優しい交渉
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お兄ちゃんとサブちゃんと一緒にテニスコートに向かう途中
「はい、そのスケジュールでお願いします。では失礼いたします」
っていう育人君の声が聞こえてきて
「いーくと君」
「キミさん、お疲れ様です」
「おや、これから自主練ですか?にしては夢姫の姿がいつもよりもラフな気がしますが」
「ああ」
「お兄ちゃんが、まだ帰って来たばかりだし、そんな本格的に練習はしないって言うから」
「そうでしたか」
「でも育人君、電話してたよね」
「ええ。仕事が立て込んでいましてね」
あー…海外遠征に行ってたから
「調整していたんです」
「うっはぁーー…海外遠征から帰って来たばっかりやのに、大変ですやん」
「いえいえ。こういったやりとりには慣れていますから」
「慣れちゃうのもどうかと思うけど」
フフと笑っている育人君だけど、実際は本当に大変だと思う
「でもテレビ局と交渉できよる大人なんて、先輩以外におらんのとちゃいます?」
「確かに聞いたことないかも」
「そんな事はないと思いますが…寿三郎もコツさえ摑めば交渉力が身につくかもしれませんよ」
「夢姫はつかなかったんです?」
「夢姫は全く持って。未だにコツがつかめていない様ですし」
なんて言われて頬を膨らませていると
「ですが、今の夢姫に必要なのは交渉力ではなく、今の中高生達といかに距離を縮められるか。だと私は思っていますがね」
「縮められなくたって平気だもん」
「そう言っていられるのも今の内なんですよ夢姫」
えー…
「交渉で大切なポイントの1つは、自然な笑顔を作り、余裕の演出をすることです。夢姫にはこれが難しいようですしね」
「余裕の演出なんてどうやっても出来ないもん」
「その点、キミはいい線を言っていると思いますよ」
「笑顔かぁ…確かに先輩や夢姫の笑顔はいつも自然ですわ」
「夢姫はこうなるにも時間がかかっていましたが」
「まぁ、あたしは」
「俺は笑う事は苦手だ」
「お兄ちゃんはこのままがいい」
「そうか」
「なんか、笑顔のコツとかあるんやろうか」
「そうですね…やはり口角を少し上げ、歯は見せないように笑う事でしょうか。鏡の前で練習するといいと思いますよ。もしくは、一度大笑いをすれば吹っ切れて笑えるようになるかもしれませんね」
なんて言うもんだから
「ツキさんが、大笑い?」
お兄ちゃんとサブちゃんが顔を見合わせていると
「お兄ちゃんが笑ってる姿が想像つかない」
「フフ」
と笑った育人君は
「練習を積み重ねて行けばきっと」
なんて言った育人君と歩いてきた篤君
「君島ぁ!」
「おや、遠野君?」
「こんな所に居やがったのか。とっとと練習行くぞ!」
「今日はいつも以上に」
「やる気だね?篤君」
「バーカ」
ば、馬鹿!?
「中高生どもを試合で血祭りにあげてやるんだよ!ひゃっひゃっひゃー!!」
「相変わらず…」
「今のは見本になりませんよ」
「だね」
なんて後ろに振り向いた育人君
「どうかしたの?」
「情報収集か」
「え?情報収集?」
「なかなか関心な高校生たちだ」
へ?
「夢姫も一緒に来てみるといいですよ」
「えー…」
「自分と同じ年の高校生と交流が出来るチャンスでもありますよ」
別にそんなチャンスいらないんだけどなぁ
「夢姫、行って来るといい」
「お兄ちゃんまで」
「という事です。行きますよ」
宿舎の中に戻ると
「あとは実際に試合を観戦して…」
っていう声がするかと思えば、育人君は普通に入って行って
「やあ、こんにちわ。少し、宜しいかな」
「!先輩…それと確か氷帝の…」
「氷帝ではなく立海ですけど。越知夢姫です」
「U-25日本代表の情報をまとめていたようですね。先ほど、私や夢姫、寿三郎達を観察していたのも情報収集の一環ですか?」
「気づかれていましたか」
「ええ。キミ達からの視線が熱くてね。夢姫は全く気づいていませんでしたが」
「あの、もしや」
「いいえ。怒っているわけではありません。むしろ感心していました。データ集めは基本ですしね」
「俺達にデータを取らせることで、自分の弱みになる…とは考えないんですか?」
「そこまで取れているつもりなのかな」
「取れるものなら」
「残念ながら夢姫の情報はほぼ無に等しい」
「え?」
「夢姫は今日、休ませている。現に寿三郎や越知がジャージでいた中、ジャージでいないでしょう」
「そう言えば」
「まぁ、夢姫も取られてこまる情報はほぼないに等しいでしょう」
「ないね」
「では収集がてら、これから私たちと一緒にティータイムなどいかがかな」
「せっかくなので、ご一緒させてもらいます」
「交渉成立です」
キッチンに入ると、紅茶を淹れて育人君の方に戻ると
「いい香りですね。練習の疲れが癒されます」
「紅茶には疲労回復の効果がありますからね。練習後に適した飲み物と言えるでしょう」
「おや?」
「あ、カナ君」
「3人で仲良くティータイムかい?」
「よければ、キミも一緒にどうです?」
「ありがとう。ちょうど一休みしたい所だったんだ」
なんて言われてしまえば
「じゃあ、カップ取ってくるよ。カナ君は座ってて」
キッチンに入ってカップを取り出していると氷帝の眼鏡をかけている関西弁の男の人も一緒にいて
「おやおや」
「随分と小動物というか。警戒心の強いネコの様ですね」
「えぇ。その通りです」
「4年前にここに来た時も君たちに向けられている状態を我々も受けています」
「「!!」」
なんて話が丸聞こえで、カップを持って席に戻ると
「でもよく此処まで」
「苦労しましたよ。越知と種ヶ島しか心を開いてくれない時期が長くて」
「先輩にもあったんですか」
「ええ、有りましたよ。でも氷帝で出されている課題を夢姫は我々の練習が見える場所でしていましてね
自分がっ分かるところを先に片付けていくタイプだと直ぐに分かりましたが、きっと話あらない所は何時まで経っても分からないままで終わってしまう。なので氷帝で出されていた課題を私が面倒を見る。その代わり我々についているその壁を壊しなさいと言っただけですよ」
「今でも立海の課題とか見て貰ってるんだよ」
「それはまた」
「まぁ直ぐにとは言わなくても、時期に夢姫も貴方方にも心を開いてくれると信じていますよ」
「え?」
「夢姫はね、まだ立海の門を立海の制服を来て潜っていないんだよ。きっと潜ってしまえばどうとにでもなるけど、其れ迄は怖いんだろうね」
「へぇ」
「では夢姫」
「うん?」
「自分から距離を縮める努力をしてみましょうか。そして君たちも同じ様に距離を縮める努力をすればいいだけですよ」
距離を縮めていく…
「分かりました」
この直後に氷帝の皆と出かける羽目にさらされたのは言うまでもない
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