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シンガポール、マリーナベイ・サンズ
「凄いわねあんたのお兄さんズ」
「あたしもびっくり」
お兄ちゃんたちはシンガポールでも有名なマリーナベイ・サンズの最上階を取ってくれていたのだ
「お前らもここだったのか」
「というかここ結構有名どころだよね」
なんて話しているのは男子テニス部の集団だ
「つーか跡部でも最上階取れねーってヤバくね?」
「入れようと思った時には既に予約が埋まってるって言われたんだよ。しかも俺達がいる最終日まで」
あ、お兄ちゃんあの後すぐに予約取ってくれたんだ
「跡部以上の金持ちってどんな奴なんだろうな」
「さーな。そこまで興味ねぇよ」
「それは良かった」
「あ?」
「なんでそこで」
「だってここの最上階の予約取ったのあたしたちだもん」
「「はぁ?」」
「どないな手を使って」
「あたしたちというよりもお兄ちゃんたちが取ってくれたんだよ」
「マジかよ。兄妹使うとかずりぃだろ」
ずるくないずるくない
「ずるくなんてないよ?だってあたし海外に来たのここが初めてだし、だからお兄ちゃんが妥協しなかったんだよ」
自分の時にはどうでもいいとやっすいホテル探す癖に
「マジかよ」
なんて話をしていていると
「跡部君達もここなの?」
「降谷さんたちも同じだったんだ」
なんてある程度の人数が揃っているようで
「そういや、お前今日は護衛がいねぇのか」
「いるよ」
「は?」
「いるに決まってんでしょ」
お兄ちゃんが休みをもぎ取ったと言う話はヒロ君から聞いているけどね
「一体どこで」
「さぁ?」
「取り合えず夢姫、部屋に荷物置きに行きましょ」
「あ、うん」
跡部君たちと別れて最上階に荷物を置きに来たあたし達
「わー、すごくいい眺めだぁ」
「そうね。そう言えばあんた水着は持って来たの?」
「うん。持って来た」
でも
「松田さんに見せたいのは分かるけど、私は女だしそんなのノーカンよノーカン」
ノーカン?
なんて話をしながら部屋を出てプールのある方に行くと
「なぁ」
「はい?」
「その松田ってどないな男やねん」
「そうだよな」
「気にならないわけがないよね」
なんて同じタイミングで来ていた男子たちに寄られてきていて
「あんたたちじゃ到底かないっこない男よ」
「なんでお前にそんな事言えるんだよ?五十嵐」
「私はちゃんと紹介して貰っているもの。夢姫のお兄さんも松田さんたちも」
その衝撃発言に驚いていると
「はぁ!?」
「うるさ…」
「うるせぇよ」
そうあたしと同時に言い放ったのは
「え?」
「あらやだ。夢姫行ってくればいいじゃない」
「そうする」
近くまで来ていた陣平君の傍に行くと
「ここに来てまで俺にべったりかよ」
「いいじゃん」
「アイツ?アイツも来てんじゃね?」
なのかなぁ?なんて思っていたけど、いつもの陣平君と少し違う気がする
「でもよく捜査一課の刑事さんなのにこっちに来れたよね」
「ったりめーだろ?お前たちの護衛なんだから。ま、少しは遊んで来いよ」
「そうする」
陣平君から離れて心空ちゃんの所に戻ると
「あら随分と早かったのね」
「まーねー」
いつも見てる陣平君よりも身長も低かったし、香水の匂いも違う。そしてあたしの好きな煙草の匂いもしなかった。という事はあれは陣平君じゃない別の人だ
「どういう」
「こっちの話」
「あ?」
「あとでじんぺーくんに連絡してみよ」
「え?」
きっと心空ちゃんも驚いているのは分かるけど、陣平君になっているあの人は一体誰なんだろう
「あんたスマホ部屋なの?」
「ううん。そこに置いて来た」
そうプールの中に入ったあたしに
「珍しいじゃない。松田さんの所に居たがらないだなんて」
「あの人、違う人だから」
心空ちゃんにはそう話したのはあの陣平君に違和感しかないからだ
「へぇ、じゃああの人は別の松田さんだと?」
「うん」
「何をどうやって直ぐに分かるのよ?」
「分かるよ。だってあの人からは
それこそ、男子や同じ氷帝で同じホテルを取っている人にしかわからないだろう
「へぇ」
「そないなもんかいな」
暫く水の中で歩いていると
「そういや」
「うん?」
「お前なんでそう言うのが分かんだよ」
「わかるよ。だってずっと見て来たんだもん」
だてに7年間も見てきているわけじゃない。7年間見て来た人だからこそ分かるモノが沢山ある
「へぇ」
「声、聴きたいなぁ」
「聞いてくりゃいいじゃん」
「そうだよ。すぐそこにいる」
「違う。本当の彼の声」
「マジかよ」
「依存型か?」
スマホのある所に行くと陣平君の文字を探す
「誰の」
「今から鳴らすけど、きっとあの人の電話はならない」
「は?」
丁度よく電話を掛けると
「もしもし」
「陣平君?」
「おー。今シンガポールだっけか」
「うん。陣平君は今日本でしょ?」
「ったりめーだろ?そうそう海外には行けねーよ。つーか何で」
「陣平君のそっくりさんにあった」
「へぇ。だがまぁ夢姫の事だからすぐに気づけんだろ?」
「気づいたよ。だって陣平君よりも背が小さくて、声も低くない。それに」
「「それに?」」
それに。という言葉に反応をしたのは男子たちだ
「陣平君の香水の匂いも煙草の匂いもしなかった」
「流石だ。帰りは連絡しろよ」
「え?」
「迎えに行ってやるよ。アイツの事だから」
「お兄ちゃんは休みをもぎ取ったって言ってたけど」
「おいおい」
「でも陣平君に電話する。陣平君不足になりそう」
「初日からそれでどうすんだよ。でもまぁ気を付けて楽しんで来いよ」
「うん!」
電話を切ったあたしに
「ね?あの人の電話ならなかったでしょ」
「そういや」
「でもマジでそんなに分かるもんなんだな」
「皆もきっとそれ位の付き合いのある人だったら分かるもんじゃないの?」
「いや、どうだろうな」
なんて話をしていると
「夢姫ー」
「うん?」
「ここ夜景も綺麗なんですって」
「え?夜景みたい!」
「言うと思ったわ。また夜に来ましょ」
「そーしよっか」
プールから出ると「マジで行動力はえーよな」と言っているのは宍戸君だ
「当り前じゃない。そんなに何日も滞在するわけじゃないんだから」
「それもそうだ」
部屋に戻って、髪の毛を乾かした後出る支度をして2人で外に出ると、ショッピングモールへ来たあたし達
「日本とはだいぶ違うね」
「そうね」
ガヤガヤとしているがし過ぎているわけでもない。ウインドウショッピングをするには十分な広さだ
「あら、これなんて可愛いじゃない」
「え?」
どれどれ。なんて一緒に見ながら選んでいると
「きゃーーーっ」という女の人の悲鳴が聞こえてきて
慌てて外に一緒に出ると、女の人の背中にナイフが刺さっているのを見てしまったあたし
「…っ」
その直後の警報音が鳴っていて
「何事?」
ざわざわとしている中警備員さんが何かを言っていて
「大丈夫?心空ちゃん」
「私は平気よ。夢姫こそ」
「あたしも大丈夫そう」
そう言えば、日本でお兄ちゃんたちと一緒にいた時もこんな事あったっけ…あの時は
「動かない方が賢明な判断だよ」そう言ってくれたのはヒロ君だ
「取り合えず、私たちも非難しましょ」
「ううん。此処に居た方が安全だよ」
「どうして?」
「人込みに今は流されちゃうし、何があるか分からないもん」
「それもそうね」
だけど現に女性が刺されている状態でここにいるのも怖いのも事実だ
震える手で、電話を掛けたのはお兄ちゃんだ
「どうかしたのか?」
電話越しでも静かだという事は家にいるのだろう
「助けてお兄ちゃん」
「?何かあったのか」
「あった」
「ヒロ!」そう言ったお兄ちゃんの声が聞こえたという事は、ヒロ君も近くにいるんだろう
電話越しに何かを話している2人の声が聞こえてきて
「ったく」
そう言ったヒロ君は、お兄ちゃんの電話越しだと言うのに
「そこを動くんじゃないぞ」
「うん…」
電話が切れたのを確認すると
「大丈夫なの?」
「来てくれるみたい」
「そう。でもあんたお兄さん日本にいるんじゃ」
「ううん。来てるよシンガポール」
「あらやだ。シスコン」
写真を撮っている刑事さんたちの他に来た小太りなおじさんと
「君たちにも話を聞きたい」そう言って来たのはその小太りな人で
「え…っと」
「あぁ、私はこういうものだ」
そう見せて来たのはシンガポールの警察手帳
「日本のと少し似てる」
「ん?」
「あ、いえ」
「私たちはすぐそこのショップでウィンドウショッピングを2人でしていました。その時に女性の悲鳴が聞こえて慌てて出て行ったらナイフが刺さった女性を見ました」
「警報音が鳴った時逃げなかったんですか」
その直後に聞こえた聞きなれた足音があって
「僕たちが教えたんですよ。そういう時は無暗に動くなと」
「ほう」
「だがここには」
「お兄ちゃん、ヒロ君」
「無事か?」
「うん。心空ちゃんとウインドウショッピングしてた途中だったし」
「そうか」
なんて話をしていると
「一体」
お兄ちゃんとヒロ君は日本の警察手帳を見せていて
「日本の警察でしたか」
閉まっている2人に
「お兄ちゃんたちも持ってるんだ、ソレ」
「当り前だろう?」
「お前の事だから松田が良かったって思ってるかもしれないが」
「陣平君来てないじゃん。そっくりさんには会ったけど」
「松田のそっくりさんね」
「で?夢姫たちが残されている理由はなんとなく分かりますが」
「だが第一発見者であることには」
「あの人もそうなんでしょう?」
ヒロ君のいうあの人とはここにいるもう1人の男の人
「それにしても犯人は爆弾まで用意していたとはな」
そう言った声が聞こえてきて
「爆破された車は被害者シェリリン・タンさんのものでした」
「彼女は優秀な弁護士だったから恨まれる事もあっただろうし危険な相手との付き合いも…」
「大いにあるでしょうね。本当に一般人の妹たちがこうして残されているくらいには」
「ほう」
いろいろと話をしてショッピングが嘘なんじゃないかと疑い始めた刑事さんに
「残念ながら俺達は妹にそんな非常な教えはしていませんよ」
「何?」
「ましてや心優しい夢姫にそんな事出来る筈がない。そして夢姫と一緒にいる彼女にもね」
「何故そう言い切れる」
「夢姫が我々の妹だからですよ。日本の公安警察のね」
驚きを隠せていないのは事実だろう
警部補を読んだ鑑識の人たちの後を追ったお兄ちゃんたち。そこにあたし達は行かなかったが
「夢姫」
「五十嵐さんも暫くは用心した方がいい」
「「え?」」
「血塗られたキッドの予告状があったんだ」
予告状…ねぇ
「興味ないや」
「だろうな」
なんて言われてて
「妹たちは学生なのでもう帰らせますよ。警部補さん」
お兄ちゃんたちと一緒に出てくると
「ありがとうお兄ちゃん」
「いや、それよりも何もされてないか?」
「何もされてないよ?あたしも心空ちゃんも」
「それならいい」
「そう言えば、食事は?」
「まだ食べてない。ショッピングモールで食べようと思ってたから」
時計を見るともうお昼には遅く、でも夕飯には少しだけ早い時間帯で
「実は」
お兄ちゃんがヒロ君と行こうと思っていたお店があるという事で、一緒に行くことに
「ここ…ですか」
「あぁ」
「私も気になってたんです」
「それは良かった」
心空ちゃんの言葉に笑顔で返しているヒロ君はケンちゃんと同じタイプの人間だと思う。ただ、怒らせると怖いからいやだけど
お兄ちゃんたちと一緒にご飯を食べた後、ホテルまで送り届けてくれて
「ありがとうございました。それとごちそうさまでした」
「どういたしまして。夢姫も初めての海外だから目にかけておいてくれると助かる」
「はい」
車のドアを閉めてお兄ちゃんたちを見送ると
「ほんと、あんたのお兄さんズって一体どんな職なのかしら」
「アハハ」
言える筈がない。警察だけど、国家公務員だなんて言えるはずがない
その日の夜はプールに行くこともせず部屋で2人で女子会と言う名の話で陣平君のどこが好きかとか、お兄ちゃんたちの話を色々とさせられたのは言うまでもない
