12年前にこのオーブに1人でいる所を保護してくれて、お父様であるウズミ様に出会わせてくれたトダカに会わないで行ってしまったら『親不孝者の娘』になってしまうでしょう?」
あたしが12年前にオーブで拾われたことを知って居るのはこのオーブ軍では数少ない
「そうか。それで」
「うん。だからトダカ…お父さんも元気で」
「あぁ」
お辞儀をして基地から出ると、取り合えず一通りの挨拶は済んでいる。後は
「カグヤか」
あまり…というかほぼいい思い出なんてないのだけれど
カグヤのマスドライバー施設…に
アスハ家に戻ると
「なんだか疲れてないか?」
「そんな事は無いけど、明日はカグヤの方に挨拶に行こうと思ってね」
「そうか」
あそこには、2年前の戦争の時に責任を負って亡くなったお父様たちの遺影がある
「あの時以上に泣く時なんて来て欲しくないわ」
「同感だ」
翌朝カガリたちも起きていない時間に起きてアスハ家を出ると
「何もこんな朝早くに出なくてもいいんじゃないか?」
「行き先は言ってあるわよ?カグヤのマスドライバー施設だと」
「そのままお前、オーブを出るつもりじゃないだろうな?」
「まさか。そこまで薄情な人間になった覚えはないわよ?お父様の娘として、カガリの妹として軍人として。いつ帰って来れるか分からない。だから会いに行ける時に会っておこうって思ってトダカにもキラやラクス、マリューさんたちにも会ってきた。今日、カグヤに行ったら残りの仕事を終わらせてから出立よ」
「随分とハードだな」
「いいのよ。あのプラントから来た孤児たちの出自をオーブに変えるだけの作業だからそう時間はかからないとは思うけど。どうやらキラはラクスやバルドフェルド隊長たちとプラントへ行くつもりのようだし。そしたらキラはザフトに入隊してエターナルかしら」
「だろうな」
クスクスと笑っていると
「そろそろカガリが起きて来ちゃうわね。あたしのkとを聞かれたら「カグヤに行った」と伝えてくれて構わないわ。そこに行くことに嘘はないもの」
「分かった」
あらゆる交通手段を使ってカグヤのマスドライバー施設に行くとひときわデカい集団のお墓があって
そこにお花をささげると
「ごめんなさい、お父様。ここに来るのに2年もかかってしまった親不孝者の娘を許して?
でも、これでやっと会うべく人たちにはあって来たし、明日は子供たちの出自をオーブに変更してちょっとでも子供たちが平和に暮らせるようにしなくちゃいけないから、家も探してあげなくちゃ行けなかったりするけど、それが落ち着いたら今度はあたしが日本基地に行かなくちゃいけないの…」
きっと今の自分が震えているのがお父様が生きていたらきっとわかってしまうだろう。ポタポタと流れる涙を止めてくれるお父様はもういない
「あの時お父様が行って欲しいと言ったとき、あんなに強がったのに今更になって行きたくないだなんて言ったら、きっとお父様は怒るでしょう?だからあたしの我儘を聞いてほしくて来ちゃったの。日本に行くあたしの背中を押してほしくて最後にここにしたの…来たかった場所。でも来たくもなかった。ここには寂しい思いでしか残っていない場所だから」
そう言った矢先、力強い風が吹いてきて『私はいつでもお前とカガリの傍にいる』とお父様の声が聞こえたような気がした
カグヤを出てアスハ家に戻ると
「なんでお前泣いた後が…」
「泣かされたわけじゃないわ」
「え?」
「お墓参りして、愚痴をこぼして来た。その時に出ちゃったのよ」
あぁ、と言ったカガリは納得しているようで
「だが本当に帰って来たな」
「当然でしょ?まだやる事があるもの」
「やること?」
「子供たちの出自をオーブに変更するの」
「それと同時に子供たちとヤマト一家、ラクスたちも住める場所を探しておかなくちゃいけないから」
「そうだな」
「日本に行くときにはちゃんとカガリにも声をかけるわよ。よっぽどのことが無ければね」
「あぁ」
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