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夢小説設定
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「まずはジロ君達が気になってるこのジャージはあたしの着てたジャージ」
「え?」
「どういう」
「お兄ちゃんがこの氷帝学園の中等部に入った年に一緒に作ってもらったもの。だから今はもう着られないけど、実際には高等部のジャージも持ってることには変わりはないよ」
「マジかよ…」
お兄ちゃんの目線が後ろに向いていると思ったら
「そして、このジャージはあたしに付けられた消せない傷跡の残りも付いてる」
「!!」
「消せない…」
「傷跡?」
「どこにもそんな傷なんて」
「目に見える場所だけが傷ではない」
「どういう」
「お前達代表合宿に来ていた選手は夢姫のされてきたことを見せただろう」
「はい」
「壮絶なものだとは記憶しています」
「ではその時に目に見えない場所もラケットで傷つけられているとしたらお前たちはどうなる」
「見えない場所」
そういや。と言った亮君達は思い当たる節があるようで
「なんだ宍戸」
「幼稚舎に通ってた時ですよね?夢姫が血まみれになっていたのは」
「あぁ」
「亮君の言っていた血まみれの時の私物はもう無いけど、あの後幼稚舎に入れなくてお兄ちゃんと一緒に中等部にいたことは事実なの。そして」
あたしの持っていた氷帝のジャージの内側についている落としきれなかった血の跡を見せると
「な!?」
「嘘だろ!?」
「これはあたしが中等部でお兄ちゃんが気付いていない時にされたもの」
震える手で、背中の傷を見せたあたしに
「この傷はどこの病院に行っても消せないと言われた傷跡。越知の家を使っても、君島の家を使ってくれた育人君でも消せる病院は見つからなかった。一生背負い続けていく傷跡」
「マジ…かよ…」
「これって」
「うん。ラケットで付けられた傷」
「!!」
洋服を着直すと
「今はこの学園にいないとはいえこれだけの事をされて、入院してあの当時から夢姫のメンタルは相当なものだった。精神科に入院を勧められる程にな」
「な!?」
「でも今は!」
「今は平気じゃないか。そう思っているのなら大きな間違いだ」
「どういう」
「精神科には入院をしていないだけで通っていた」
「通っていた?」
「通っているではなく?」
「あぁ。通っていた。俺達が高校でU-17に選出された時、あの合宿所にいる斎藤コーチにメンタルケアをしてもらっていたが夢姫は拒否した」
「でも、じゃあなんで」
「夢姫のメンタルケアをしているのが種ヶ島だ」
「え?」
「あの人そんなのが出来んのかよ」
「あぁ。夢姫がアイツから離れないのは何かあってもすぐに対処できるからだと俺は思っているが」
「だが、そんなラケットで付けられたって言うのに、よく見ていられるな」
「最初はお兄ちゃんのテニスも見るのは嫌だったよ」
「え?」
「むしろ見られなかった。今でも怖くなると見られなくなるよ」
「それって」
「お兄ちゃんでも、あの中にいる選手なら誰の試合でも」
「じゃあ」
「去年の全国大会の試合もそうだった。氷帝の試合を最初から見るつもりは無かった。そう言ったのはあたしが氷帝でされたって言うのもあって、亮君夜蛾君達とも距離を取っちゃったからあの頃のままの氷帝なんだろうって勝手に思って今の氷帝のテニス部のテニスを見ることが出来なかった」
でもと続けたあたしに
「でも、実際は違った」
「何?」
「合宿所に来た氷帝のテニスを全く見てなかったわけじゃない。崖の上に上がった氷帝の選手だって見て来てる」
「じゃあ、全く俺達のテニスを見てなかったって訳じゃねぇんだな?」
「そうなるね。去年の全国大会きっとあたし1人で観ろと言われていたら比嘉の試合だって途中で見るのを辞めてたよ」
「何?」
「比嘉の選手があの時あたしにラケットで傷つけてきた先輩と同じ目をしてたから。上に行くためならどんな手段でも使う」
「マジかよ」
「本当」
「氷帝ともっと早く向き合うべきだった。そうしっかりと思わせてくれたのは跡部君だよ」
「へぇ」
「あのスペイン戦で言ってくれなかったらきっと今もあたしは氷帝と向き合う事なんて出来なかった」
「そうか」
「でもよ」
「うん?」
「跡部は来年からイギリスだろ?日本代表合宿には」
その言葉に『あっ』って言ってる皆の声がどよめいていて、お兄ちゃんは知ってるから何も言わないけどあたしがクスクスと笑っていると
「なんで笑ってられんねん。日本代表の人間が1人減るんやで?」
「大丈夫減るなんて事無いから」
「え?」
「
「あぁ」
「国籍は変わらない。日本代表のまま日本に在中してもらうから」
「え?」
「でもそれじゃ」
「学校はイギリスの在籍になる。同じように高校が海外で出た選手は身近にいるよ」
「身近にいる?」
「でもそれって」
「俺ではない。君島だ」
「はぁ!?」
「育人君は、ハワイの高校を卒業してるの。気になるなら聞いてみるといいよ」
「そうするか」
「でもお前は」
「今は立海のマネージャーだけど、あの合宿所にいれば栄養面での専属コーチもしてるしね。ジーニアスのメンバーに入っていないだけで高校生で招致されている選手はまたあの合宿所に呼ばれるよ」
「そうか」
あ、そうだ。
「樺地君合宿所で撮ったバッジ持っているでしょう?」
「ウス」
「夢姫に渡しておけ」
「ウス…」
樺地君からバッジを受け取ると
「ありがとう。じゃああたしたちもこれで帰るね」
テニスコートを後にしようとして皆に背を向けた時だった
「夢姫!」
「跡部君?」
「悪かった。俺達も知らなかったとはいえ、お前にもいろいろと酷い事を言った。謝って許される事じゃねぇという事も分かって居ても」
「ううん。もう気にしてないよ」
「!」
「トップがいなくなっちゃう氷帝も大変だろうけど頑張ってね?あたしはきっと氷帝学園に足を踏み入れることはきっともうないだろうから」
「あぁ」
氷帝学園を出ようとしたときに
「夢姫」
「うん?」
「前を観ろ」
お兄ちゃんの言葉に前を見ると
「え?なんで皆が…」
「先輩がいるとはいえ、やっぱり心配でね」
そっか
「ありがとう。でも大丈夫だよ」
「うん?」
「今の氷帝は、あたしの知ってた昔の氷帝じゃない。しっかり景吾君の様に上に立つべき存在の人間が立ってる、今の氷帝をしっかりと見て来た」
「そうか」
「だけどまさか夢姫が跡部の名前を呼べちゃう日が来るとはね」
「これは俺達もウカウカしていられないな」
「特に仁王はね」
「そう言えばいないんだ?」
「今頃合宿所でウロウロしているんだろうな」
そんな姿が想像つかないけど
「このまま青学にも寄って帰るつもりだがお前たちは如何する」
「一体青学に…」
「桃城が持っているバッジを回収するためだ」
「そういう事…」
「そう言えば青学の校舎って見た事無いね。俺達も」
「ならおいでよ」
「「え?」」
「今日は中高合同の練習日なんだ」
へぇそうなんだ
「そんな日もあるんだね?」
「あるよ」