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シャロン…もといクリスと一緒にアメリカに来てはや数週間
アメリカで通う学校も決まり9月からはアメリカの学生生活に変わるのに先立ってすでにアメリカでは夏休みだ
「何もすることがない」
「そう言わないの」
「だって」
まさかアメリカの学校って宿題と言うものが無いという事はそれだけ時間が有り余るという事だ
「あなたの好きな料理をする時間に当てればいいじゃない」
「そうかもしれないけど」
それでも時間が余る
「たまには日本に帰ってもいいのよ?」
「帰らないよ!?」
「あら帰らないの?スコッチもいるじゃない」
「そういう問題じゃないもん」
「じゃあどういう問題なのよ?」
「だって…」
彼はあたしじゃなくてネグローニといういない組織のコードネームを持った人が好きなのだから
「アメリカでの仕事でのマネージャーは貴方に任せるけど、日本ではどうしようかしら」
「あたしは行かないから」
逝けばきっと見つかる可能性も有る
「あらいやね。スコッチには連絡なんてしてないわよ」
「本当?」
「本当よ。自分の惚れている女を2度も手放すような男にミスミス渡すわけがないでしょう?」
あ…そういうこと
「1回目は試したけど、今回は何もしていないわよ」
「じゃあさ、日本で買いたい物があるの」
「買いたい物?」
「うん」
シャロンと一緒に戻ってきた日本で、買いたいものを買った翌日にシャロンの仕事の同行をして、その日のうちにアメリカに戻り
ルンルンで開けると
「これが欲しかった奴なの?」
「そうだよ?」
料理雑誌と日本の調味料とか、使えそうな食材とかを買い込んでアメリカに持って帰って来た
「こんなに使いきれるのかしら」
「使い切っちゃうから平気だよ?」
そもそもが日本とアメリカじゃ家電の大きさも大分違っている
「それに切って冷凍しとけばある程度は持つよ」
「そう」
そして今日の夕飯は生姜焼きだ
「あら美味しそうじゃない」
「美味しいとは思うけど。日本の材料で作ってるから感覚は鈍ってないはず」
「あらいやね、その言い回し」
「だって本当の事だもん」
アメリカの材料が悪いわけじゃない。だけどやっぱり何か違っていて
「美味しい」
「そうね。やっぱり望月、取りたいと言っていた資格、ちゃんと取りなさいな」
「え?」
「撮っておけばどこでも働けるのでしょう?」
「日本であればね」
それがアメリカで通用するかどうかは知らないけど
「大丈夫よ。それを取ったら、私の娘兼調理人にするから」
あ、納得。このデカい家に住んでいてグルメなのに調理人がいないのは自分のお眼鏡に会う人がいないのだろう
「期待しないでおく」
「やぁね」
==
夏休みも終わりに近づこうとしていた頃
「ねぇシャロン」
「何よ?」
「日本に1回帰ってもいい?」
「何かあったの?」
「ううん。咲姫ちゃんとお泊り」
「あぁそう言うこと。気を付けて行っていらっしゃいな」
わーい
咲姫ちゃんに速攻で帰国することを伝えると「待ってる」と来て
今回の帰国はお泊りとお祭りがあるらしいから其れに一緒に行くことに
「あの人たちにさえ合わなければ問題は無いのだから」
「そうよ?彼らにさえ合わなければ問題なんてないのよ」
「そうだね」
なんて言ったその日の夜には飛行機に乗って、再び帰国した日本で、諸伏さんに会わないために、シャロンに教わった変装をして、普段気もしない服を買い込んで其れを着て咲姫ちゃんの所に行くと
「ごめんね。こうでもしないとあの人に見つかっちゃうから」
「あ、そういうこと」
「そうなの」
もうあの家に戻る事も出来ないから
「それでよかったの?本当に」
「いいんだよ。現に彼には今も見つかってない」
「そう。でもお祭りには浴衣だよね!?」
え…浴衣…
「あたし持ってないの知ってるじゃん」
「知ってる。だから一緒に買いに行こうかと思って」
マジか
「レンタルじゃダメなの?」
「駄目」
あ、ダメなんだ。なんて思いながらおじ様が偶々休みだったのもあり、車を出してくれることに。
着いた先のショッピングモールで買ったのはアイスブルーのネモフィラ柄の浴衣だ
「珍しい色ね」
「うん」
他にも紺や定番の色もあったのに、これに惹かれちゃったんだから仕方がない
「ところでお祭りっていつなの?」
「明日」
あー…納得。それで泊まりって言ったわけだ。
帰ってきておばさまの手作りご飯を食べている時だ
「アメリカでの生活はどうだ」
「やっと慣れてきましたよ。それと日本と大分誓う文化にはまだ慣れないですけど」
「日本と違う文化?」
「アメリカの学校はあたしが通っている所は夏休みの宿題が無いんです」
「ほう」
「それはまた凄いのね」
「そうなんです。なのでなんか時間が有り余ると言うか、自分の時間を持つことが多く撮れていますよ」
「それは何よりじゃないか」
なんて言ってくれるおじ様と叔母様
「あ、このコロッケ美味しい」
今度家出も作りたい
「レシピ教えてあげるわよ?」
「いいんですか?」
「えぇ、勿論よ。どっかの娘は覚える気がまだないようだから」
「まだいいじゃん」
なんて話している親子の会話も楽しい。
ご飯も終わって、チャイムが鳴ると画面には諸伏さんが写っていて
「咲姫の部屋に居なさい」
「そうします」
クツも隠してあるから平気だろう。
玄関を開ける音がして、何かを話しているが
「残念だが、咲姫の交友関係に私が口を挟むことはしないと決めている。勿論望月にもそれは同じことだが、咲姫が何も言ってこない所を見ると何も連絡を取っていないんだろう」
「そう…ですか」
「まだ連絡が取れないのか」
「そうなんです、電話も取れなくて」
「そうか」
なんて言っているおじさまの声が聞こえてくるけど
「今日は上が賑やかなんですね」
「咲姫の友人が来ていてな。久々にこっちに寄ったからと言っていたよ」
「そうなんですね」
「じゃあ」と言った諸伏さんは帰って行ったようで
「お父さん、帰った?」
「いや、まだ近くにいる。部屋に居なさい」
「そうする」
しばらくすると
「もう大丈夫そうだ」と言ったおじさまの声が聞こえてきて、下に降りるとおばさまがデザートまで用意してくれていて
「ありがとうございます」
「いいのよ?これも手作りなんだから」
わぉ
そのデザートのレシピまで教えてくれたおばさまには感謝です。あたしはホクホクでアメリカに帰れそうです
明日は早めに出ようと言われて咲姫ちゃんと一緒にお喋りをしてそれでも日付をまたぐ前に寝たあたしに
「こんな近くにいるのに、こんなにも遠いなんて悲しいよ…望月」
なんて言われているなんて気づかなかった
翌朝
「おはようございます」
「あぁ」
おじ様は今日もスーツだ。という事は今日はお仕事だ
「気を付けて」
「あぁ。お前達も気を付けて行って来るといい」
そう言って「お小遣いだ」とお金まで持たせてくれたおじ様に「ありがとうございます」と伝えると「構わん」とだけ言ってくれて
夕方近くまで咲姫ちゃんの宿題を見て、支度をして髪の毛をセットして軽くメイクまでして外に出ると人だかりになっている
「人が多いね」
「だね」
そのまま人込みに流されてお祭り会場に来たあたしたち
「人がいっぱいだ」
「そうね?」
大きなお祭りなだけあって屋台だけじゃない。キッチンカーも出ているお祭りだ
「何食べようか咲姫ちゃん」
「そうねぇ」
焼きトウモロコシに焼きそば。タコスもかき氷を食べてラムネも飲んで満足、満足
帰って来たあたし達は、残ったお釣りをおじさまに返そうとしたら「お小遣いに取っておきなさい」って言われてしっかりお小遣い迄もらいました
「良かったわねぇ」
「はいっ」
「明日には帰っちゃうんでしょ?」
「うん。あ、でも向こうの学校の文化祭?みたいなのに呼ぶからさ、その時には来てよ」
「そうする」
短い今回の帰国でもお土産とかいろいろと買いこんで、アメリカにお持ち帰りだ
「じゃあ…また…ね」
「うん。絶対に帰って来るから」
「じゃないと承知しないわ」
なんて言われてすぐにアメリカ行きの飛行機に乗って帰って来たアメリカ
「寂しそうね」
「少しだけ。諸伏さんの声だけ聞いちゃったのが余計なのかもしれない」
「そうね」
でもそれでも接触しなかっただけ良かったのかもしれない
「そんな顔をするくらいなら遠目にでも見て来ちゃえばよかったでしょうに」
「ううん。顔を見ちゃったら帰って来たくなくなっちゃうから」
せっかく決まった学校にも通わせてもらえなくなりそうだから
それなら会わないで戻ってきた方がいい。きっと諸伏さんはあたしじゃなくてネグローニをまだ探しているのだから
「そう」
「ねえシャロン」
「何よ」
「あたし、高校を出たら日本で頑張って資格取ろうと思う。アメリカでは使えないかもしれないけど、それでもその知識はきっとあたし自身とシャロンの為に使えるから」
「あら、スコッチの為じゃなくてもいいの?」
「うん」
きっとこれがあたしにも諸伏さんにもいい選択なのだ
「ちょっと待って居て頂戴」
そう電話に出たシャロンは
「何を言っているの。あなた確かに今はこっちは昼間だけれど、そっちは夜中でしょう?」
時差の問題?
「いやね。居たら知らせる条件じゃない。そうねじゃあ1つだけ。それが飲めないのなら諦めなさい。あの子はアメリカの学校に通うわ。そう、全寮制のね」
あたしの通う学校って…そう言えば学生寮もあるんだっけ
「えぇ。今?今はどうかしら。駄目よ?スコッチにあの子の居場所を教えたら。何で?決まって居るじゃない。私は最初のチャンスはあげたわよ?でもそれでも捕まえていなかったのはスコッチだもの。そのチャンスは貴方にもあると思って?バーボン。ある訳がないでしょ?あの子の今の連絡手段は貴方達にはない。そうよ?貴方達に教えるなとそう言ったのも私だもの。なにか間違いでも言ったかしら?そうね。あの子は国内にはいないでしょうけど、アメリカにはいるわよ?けれど、それが見付かればあの子はまた別の場所を探すでしょうね。それの意味が分からないバーボンじゃないでしょ」
そう言ったのはきっと降谷さんだ。降谷さんと連絡をしていたのか。シャロンは
「ならスコッチにはこう伝えなさい。あの子の高校生活は自由にさせなさいと。えぇそうよ?2年は最低でもお我慢なさい。それが出来ない男じゃないのでしょう?それはどうかしらね。あの子の方が参っているようにも見えたけれど。その前に合わせろと言うの?あの子の学校はすでにアメリカにいおいているのよ?それは難しい相談じゃなくって?そうね。まだ夏の休みはあるようだけれど。あの子が良いと言えば会わせてあげるわ」
あたしが良いって言えばってどういう事?
「さぁ?あの子は今部屋でお昼寝をしている最中だもの。あらやだ、本当に来ないでよ?パパラッチに追われるのはごめんだわ」
そんな事を言っているシャロンにも驚きだけれど、きっと行動力のある降谷さんの事だ。絶対に来る。いや、きっと確実にくるだろう。単独なり諸伏さんを引き連れて
電話を切ったシャロンに
「あたし、会いたくなんてない」
「でしょうね」
でしょうね?
「でもあのしつこい男2人がそう簡単に引き下がらない事も貴方は十分承知でしょう?」
「そうだけど」
==
夏休みも明け全寮制の学校に入りはや数週間。日常的な英語ならなんとか話せるようになってきてはいる。と言うよりも身近にしっかりとした英語の先生がいるから、教えて貰ってやっと日常的な生活が出来る程度だ
「望月にはカレシいないの?」
「いないよ?」
「もったいない!せっかくの美人なのに」
そんな事を言ってもらえるだなんて思わなかった
「ねぇねぇ!」
「どうかしたの?」
「それが入り口にイケメンが来てるらしいのよ!」
ふーん…
「どんな人!?」
「1人は金髪の人で、もう1人は髭を早貸してる人!」
そう言った友人のローラの言葉に飲んでいたお茶でむせこんだあたしに
「ちょっと大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。それよりもお願いがあるの」
「「お願い?」」
「もしあたしの名前を出して来たらこう答えて。『そんな人物は知らない』と」
「いいの?」
「いいの」
きっと来ているのは降谷さんと諸伏さんだ。確かに全寮制だし、あたしも寮生活だから別に問題は無い。しかもシャロン仕込みの変装もしているくらいだしね
ただ、予想外なのは、あの2人がこんなにも早くにここにたどり着いてしまった事だ
「あたしは風邪で声が出ない方法を取りたいから」
「分かったわ」
入り口の方まで一緒に歩いて行くと
「なぁ」
「なんですか?」
「この女の子見なかったか?」
「いいえ?そもそもこの子学校で観たことは無いですよ」
「ない?」
「えぇ」
「そう言えばこの子の名前を聞いていませんが」
「あぁ、済まない。佐久間望月と言うんだ」
友達の隣で聞いていると随分とスッラスラと英語を話していて
「聞いたことないわね」
「私もよ」
「そこの彼女は?」
「この子は数日前から風邪を引いていて、声が出せないんです」
「へぇ」
「それに」
「「それに?」」
それに?
「この子人見知りもあるので初対面の人とは絶対にしゃべったりしませんよ」
「そうか」
あたし人見知りの設定してたっけ?
「そういえばこの子の名前は?」
「エレナですよ。エレナ・ヴィンヤード。クリス・ヴィンヤードとは義理の姉妹ですって」
「そうか」
そこで引き下がってくれたらよかったんだけど、引き下がってくれそうにもない2人と話をしているのに対してローラにクイクイと引っ張ると耳元で「帰りたい」と言ったあたしに
「ごめんなさい。エレナはもう帰りたいようなのでこれで失礼をしても」
「あぁ、済まなかった」
そう言ってくれた2人はそのまま学校を後にしていて
「大丈夫なの?」
「どっちかって言うと大丈夫じゃなさそうよね?」
大丈夫か大丈夫じゃないか。どちらかと言えば後者の方だ。
猟に戻って部屋に入ると速攻で部屋着に着替える
「あんたってすぐにそうやって着替えるの癖よね」
「日本にいた頃からこんな感じだったからかな」
「そう?」
「うん」
「でもなんであの人たちに関わりたくなかったの」
