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オーブ内
戦争情勢が悪化している中、あたしは離脱してきたアークエンジェルの内部にいた。
「それが作戦だったんですか?」
「恐らくは」
「私たちには何も知らされなかったわ」
「同じ連合なら、何か知らされても可笑しくは無いと思うけれど、知らされなかったという事は」
「多分な。本部はザフトの攻撃目標がアラスカだって事知ってたんだろうさ。それもかなり以前から。でなきゃ地下にサイクロプスなんて仕掛け出来るわけがない」
「でしょうね」
キラの方を見ると何か思い当たるふしがあるようで
「プラントも同じだ」
「え?」
「それでアークエンジェル…マリューさんたちはこれからどうするんですか」
「どうって…」
「Nジャマーと磁場の影響で今の所通信は全く」
「応急処置をして自力でパナマまで行くんですか?」
「それこそ限度があるわ」
「歓迎してくれんのかねぇ。色々知っちゃってる俺達を」
「命令なく戦列を離れた本艦は敵前逃亡艦。という事になるんでしょうね」
「原隊に復帰しても軍法会議か」
「また罪状が追加されるわけね」
「なんだか何のために戦っているのか分からなくなってくるわ」
「では」
「ん?」あたしの言葉に顔をあげたクルーたち
「あたしのお父様にお会いになりますか?ラミアス艦長」
「お父様?」
「キミのか」
「えぇ。情勢が情勢故なので、会える人数も限られてしまいますが。お会いすると言うのならあたしから直接お父様にコンタクトを取ることも可能です。連合に戻るも戻らないも貴方方次第。考えがまとまったらおしえてください」
「お嬢ちゃんは」
「はい?」
「なんでそんなに」
「なんで?それは貴方方もよくお判りでしょう?」
「え?」
「カガリを助けてくれて、あたしもまた貴方方と同じ人間だからですよ」
「どういう事だ」
そのままの意味だと言わんばかりにこの話を途切れさせたあたし
「取り合えず、オーブのオノゴロに行きましょう」
「えぇ」
すぐに連絡を取ると先導してくれるとのこと
「前の小型機の後について行ってください」
「え?」
「あれは、オーブの人間。大丈夫です、我々の味方ですから」
「分かったわ」
オノゴロに入ると
「キラ!ユキ!」
「あっ」
「カガリ…」
あたしと一緒に歩いていたキラも止まる羽目になり、吉良に飛びついたカガリの衝撃と同時に後ろに倒れこんだキラに泣きながら
「このバカ!!」
「うぅ…」と声を出しているキラに
「お前…お前!死んだと思ってたぞ!この野郎!」
「ごめん」
「カガリ、降りてあげて。来ているんでしょう?お父様も」
「あぁ」
オーブのアスハ代表があたしの義父であることはオーブの住人なら知って居ることだ。それは当然キラやミリアリアも当然知って居ることで
「ホントに生きてるんだな?」
「生きてるよ。戻ってきたんだ」
「話したいこともあるのは分かるけど、ブリッジに行きましょ?お父様の所に行かなくちゃ」
「あぁ」
ブリッジに行くとお父様も入って来ていて
「よく無事でいてくれたユキ」
「ん?」
「お父様こそ。カガリの元気過ぎるくらい元気な姿も見れて安心しました」
「それは良かった。お前から連絡が来た時はどうなるかと思ったが」
「ふふ。だってなくすにはもったいないクルーや艦長たちなんですもの」
「お前がそう言うのなら間違いは無いんだろう」
お父様がラミアス艦長たちの方を見ている中
「わたくし共の勝手なお願い受け入れて下さってありがとうございます」
「事が事ゆえ、クルーの方々にはまた暫く不自由を強いるがそれはご了解いただきたい。ともあれゆっくりと休むことは出来よう」
「ありがとうございます」
「地球軍本部壊滅の報から、再び世界は大きく動こうとしている。一休みされたらその辺りの事もお話ししよう」
クルーの方を見たおとう様は
「見て聞き、それからゆっくりと考えられるがよかろう。貴殿らの着ているその軍服の意味もな」
あたしはお父様と一緒に行政府の面会室に行くことになり、時間までは行政府でやらなくちゃいけない仕事を片付けていると
「ユキ」
「お父様?」
「お前には、大事な話をしておこう」
大事な話?
「お前を保護して、私の娘として育てて早10年」
「早いですね」
「あの時のお前はまだ小さく、カガリにはあってユキにはないと可哀そうだと話をしてお前にも、リリーというミドルネームを付けた」
「確かにそう言っていましたね」
「あの当時、お前の服にはコレがつけられていた」
お父様の手に握られていたもの
「これは?」
「恐らくお前の元々の国籍のものだろう」
あたしの元々の国籍…
「この使い方をするのは日本という戦争のない国だ」
「そんな国があるのですね」
「あぁ。カガリには行政府を、ユキには軍人として今後もこのオーブを任せて行きたいと父は願っているが」
「今のあたしやカガリでは不十分だと思っています」
「そうだな」
手渡された名前を調べることは十分できることだ
「落ち着いたら調べてみます」
「あぁ。それと」
それと?
「おそらく、このオーブも戦場になる」
「!!」
「お前たちには過酷な選択をさせるかもしれんがその時はしっかりと戦艦に乗ってくれ。この父を捨ててでも」
「何…おっしゃってるのですか!あたしやカガリがお父様を見捨てるなんて事!」
「そうなってしまうと思ったからこそ、さきにお前には話したのだ」
「…っ」
いやだと言ってしまいたい。お父様にも脱出してもらってこの先も指揮を執ってもらいたい。そう思ってしまうのは娘の我儘なのだろうか
「そろそろ時間だ」そう言ったお父様と一緒に行政府の面会室に入ると
「サイクロプス?しかし、いくら敵の情報の漏洩があったとて、その様な策常軌を逸しているとしか思えん」
「ですが、アラスカは確かにそれでザフト攻撃軍の8割の戦力を失いました」
あれで8割…
「立案者に都合がいい犠牲の上に机の上の冷たい計算だと思われますが」
「それでこれか」
そうモニターに出してきた映像は
「守備隊は最後の一兵まで勇敢に戦った!我々はこのジョシュア崩壊の日を大いなる悲しみと共に歴史に刻まなければならない。が我らは決して屈しない我々が生きる平和な大地を安全な空を奪う権利は一体、コーディネーターのどこにあると言うのだ。この犠牲は大きい。が、我々はそれを乗り越え立ち向かわなければならない。地球の安全と平和、そして未来を守るために、今こそ力を結集させ、思いあがったコーディネーターらと戦うのだ!」
モニターを消したお父様に
「分かっちゃいるけど、たまらんね」
「大西洋連邦は中立の立場をとる国々へも、一層強い圧力をかけて来ています」
「え?」
「連合軍として参戦せぬ場合は敵対国とみなす、とまでな」
「それは勿論オーブも例外ではない様です」
「奴等はオーブの力が欲しいのさ」
「でしょうね」
オーブの力はオーブの理念にあると言ってもいい
「ご存じの事と思うが、我が国はコーディネーターを拒否しない。オーブの理念と法を守る者ならば、誰でも入国、居住を許可する数少ない国だ。遺伝子操作区の是非の問題ではない。ただコーディネーターだからナチュラルだからとお互いを見る。そんな思想こそが、一層のあつれきを生むと考えるからだ」
カガリと吉良がお互いに見つめ合って居る中
「カガリとユキがナチュラルなのも、キラ君がコーディネーターなのも、当の自分にはどうする事も出来ぬ。ただの事実でしかなかろう」
すっとんきょんな顔をしたカガリと平然としているキラ
「そうですね」
「なのに、コーディネーター全てをただ悪として敵として攻撃させようとするような大西洋連邦のやり方に、わたしは同調することは出来ん。一体誰と誰がなんの為に戦っているのだ」
「しかし仰ることは分かりますが、失礼ですがそれはただの理想論に過ぎないのではありませんか?それが理想とは思っていてもやはりコーディネーターはナチュラルを見下すし、ナチュラルはコーディネーターを妬みます。それが現実です」
「分かっておる。無論我が国とて全てが上手く行っているわけではない」
椅子から立ち上がったお父様は
「が、だからと諦めてはやがて我らは本当にお互いを滅ぼし合うしかなくなるぞ。そうなってから悔やんだとてすでに遅い」
「それとも!」そう言って振り返ったお父様は
「それが世界と言うのならば黙って従うか?どの道を選ぶも君たちの自由だ。その軍服を裏切れないと言うのであれば手を尽くそう。君らは若く力もある。見極められよ。真に望む未来をな。まだ時間はあろう」
「ウズミ様はどう思ってらっしゃるんですか?」
キラのその眼はきっとこの先の事も見据えているのかもしれない
「ただ剣を飾っておける状況ではなくなった。そう思っておる」
再びザフトの攻撃がパナマで始まってしまった
「ユキ」
「お父様」
「お前はどうしたい」
「変な事を聞くのですね?あたしは出ろと言われれば出ます」
「それは私の娘としてか」
「確かにあたしはお父様の…オーブの獅子と言われているウズミ・ナラ・アスハの娘です。でもそれだけで動くような娘じゃないという事もお父様は知って居るでしょう?」
「そうだな」
「あたしはお父様の娘であり、いち軍人です。この国を守るべき人間です」
フッと笑ったお父様は「そうか」とだけ言っていて
「ただな、お前には」そう言ったお父様は
「ユキにはこの戦争が終わったら日本基地を任せたいと思っている」
「え?」
「ただまだ時期は未定だがな」
「そうですか。その時はそっちの基地に行きますよ」
「頼んだ。既にその基地の話は動いておるのだ」
拒否権は最初からなし。という訳ね
暫くして、あたしはカガリと一緒に司令部の方に来ていて
「「キサカ!」」
「カガリ様、ユキ様!」
「最後通告があったと聞いているわ」
「あぁ」
要求内容を読み上げられたあたし達
「以上の要求が実行されない場合、地球連合はオーブ首長国をザフト支援国家と見なし武力を以て対峙するものである…ねどこまでふざけているのかしら」
「さぁな」
「きっと欲しいのはマスドライバーとモルゲンレーテでしょうけど」
「だろうな」
マスドライバーもモルゲンレーテも渡すつもりは毛頭ないのだけれど
「カガリはここでの指揮をお願い」
「は?お前は何を」
「あたしはアークエンジェルに搭乗する」
「何を」
「あの時、アークエンジェルに乗ってCICに座った時からずっと決めていたことよ。でもまぁ取り合えず、キサカ」
「何だ」
「アークエンジェルのクルーを集めてくれる?」
「え?」
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