プールに行こう
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あの七夕から少しだけ時間が過ぎた頃
「ん?」
「どないした?」
「これ夢姫の書いた短冊だな」
「みたいやな」
「“修ちゃんとプールに行きたい”だってよ」
「健気だよな夢姫も」
なんて会話をしていたことに気づかないまま数週間
「水分補給せな溶けてまうかも」
「直射日光とコートからの照り返しで暑さも2倍になってるんとちゃいます?」
「これを使うといい」
そうお兄ちゃんがサブちゃんに渡していたのは冷やしておいたタオルだ
「お、冷えたタオルですやん。ありがとうございます、ツキさん」
「この時期の練習には冷やしたタオルが必須だな」
「この暑さでは直ぐに温くなるが…ないよりはましだろうって夢姫が用意していた」
「さすがだな」
「中高生達も暑いとか騒いでやがったぜ。冷水に頭から突っ込んでやれば黙るだろうけどな」
「練習の後にやったら涼しそうでええな」
「水風呂と一緒にするんじゃねーよ。水責めだぞ」
なんて話していて
「お疲れ様」
「あぁ」
「冷やしたタオルはどう?」
「動いた後には気持ちいいな」
「それは良かった。暑すぎてないよりはいいかと思ったんだよね。暫くは継続しようかな」
「そうしてやれ」
「だね」
「だが中高生達だって奴らなりに暑さ対策をしながら良くやってんだろ」
「せやね。食事に気を使ったり、お手製の霊感グッズ使ったり」
「お兄ちゃんと散歩に行った時だっけ?練習前に打ち水をしている姿を見かけたこともあるよね」
「あぁ」
「あれのお陰で暑さも和らいでいるし、俺達だって恩恵を受けているだろう」
「そやなぁ」
遅れて来た育人君は涼しそうな顔をしていて
「おはよう育人君」
「おはようございます。休憩中でしたか」
「遅いぞ、君島ぁ」
「あらかじめ、コーチ達と話をするから遅れると言っておいたでしょう」
「そう言えば言ってたね」
「コーチと話?なんの話やったん?」
「近々プールでのCM撮影の予定があるのでそのことについてですよ」
なんて話した育人君に皆の顔つきが若干変わった気がして
「涼しそうでええですね」
「ですが、仕事ですから自由に泳げるわけじゃありませんよ」
「プールか」
何かを考えた後
「ええ事思いついたわ☆サンサン、ちょお耳貸してや」
「「??」」
あたしも育人君も疑問でしかないのだ
「交渉してみましょう」
「いいなぁ。皆は泳げるから」
ニヤリと笑っていることに気づかなくて、コーチ達の所に連れて行かれたあたし
コーチ達も賛同していて
「問題ありません。ですが」
「ですが?」
「夢姫さんは浮かない顔をしておりますが?」
「夢姫も連れて行くに決まっとるやろ」
「「おや」」
「それはまた」
「見てるだけでつまらないのでは?」
なんて言うコーチ達に
「実はなぁ」
なんて話をしだした修ちゃんは
「なるほど。其れも兼ねているわけですか」
「せや」
「夢姫さん」
「はい?」
「種ヶ島君たちは君も連れて行くという事にしているようですよ」
「泳げないもん」
「足が付く場所なら平気やろ」
「そうだけど」
「ほな、決まりやな」
修ちゃん達と別れてレストランに入ると青学の人と氷帝が揃っていて後にしようと思ったのにだ
「何も逃げる事ねーだろ」
「逃げてない」
「でもその動き方は出ようとしていたじゃないか」
「こんなにも集まってるとは思わなかったから」
なんて話していると
「午後から更に暑くなるっていうし、少しでも体を冷やしておかないと」
「まだ上がるのかよ」
なんて声も聞こえている
「なんだ、お前ら。この程度の暑さでへばってんのか」
「別にへばってねーよ」
「2人ともコーチに呼ばれてたみたいだけど、何だったんだ?」
「あぁ。近々行われるプールでのトレーニングでの説明を受けていた」
「プール!?」
「すごい食らいつきだね」
「だってプールだよ?」
「ぜっんぜん、楽しくない」
「「??」」
「何が」
「つーか、なんでそんなことになったんだ?」
「さあな。ただ大人組からの提案らしい」
「プールを貸し切っての練習だそうだ」
「詳しい説明は無かったが、コーチからは水着持参の通達があった」
げぇ
「部屋に閉じこもってようかな」
「随分と嫌みたいだな」
「いやだよ。泳げないのにプールに行く理由って何」
「あ?」
「お前も行くことになっているのか」
「そう」
「お前ら、水着を用意しておけよ」
「水着ってことは泳ぐって事だろ」
「「泳ぐ?」」
2人の言葉に固まったあたしに
「そういうことかよ」
「そりゃ、お前は行きたくねーわな」
「やっと分かってくれたわけね」
「一体」
「コイツ、泳げねーんだよ。幼稚舎でプールに突き落とされてから」
「そうか」
跡部君が意地悪そうな顔をしているのがよく分かる
「絶対に部屋に閉じこもってよう」
なんならほー君の所に…
「夢姫ー。諦めぇ」
「えー…」
「俺も行くんやから夢姫も行くんやろ」
「?」
訳が分からず首をかしげていると
「この間の短冊」そう言った修ちゃんは見たのだろう
「見られたくなかったのに」
「見えてもうたんやからしゃーないやろ。お前は俺達と泳ぐ練習な」
「絶対に行かないっ」
「無理無理諦め」
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