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次の日に帰って来たお兄ちゃん達よりも修ちゃんの方が距離が近い事に驚いていたのは紛れもなく皆だったけど
「篤君に修ちゃんとの距離が近い事を聞かれても答えられなかったあたしに詰め寄られたのも事実だけど」
「驚いたのはその直後の貴方の行動でしょう」
「どういう」
「俺達は真っ先に越知の所に行くと思ってたんだけどよ。夢姫の奴種ヶ島の後ろに隠れやがった。それが意外だったんだ」
「でも帰って来たその日に修ちゃんが育人君と一緒にいて、あたしが氷帝で出されていた課題をしているときだったの。育人君にあたしの出来ないと言うか苦手な科目の課題を見られる限り見る。その代わり、あたしと皆にある壁を自分で壊しなさいってそう言ってくれたのは育人君が初めてだったの」
「!?」
「壁を壊せば自分で出来る範囲の事が増えてくるし、これからの事も見えてくるって。お兄ちゃんと中等部にいた頃、榊先生に資格の話を持ち出されたのを思い出していろんな資格を取ろうと思ったのもその時だった」
「ほう」
「でも修ちゃんも雷で停電になった話は育人君やほー君に話をしていたみたいでね。その時にあたしが修ちゃんって呼んだことを育人君達に話したの」
「それはまた」
「で、その後に育人君から時間がかかっても構わない。自分の呼びやすいように呼んでいいと言われたの」
あたしには最初それすらも恐怖でしかなかったけどね
「でもそれを最終的に許可したのは修ちゃんとカナ君。それとほー君だったの」
「へぇ」
「言わなそうだけど」
「呼べばいい。なんてほー君は言わないよ。ただ『好きにさせろ』とだけ言われたけどね」
「ほう」
「だけど、育人君の言うように自分で壊すにも限度があってそれを分かってくれたのが修ちゃん」
「というと」
「夢姫は我々と出逢って半年で種ヶ島とデートに行っていますからね」
「「は!?」」
「俺達とは出かけもしないのにか」
「でもデートなんて」
「夢姫と種ヶ島は遊園地に行っていますよ」
「それはまた」
「でも修ちゃんはあたしが暗い所が嫌いだって言ったら入らないでいてくれたよ」
「確かにそう言っていましたね。帰りにアスレチック広場に行って帰って来たと貴方からも言っていましたし」
「うん」
今でも修ちゃんと遊園地に出かけた帰りはアスレチック広場に行くのが決まりなのはそういう所から来てるのかもしれないけど
「でもジュウ君にもすぐに隠れるその癖をどうにかしろって言われたよね」
「言われていましたね」
「そう言えば」
うん?
「先輩達はいつから夢姫の事を名前で」
「出会った翌日には名前で呼んでいましたよ」
「え?」
「同じ合宿所に越知が2人いるんです。どちらも苗字で読んだら返事をするでしょう?でも夢姫の事を名前で呼べば夢姫はちゃんと反応をしますよ」
「そうなんですね」
「ですから貴方方にもこう言ったでしょう?『お兄ちゃんが帰ってきたら越知が2人になるから自分の事は名前で呼んでもいい』と」
「確かにそう言っていたが」
「まさか」
「えぇ。私からの提案ですよ」
「じゃあ先輩達のマネージャー業務をしているのは」
「夢姫の息抜き程度だったんだ」
「息抜き?」
「あぁ。中にいてばかりいても気が滅入るだろうって。その提案をしてきたのは種ヶ島だそうだが。その提案を飲んだのは夢姫で無理だと思ったら休んで見てるのもアリだと言ったのも種ヶ島だそうだ」
「そうか」
「氷帝でされてきたことをここでするはずがない。そう教えてくれたのは大人組の皆だよ。試験勉強をよく見てくれたのは育人君だし、あたしが調理が得意だと。その調理が得意なあたしに資格を取るための資料を取り寄せてくれたのも育人君で。お兄ちゃん達がU-17にいる3年間で困りはしない資格のものだと教えてくれたの」
「それが今に繋がっているわけか」
「うん」
あたしが興味を持ったことにも驚いていたけど
「資格を取るための勉強も育人君が見てくれたの」
「へぇ」
「最後に呼べたのはほー君だけどね」
「それはまた」
「遠野君の場合は夢姫に餌付けをしていましたからね」
「「餌付け?」」
「えぇ」
「アイツの実家からよく林檎が送られてくるんだよ。名前で呼べたらって餌付けしてやがった。平等院に関しては夢姫がほー君って呼んでも『勝手にしろ』の一言だけだったしな」
「そうなんですね」
「でも翌年徳川が来た時徳川に小娘扱いされてたのを聞いてたんだろ。『アイツは俺達のマネージャーで大事な妹だ。小娘扱いされる筋合いはねぇ』ってな」
「想像がつかねぇ」
「だろうな」
「あたしも思ったもん。あたしの事なんて見てないんだろうなって思ってたくらいだし」
だけど
「平等院も大概夢姫の事見とるからな」
「は!?」
「ふふ」
「夢姫?」
「皆は知らないから教えてあげるよ。サブちゃんが立海に用があるってついて行った時あったでしょう?」
「そう言えば見学をしたと言っていたな」
「でもその前にも1度練習試合で立海に行ってるんだよ」
「「はぁ!?」」
「舞子坂と立海の練習試合」
「そう言えば」
「高校の舞子坂に申し込んで来たのは中学生だった。試合の結果は立海の惨敗」
「なぜそれを…」
「待て弦一郎。お前まさか」
「何か知って」
「一昨年確かに俺達は高校生に練習試合を申し込んで惨敗をした。その時に一緒にいた女子マネージャーは夢姫か」
「何?」
「そう。あの時修ちゃんとカナ君と一緒に舞子坂の練習試合に行ったマネージャーはあたし。あの時のあたしの目的は練習試合じゃない。サブちゃんを招集するために見に行っていたようなもの」
「へぇそんな事が有ったんだ」
「あの時、自分たちが常勝と王者という言葉に浸り過ぎていた。だからあたしの言った言葉に突っかかってきたでしょう?」
「そう言えば」
「でもサブちゃんの中学での試合は見ることが出来なかったけど確実に見られたのは翌年」
「先輩が高校に上がってからか」
「そう。あの年の関東大会で氷帝が優勝したのは知っている?」
「ん…」
「氷帝と立海が決勝で当たったの」
「な!?」
「結果は目に見えて分かって居たけど、お兄ちゃんとサブちゃんの試合、サブちゃんが1ゲームも取ることなく負けたでしょ。あの時言った言葉はそういう事なの」
「マジかよぃ」
でも事が動いたのは秋の新人戦の時。修ちゃんと見に行ってあの時とはまるで別人になっていたサブちゃんの姿だ
「でもね、サブちゃんを招集した時まだカズ君と顔も会わせられなかったんだよ」
「え?」
「むしろサブちゃんの方が打ち解けるの早かった気もするけど」
「そうですね。まぁ寿三郎が来た歳に我々がダブルスも出来るようにと提案してきたのはコーチですが」
「マジか」
「でも寿三郎とも半年近くかかっていますからね」
「へぇ」
「で高校も氷帝に通わないと自分で決めて越知には伝えていたようですが、肝心のその先が決まらず悩んでいたのも知っていますよ」
「え?」