バイバイ?
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卒業式前日。お兄ちゃんが呼んでくれていたであろうトラックが来ていて
「やぁ夢姫」
「せーちゃん」
「お兄さんたちのマネージャーをするだけだと言うのに随分と大がかりだね。引っ越しでもするのかい?」
「うん。海外での生活も多くなるし、こっちにアパートを借りっぱなしよりも実家に荷物を置いておいた方が良いと思って」
「そっか」
「それに、日本に帰って来るかも分からないしね」
「そうなんだ」
「うん」
まぁお兄ちゃん達が所属している事務所は確かに日本にあるけど、いちいち確認を取ることもしないだろうし
「夢姫」
「あ、先輩」
「お兄ちゃん」
「荷物はあれだけか」
「うん。全部まとめてある。大型家電は売りに出しちゃったし問題ないよ」
「そうか。先に車に乗っている」
「分かった」
「先にって言うのは」
「明日の卒業式、お兄ちゃんの試合と被ってて、あたしはお兄ちゃんについて行くって決めてるから、卒業式には出られないの」
「そうなんだ」
「皆にも元気でねって伝えてくれると嬉しいな」
「伝えておくよ」
「ありがとう」
「じゃあ、これで本当にバイバイだね」
車に乗り込もうとした時
「夢姫!」
「せーちゃん?」
「仁王に何か言い残すことはないのかい?」
雅君に?
「付き合えて幸せだったよって。知泡sになってね。って伝えてくれると嬉しいな」
「そこまで夢姫に思われている仁王が羨ましいよ。必ず伝えておくね」
「ありがとう」
車に乗り込むと
「本当にいいのか」
「うん。自分で決めたことだもん」
「そうか」
トラックの運転手には実家に送り届けるように話をしてくれていて
お兄ちゃんは来るまで空港まで其の儘来て、あたしも一緒におりてお兄ちゃんと一緒に空港内を歩いていると
グッと急に腕を掴まれていて
「え…」
後ろには妙に焦っている雅君の姿があって
「やはり来たのか」
「そりゃ、来るぜよ。幸村が俺に連絡なんて寄こしてお前さんとつないでおったんじゃからな」
!?
じゃあ、最初から雅君には筒抜けだったの?
「夢姫」
「お兄ちゃん?」
「10分だけ時間を出す。其れまでに話を付けて来い」
「あ、うん」
お兄ちゃんが搭乗ゲート付近で立っていてくれている間に
「10分じゃ足りんぜよ」
「でもそれでも行くって決めたのはあたしだから」
「お前さんは立海の大學に通うと思っておったぜよ」
「あたしもそのつもりだった」
「なら!」
「でもあの日のあの光景を見るまでは。あんな光景を見たらなんかどうでも良くなっちゃった」
「なっちゃった。じゃなか」
「え?」
「あの日、お前さんの名前を呼んだのに、お前さんは気づかないで先に行ってしまったんじゃ。そんでもってこの間の休みの日参謀からも連絡があって話を聞いたらお前さんは立海には通わない。卒業式にも出蘭と言われたんじゃ」
「だろうね。今日、今から発つことになるという事はそういう事でしょう」
「あぁ。じゃけその前にも話す事があるぜよ」
話すことがある?
「なんで幸村に言った言葉が全部過去形なんじゃ」
「だって新しい彼女いるでしょう?」
キスをしているくらいだ。それなりに付き合いもあったんだろう
「だから潔くあたしが身を引いただけだよ。だから…」
雅君におもいっきり抱きしめられると
「俺は幸村の電話越しに聞いたあの言葉を過去形にするつもりは無いぜよ」
「!?」
「俺の女は夢姫だけじゃ。それはこの先プロになっても変わることはなか」
「…」
「夢姫、そろそろ時間だ」
「あ、うん…」
だけど、雅君は離してくれそうにも無くて
「雅君」
「なんじゃ」
「1年」
「ん?」
「1年後、立海のテニスコートで」
「覚えておくぜよ」
そう言った雅君はようやく腕を離してくれて
ゲートの方に向かってお兄ちゃんのいる所に行くと
「夢姫」
「ん?」
「いいのか?」
「うん」
雅君はこっちを見ていて
「先輩」
「なんだ」
「1年後、夢姫を返してくんしゃい」
「試合が入って居なければな。何もなければ返してやろう」
==
1年後
日も落ちていて、当たりも暗くなっている中、立海の男子テニス部のコート前に来るも
「それもそっか。いるわけないよ…ね」
雅君だってプロの選手だ。低確率で来れるはずがないんだ
「やっぱあの時にはもう終わってたんだよね…あたしと雅君の関係も…」
コートを後にしようとしたときだった
ベンチコートに座らされたあたしと目の前には雅君がいて
「え?」
「まだ日付はまたいどらんぜよ」
「そうだけど…」
「じゃから、ちゃんと迎えに来たけぇ。先輩にもお前さんの両親にも話はつけてあるぜよ」
両親にも、お兄ちゃんにも話はつけてある?
「これで堂々とお前さんを俺の嫁じゃと言えるき」
「よ!?」
「当り前じゃ。1年も我慢した俺を褒めんしゃい」
雅君はあたしの横に座ってあたしの薬指に指輪をはめてくれると
「もう2度と離さんぜよ」
「でも…」
あたしにはこっちに住む場所が無くなっていて
「大丈夫じゃ。親父さんが結婚祝いに家を建ててくれるそうじゃしの」
!?
「いつだか話してた例の話しをしたら快く作ってくれることになったぜよ」
「そ…なんだ…」
「じゃけ、暫くは俺のマネージャーもしてもらうぜよ」
「なんで?」
「他所の男に目を配らせない為じゃ。夢姫は俺だけちゃんと見てればいいぜよ」
