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ドリンクを作って、ジャージに着替えると
「夢姫」
「修ちゃん?」
「ツッキーには許可貰っとるし平気やろ」
「ん?」
「夢姫には舞子坂のジャージを着て貰おうかなと思っていてね。舞子坂の監督にも許可を貰っているんだ。というよりもそれを条件に修さんが練習試合に参加するって話を付けてくれているんだ」
そうだったんだ
「ほな行こか」
「うん」
バスに乗って来たのは立海大附属。過去にもあの選抜強化選手に選ばれている選手はいたけど、お兄ちゃん達の様な実力では無かったとコーチ達からは聞いている
「あぁ、諸君」
「黒部コーチ?」
「どうかしたのですか?」
「実は諸君らに頼みがあるのですが」
頼み?
なんて思っていると
「来年、立海から1人この合宿所に招致するのですが、彼の様子を見てきていただきたいのです」
「来年という事はまだ中学生ですか」
「えぇ」
「どうせ行く学校は同じや。見てこようや」
「そうだね。夢姫には過酷かも知れないけど」
「修ちゃん達が一緒にいてくれるなら」
「では頼みましたよ」
修ちゃん達と一緒に来た立海は
「え?高校の方じゃないの?」
「俺達に練習試合を申し込んで来たのは中学生たちの方なんやねん」
そうなんだ
「悪いな。入江、種ヶ島。その子が言っていた子か」
「あぁ」
「しゅ…」
「平気や。此奴等が危害を加える前に止めたる」
そんな事を言ってくれるなんて思わなくて修ちゃんの背中越しに抱き着いていると
「何で何考えてるかわっかんねぇ種ヶ島にこの子は懐いてんだよ」
「しょうがないじゃない。あの合宿所に来た時には誰にも懐いてなかったのに修さんと一緒にいる時間が長いせいで、誰よりも先に懐いちゃったし、なんなら修さん大好きっ子になっちゃったみたいだし」
「マジか」
立海の中に入ると、待って居たのは立海のテニス部で、修ちゃん達が入った途端に食う気が変わったのがよく分かる
「ありゃりゃ、練習試合申し込んできた割りにはすでにコートに倒れ込んでるねぇ」
「だね」
「っていうか、来年入れる選手って」
「コイツや」
修ちゃんのスマホの画面には毛利と書かれている
「へぇ」
周りを見渡すもそんな選手はいなさそう
「お待たせをしました」
「おや、そちらはマネージャーもいらしているのですか」
「あぁ。せやけど部長がおらへんな」
「体調を崩していまして」
体調を崩して…ね
「さよか。ほな10分貰うで」
「10分ですか」
「あぁ」
修ちゃんもカナ君も其れなりにアップはしてきている。別に時間なんて必要もないくらいに
「お前らもアップしとき。んでもって」
「ちゃんとドリンクは持ってきてるけど。あとは試合記録用のノートも」
「流石や」
「そうだね。あの中にいるだけあって動きはいいようだね」
「当然」
支度を終わらせたころには立海の選手たちも試合が出来る状態でいてくれて
お昼過ぎまでかかった試合は舞子坂の圧勝
「な」
「嘘だろ」
「俺達立海が」
「練習試合で負けるなんて」
自分たちの先輩が負けたと言うのに冷たい視線を送っている後輩である彼らにも
「今の立海じゃ高校生は負けるね」
「凄い自信じゃねぇか」
「そうだな」
「だって本当の事じゃない。実力がないからU-17の強化選抜にも去年も今年も立海は呼ばれていない。それが現状だし、来年は居るって言う選手も今日は来ていないみたいですし」
これじゃ、合宿所ですぐに帰る可能性のある選手だなぁ
「夢姫」
「カナ君」
「いくら本当の事でもあまり言いすぎもよくないよ」
「だって本当の事でしょう?」
「せやな」
「聞き捨てなりませんね」
そう言って来たのは立海の後輩だろう
「何が」
「上昇を掲げて、王者でもある立海のテニス部員が誰も入っていないなど」
「本当の事よ」
幾ら実力があっても入れないものは入れないのだから仕方がない
「何」
「常勝を掲げているから何?王者だからなんだと言うの?」
ピクリと止まった立海の選手たち
「それで呼ばれていないのだから其処までの実力がないという事でしょう?上には上がいる。ただそれだけの話よ」
なんて話をしていると、合宿所から連絡が入ってきて
「もしもし」
「夢姫、悪いがアイツを含め」
「アイツ?」
「種ヶ島を含めた俺達10名の遠征が決まった。お前も行くだろう」
「当然」
「アイツにも話をしておけ」
「うん」
電話を切られたと思ったら
「どうかしたのかい?」
「修ちゃんも含めた10名遠征だって」
「っちゅーことは国内やろ」
「だろうね」
「成程。其れだったら夢姫もいけるという訳だね」
「そういう事」
帰り支度を始めている舞子坂の選手たちに対し
「おい」
「今年の全国大会には観には行けないから彼は高校に上がってからかな」
「やろうな」
「だから」
「まぁみんなが呼ばれるかはあたしには分からないけどね。常勝と王者に甘えているようじゃ、いつか足元をすくわれるよ」
「「!!」」
「それじゃ」
立海を出た時に
「待て」
「何」
別日に再び練習試合を申し込んできた立海に
「暫くはやらへんよ」
なんて言われていて
「ほな夢姫、合宿所帰んで」
「うん!」
「あーぁ。あんな嬉しそうな顔をしちゃって」
「ありゃ、種ヶ島しか見えてねぇだろ」
「見えてないわけじゃないよ。僕たちの中じゃ修さんが1番安全だってよくあの子は知ってるからじゃない」
「マジかよ」
「本当」
