合宿所スペシャル!
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練習を終わらせたであろう中高生達のドリンクホルダーはどれも空になっている
「それだけの練習量だっていう事なんだろうけどなぁ」
「すまない、頼みがあるんだが」
「ん?」
声のする方を見ると乾君と柳君が一緒に居て
「何?」
「昼間この合宿所の名産を作るという話になってな」
「そうなんですね」
「そこで俺がレシピを考えるからキミに料理をしてもらいたいと」
「…え?」
確かにここで作ることには慣れている。中学のときから作っているのだから当然なんだろうけど
「キミがあまり種ヶ島先輩や徳川先輩、大人組意外に作るのに抵抗があるのは見ていてわかるんだが」
「そうですね。出来る事ならあたしはお断りしたいですけど」
セグウェイに乗って走ってる修ちゃんを見つけてしまったあたし
「でも」
「「でも?」」
「切原君は完食していたとシェフからは聞いていますが」
「やってみたらいいじゃないか」
「カナ君」
「そのレシピでハンバーガーを作って実際に出してみたらどう?僕たちは夢姫が作ったものを無碍にしたりしたことなんてないだろう」
「そうだけど」
「やるだけやってみればいいさ」
「分かった。やるだけやってみる」
「助かる」
夕飯の後、宿舎の中で本を読んでいるときだった
「ハンバーガーですか…どう作ってもあまり変わり映えしないように思いますがね」
「見た目はそうかも知れないが味や栄養面では様々な工夫をこらせるはずだ
アイデアは多い方が良い。良ければ相談させてもらえないだろうか」
「専門的なこつはわからんばってん、感想くらいなら構わんばい」
「僕にわかる範囲でしたら」
「ありがとう、助かる。では早速だが『合宿所スペシャル』はある意味合宿所のご当地グルメだ。そこで合宿所近辺の特産の食材を使いたいと思っている」
「合宿所ら辺に特産品があると?」
「それについては、蓮二がシェフやスタッフに聞き込み中だ」
「調査結果待ち。というこつか」
「因みにハンバーガー以外の料理にする予定はないのですか?」
「発案者の切原が、ハンバーガーを希望している。が作るのは越知だからな」
「越知さんが?」
「あぁ。アイツの手際の良さは抜群だ。それと氷帝の宍戸や向日、芥川、それと発案者の切原のお墨付きだ」
「それはまた」
うるさ…と思って部屋で本を読もうと立ち上がると
「おや」
「良い所に」
「何でしょうか」
「ハンバーガーの中身は」
「好評であれば今後のメニューにもなって行きますよ。ハンバーガーと言ってもバンズも色々と種類がありますし、ライスバーガーと言うのもあるくらいですしね」
「其れはいいことを聞いた」
「ですね」
「お役に立てたなら何よりです」
静かな場所で読むのに最適な場所がどこにも無くて仕方なくバーに行くと
「おや珍しい」
「そうですね。夢姫が此処に来るなんて」
「まぁ色々と。童話を見るなら静かな場所でと思ったんですがお話し中の様ですし、別の場所を探します」
「いや、昼間の話をしてただけなので」
昼間の話?
「昼間、中学生や高校生にレストランのメニューについていろいろとデータ収集されました」
「珍しいですね」
「いつもなら蒐集する側なのに」
「合宿所のご当地グルメを作るそうですよ」
「いいねぇ。ご当地グルメ!」
「発案者は中学生ですけど」
「中学生の発想って柔軟だなぁ」
「褒める所なんですか?」
「少なくとも、僕には考え付かないかな。どんなメニューにするつもりなんだろう」
「ですがちゃんと栄養面も考えて貰いたいものです」
「ま、夢姫ちゃんも頼まれているんだろう?」
「そうですね。レシピを作ってくれるそうなのでそれに見合って栄養面を考えますよ」
「流石です」
「黒べぇの評価は厳しそうだ」
バーテンダーの人に出してもらったのはノンアルコールのカクテルだ
「童話を読みながらノンアルを呑む子もいないでしょうが」
「出してくれているのを呑まないなんてことはしないですよ」
「でしょうね。其れを呑んだら部屋で休んでください」
「そうします」
==
翌朝、キッチンに入ると難しい顔をした乾君が其処にはいて
「おはようございます」
「あぁ」
「あさから何を難しい顔をしているのですか。それに随分と珍しい食材もあるみたいですけど」
「その真っ白いワラビは思いがけず手に入った貴重な食材だ」
山にでも入ったわけだ
「しかし、買ってきて貰った食材がことごとく想定に反している」
「確かに、乾の買い物リストとは全然違う食材馬鹿李みたいだな」
「あぁ。指定外のスパイス、野菜、果物、倍以上の肉、コーラにガム…全く…どうしてこうなった?
リストを前提にレシピを考えていたから、これでは考え直さなければならないな」
「レシピ作り俺も協力するよ」
「助かる」
「果物を別と考えて頂いてもいいですけど」
「ほう」
「其れって一体」
「果物には果物の栄養価があるので、別と考えて出すのもありだと思っていますけど」
「其れは面白い」
「食材を見ながら何を作るか、考えるのも楽しい作業だしね。それで、英二にも手伝ってもらおうと思うんだけど」
「いや。調理は全て彼女に頼んでいる」
「そうなんだ」
「あぁ。あの氷帝の向日たちのお墨付きがある彼女だ。それに切原も絶賛している」
「それはまた」
「昨日の彼女の手際の良さは俺も把握している。だからこそ彼女に頼んだんだ」
「へぇ」
「『合宿所スペシャル』新しい挑戦は想定通りに行かなくて当然。改めて気合を入れて挑むとしよう」
レシピを出してくれただけあって作るのは簡単だ
「今日中には出来そうか?」
「今日の夕飯迄には間に合わせますけど」
「助かった」
「夕飯がハンバーガーでなんてもちますか?」
「足りなければ自分たちで食べるだろう」
「そうですけど」
シェフたちも気を使ってくれて、こっちに専念していいと言ってくれているのでタネを作って夕飯に間に合うように準備をしていく
==
夕飯時
「「あーっ腹減ったぁ!」
「あの、合宿所スペシャル、完成しましたか?」
「待って居たよ2人とも。いよいよ試作品の披露だ」
「「おぉ…」」
乾君に持って行ってもらうと
「これが皆で作り上げた『合宿所スペシャル』だ」
「で、でけぇ」
「めちゃくちゃ肉入ってるじゃないっすか。美味そー!!」
「集まった食材をどれも生かそうとした結果だ」
「しかも、果物は別になってるんっすね!」
「越知が作ってくれているからな。そう言ったものに強みのある者が作ってくれるのは助かった」
「自分たちで切り分けて食べてくださいね」
皆で食べた結果の感想は
「美味いさぁーー!」
「食材がめちゃくちゃ入ってんのに味が喧嘩してねーっつーか」
「全部合わさることで新たな味を作り上げている」
翌朝
「夢姫からの伝言があってな」
「何ですか」
「あれを定番化するには調理に時間がかかりすぎるからこれっきりにしてくれってさ」
「まあ、あんなのそう何度も作れねーよな」
なんて話声が聞こえて来ていて
「おはようございます」
「おはよう夢姫」
「でも俺も食べて見たかったな。知った時には跡形もなかったから」
「それで、幻の食材とやらはどうだったんだ?」
「最高でした。味以外は」
「いや、味がすべてなんじゃねーか?」
「幻の食材か…『合宿所スペシャル』について詳しく訊いていないが、それはドリンクではないのか」
「あーん?ハンバーガーだって聞いてるぜ」
「時間と手間さえかからなければ作れますけどね」
「本当かい?」
「また新しいメニューを作る時はぜひ食べてみたいな」
「あの味付けならライスバーガーでも行けなくはないと思うけど」
「そうなんだ」
「えぇ」
「ま、夢姫の壁をぶち壊せんうちはしばらくは作らんやろうがな」
「でも夢姫さん!」
さん!?
「いつか、作ってくださいよー」
「いつか…ね」
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