追走 Back streat!
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雅君の跡を追いかけたけど結局見失ってしまって
「仕方ねぇさ。仁王のイリュージョンを見破るのは至難の業だ。このまま追いかけても埒が明かねぇ。ひとまず休まねぇか」
「夢姫も疲れて来てるみたいですしね」
「せやな。さっきから走ってばっかやったし」
なんて言った目線の先には比嘉の皆もいたけど店主の意向で比嘉の皆が壁に絵をかいているようで
「それなら問題ないんじゃない?」
「そうですね」
「沖縄料理かぁ」
「そういや夢姫は食べた事無いんやったな」
「「え?」」
「本当ですか」
「うん。ないよ」
1度は沖縄に行ってみたいけど、あまり旅行にも興味があるわけじゃないし
「あれ?樺地君だ」
「ほんまや」
「仁王さんなら、見ましたよ」
雅君を見た?
「あちらの通りに向かって走って行きました」
「あー…なるほどな。信じてええんかなぁ、それ」
「樺地が本物だと確証が持てないうちに信じるのは危険だぜ。さっきの二の舞になるかもしれねぇしな」
「…」
「悩む必要はないよ」
「奏多?」
「カナ君?」
「すでに正体は見破っているからね。もう追いかけっこは終わりだよ、偽物君」
「やっぱり偽物だったんだ」
「けど、どうやって見抜いたん?」
確かに
「簡単な事さ」
「簡単な事?」
「そう。イリュージョンの精度がほんの少しだけ落ちていたんだよ。僕らから逃げ回ったことで疲れが溜まっていたんだろうね」
「成程、それで見抜けたという訳ですか」
「あー…言われてみれば、分かる気するな。よーく見いひんと気づけへんけど」
「そうなんだ」
「流石は入江さんじゃのう。まさかイリュージョンを見抜くとは。今回は俺の負けじゃ。しかし」
「「しかし?」」
「同じ学校で同じクラスのお前さんが見抜けないとはのう、夢姫」
「そこまで一緒にいないじゃん」
「それでも気づく奴は居るじゃろ。入江さんのように」
「まぁ、その前に何度も騙されちゃったけどね」
「それにしてもなんでずっと俺らから逃げてたんや?」
「確かに。何しようとしてたのか少し気になるんだよね」
「あぁ、それは」
「にゃーん」
そう言った雅君の近くにいたのは猫で
「え?」
「ん?」
「おや、其処に居るのは野良猫でしょうか?随分と懐いているようですが」
「まさか、お前がここに来た理由は」
「ほれ、猫缶じゃ。ゆっくり食べるぜよ」
勢いよく食いついた子猫に
「慌てなくても全部やるき。こぼさないようしっかり食べんしゃい」
食べている子猫を見ていると
「相変わらず、おまんは可愛い奴じゃのう」
猫にまで可愛いなんて言うんだ…
「ふにゃーん」
「しかし、驚いたなぁ。まさか猫に会いに来てただけなんて。でもそれならどうして最初から正直に言ってくれなかったんだい?」
「そうじゃな、タネ明かしを簡単にしたら面白くないじゃろ。それに前、野良猫に餌をあげた時は柳に注意されたからのう。だから今回は誰にも言わないように気を付けていたんじゃ」
「なるほど、そういうことだったのか」
「途中から色んな人物に成りすましてイリュージョンまで使ってたからね」
「あれは先輩たちの尾行に気づいてわざと乗っかっただけぜよ。おかげで楽しめたき、俺は満足なり」
「あはは。でも夢姫はそうでもないんじゃない?」
「ホンマや」
「珍しい事もあるもんだ」
「珍しくないもん」
「なんだか無駄に疲れた気がするぜ」
「せやけど仁王ちゃんを探すのはオモロかったし結果オーライやな」
「お前なぁ…かき回した張本人がいう台詞か?」
「いやー、楽しい鬼ごっこやったわ」
「ったくしかたねぇな」
路地裏巡り再開をすると言った時に子供の泣き声が聞こえてきて
「夢姫」
「雅君?」
「話があるんじゃがのう」
「あたしにはないもん」
「そんなブスーとした顔で言ってもなんも説得力なんてないぜよ」
「そんじゃ仁王ちゃんちょっと夢姫の事頼んだで」
え?ちょ…っ
「じゃと。逃げられんのう夢姫」
「うぅ…」
だけど修ちゃんたちはそんな時間もかからず戻って来て
「どこかに入ろうって話になったんだけど」
って言われて近くのカフェに入ることに。ケーキを頼んだあたし達は席に座っていて
「なんで俺までこんな場所に」
「まぁまぁそう言わずにさ。ほら、ここのケーキはどれも絶品だよ」
あたしの隣には修ちゃんがいて
「あ、おいしい」
「これも美味いのう。食べてみたらおまんも気に入るぜよ」
「うるせぇな。ケーキくらい静かに」
「その顔は気に入ったみたいじゃのう」
「夢姫もそのようだね」
「阿久津君が悪態を吐かないなんてよっぽどモンブランがお気に召したみたいだね」
「俺もモンブランを食べたくなってきたのう。追加で頼んでおくぜよ」
「勝手にしやがれ」
「はは、賑やかやな。最初に考えてた路地裏巡りとは別物やけど、これはこれでオモロいわ」
「来て良かった?」
「ええなぁ。路地裏巡り」
「僕らは散々振り回されたけどね」
「まさかあちこちを走り回る羽目になるとは思っていませんでしたよ」
「せやけど、楽しかったやろ」
「あたしはね」
「それはまぁ、そうかも。こんな路地裏巡りは二度と出来ないだろうからね」
