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「へぇやるじゃん」
「やる気満々というか、負けず嫌いって所かな」
「せやね。同じタイプの奴が合宿所におるし」
「でも一緒に練習することもない」
「そうやな」
なんて話しているとあたしのスマホに着信を知らせるバイブが鳴って居て
「もしもし」
「あ、夢姫ちゃん?」
「あたしのスマホから別の人が出たら怖くないですか?コーチ」
「まぁそうなんだけど。監督からの指示が1つ変更になったんだよ」
「変更?」
あたしの言葉に反応を示してくれたのは修ちゃんだ
「俺にも聞かせぇ」
「今度の合宿。来年の高校生になる子が入るのと同時に中学生も引き入れることになってね」
「へ?」
中学生も引き入れる?
「まぁ、それも来年からなんだけど」
「成程なぁ。でもそれだけやないやろ」
「ご名答。今の高校生たちにも残ってもらう事になる。帰って来た時に詳しく話しますよ」
「そらまた。帰ったら詳しく訊かせてもらうわ」
電話を切った後試合を見に行くとサービスゲーム全部取られたって所かな
「修ちゃん。彼は決定でいいかな」
「夢姫が決め」
あたしの持っているリストに青学の越前君の所に丸印を付けていると
「比嘉の彼も丸付けとき。あっちに来たら化けるやろ」
まぁ、修ちゃんの言ったことが外れたことなんてほぼないけど
本当に招き入れるの?なんて思っていると
「大丈夫や」
「うん」
比嘉の田仁志君にも丸を付けておく。修ちゃんからは六角からは2人だけ丸を付けられている
「これで既に4人か」
「あっちゅう間に決まりそうやな」
「だね」
「だけど、なんで越知君の妹である君が種ヶ島君と」
「まぁ氷帝の幼稚舎で色々とあったのと、あたし在籍はしていますけど、氷帝には通ていないので、お兄ちゃんの勧めで合宿所にいるんですよ。当然修ちゃんだけじゃないですけどあの合宿所にいれる間はいますよ」
「夢姫の安全も保障されるわけですから」
「君島も来たんか」
「えぇ。思っていたよりも撮影が早く終わった物ですから」
「お疲れ様だね」
「あぁ。ですが候補は未だ4人?いや3人か」
「それが、コーチから連絡があって」
その話をした時に
「成程。其れですでに4人なわけですね」
「そういう事。この話は修ちゃんも知ってるよ。一緒に訊いてたから」
「成程。それで越知は」
「氷帝戦を見に行ってる」
「そうですか。でもまぁ私は別の試合を1つだけ見て帰るとしますよ」
「別の試合?」
「えぇ。獅子楽中です。九州二翼のいなくなった獅子楽のレベルを確認したいのですよ」
「なるほど」
「ではこれで」
「本当に君は中学生なのかい?」
「そうですよ?れっきとした氷帝学園中等部3年です」
その言葉に驚きを隠せていないのは青学だけではないようで
「跡部とかと同じ年には見えないね」
「まぁ、氷帝に在籍だけしているのも事実なので何も言いませんけど」
「どういう」
「そのままの意味やろ。コイツの兄貴が氷帝戦を見に行ってるのにコイツが見に行かないのが何よりの証拠や」
「別に見に行かなくても。折角お兄ちゃんが氷帝学園を全国区までにしてくれてるのに今回は東京枠で入って来てるんだよ?3年間でそれだけのレベル落ちしてるって事でしょ」
「ひっでぇいいようだな」
「本当の事だもの」
「んだと?」
「って言うか、大和君からこんな短気な人がいるだなんてあたし聞いてないんだけどなぁ」
「!?」
「キミは」
「大和部長を知って居るのか?」
「大和君って青学の部長だったんだ。知ってるも何も」
「同じ合宿所におるからな。大和は」
「関東大会があった時に少しだけ外泊届出してたよね?大和君」
「せやなぁ」
「え?」
「あの時にはその合宿所にいたんですか」
「おったおった」
試合を見ていると後ろに下がっている越前君の姿
「嬉しそうにしとったで?久々に後輩に会えた。ゆーてな」
でも結局打ち返せずサービスゲームを落とした越前君
「面白いね。彼」
「やな」
試合をみて行くと
「へぇ片足のスプリットステップ使える子中々いないのに」
「身軽な体やからできる技やな」
「だね」
打ち返さないのも冷静な判断だ。田仁志君の打っている球がアウトになっていて
「全然プレッシャーはないみたいだね」
「当然っすよ。アイツの教科書にプレッシャーなんて文字ないっす」
「それを言うなら辞書だろ」
「どっちもサービスゲーム落とす気はないんだね」
「せやろうな。けど」
「「けど?」」
「こりゃ、どっちかの体力が落ちた時に一気に決められんな」
「え?」
流石は修ちゃん。冷静な判断で回りもよく見てる
「最後にリターンエース奪って勝つのは俺だけどね」
「ほんまアイツそっくりやな」
「だね。似た者同士だ」
カズ君と
「タイブレークまで来てもうたな」
「だね」
2ポイントどちらかが先に取った方が勝者となる。
田仁志君の打ったサーブを打ち返した越前君
「あらら」
「え?」
「とっくに限界を超えていたのは比嘉の方だったか」
「どういう」
「あのサーブの威力はとっくに限界を超えていた。だから越前君もあのサーブを打ち返すことが出来た」
「まぁ、途中態とラケットを落としておったようやしな」
「な!?」
田仁志君は何が起こったか分かって居ないようで、結局は越前君に負けてしまっている
「7-6…っと」
「次はダブルスか」
「青学は…」
反対側のベンチコートには見覚えのある人たちがちらほらといるのが見えてしまった
「夢姫?」
「ホント、嫌になる」
氷帝の人たちがこんなにも怖いだなんて
そんな中ダブルスが始まるとアナウンスが入り、中に入って行ったのは
「2人とも3年だな」
「うん」
青学からは河村隆君と不二周助君
「あれ?不二の苗字が2つ?」
「兄弟やって」
「そういう事」
比嘉の選手も2人とも3年。平古場凛君と知念寛君か
始まってそうそう狙われたのは青学の監督だ
「!?」
「成程。あの比嘉の監督が曲者なんか」
「みたいだね」
「え?どういう事?」
「夢姫も気づいとったみたいやし」
「あの比嘉中の監督の左手のサイン親指を下に向けたの」
「え?」
「比嘉や九州ではそれが通用していたのかもしれない。けど全国やあたし達みたいな人間が見に来ているという事もプロのスカウトマンだって来ている人たちだっている。そんな簡単なことがあの比嘉中の監督も比嘉の選手たちも分かって居ない」
あの合宿所に来て地獄を見るのは彼らの方だ
「打ち返した?」
「やな。夢姫、河村丸付けとき」
「うん」
「じゃあ、今持っているそのリストは」
「来年用ですよ」
「修さん、夢姫」
「奏多君」
「奏多」
「今年も舞子坂は駄目だね」
「惨敗かいな」
「あぁ」
丸付けてと言わない当たり来年も入れるつもりは無いんだろう
「あ、そうだ」
「うん?」
「不動峰も四天宝寺の試合も面白いものが見えそうだよ」
四天宝寺と不動峰…か
「毛利が見に行くやろ」
「どうだろうね。毛利君の事を知らない後輩たちばかりなんだよ」
サブちゃんを知らない。という事はサブちゃんが立海へ移った後に入ってきた子たちか
「まぁ、それは何とも言えないね」
「だね」
「となれば毛利は立海を見に行ってるんかいな」
「そうだろうね」
「立海の毛利君と言えば確かに全国クラスだけど」
「え?そんな人がいるんですか?」
「いるよ。中学1年間だけ四天宝寺にいてね。親の都合で神奈川の立海に来てる。あたし達3年生よりもたった1つ上の先輩」
そしてお兄ちゃんのダブルスのコンビ
「これ以上犠牲者はごめんだよ」
昨日の六角の監督の事を話しているのだろう。
「確かに昨日あの後おじいの仇を取ってくれてる高校生がいる。正論を言ってくれてたあの子だっている。そんな人たちにボールを当ててきたりラケットを振りかざそうとするなんて俺は許せない」
「河村」
「皆揃ってこの全国で悔いのない試合を…最後のテニスを」
最後のテニス?高校では河村君はテニスをしないつもりなのか
「あれ?」
「どないした?」
「不二君の雰囲気が変わった」
「確かに」
「この雰囲気を俺達は知ってる」
「へ?」
「関東大会で聖ルドルフと試合した時と同じ雰囲気だ」
関東大会で?
「これが」
「ん?」
「これが君たちのテニスなのかい?昨日の事も今朝のあの子にした事も」
!?
「だったら絶対に負けるわけにはいかない」
「善かったな夢姫」
「うん」
「やってもらおうかねぇ」
「修ちゃん。不二君も丸付けちゃうね」
「あぁ」
コートに戻ってきた河村君
「怪我はなさそうだね」
「せやね。あんだけの衝撃があったっちゅーのに無事なのはベンチのおかげやろうな」
「だね」
「え?」
「固いけどベンチがクッション代わりになってくれたんだよ。そのおかげである程度の衝撃で済んでいるのかもしれない」
「マジかよ」