12
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
せーちゃんの部屋を出ると、大人組のいるフロアに戻ってきたあたしは
「おや」
「種ヶ島が1人で戻ってきたと思ったら何悩んでんだよ」
「ひゃっひゃっひゃ、どうでもいい事だったりしてな」
「どうでもいいことなら夢姫がこんな表情をしないということは我々がよく知っているでしょう」
「どうせ、ツッキー絡みやろ」
「ほう」
「お兄ちゃんにプロのスカウトの話が入ってるの」
「それはいい事では無いですか」
「そうだな」
「でもそれでなぜ夢姫が悩むんだよ」
「少し前くらいからは考えてて…ただ」
「自分だけではダメなところまで来たって訳か」
「お兄ちゃんがプロに入ったらあたしもお兄ちゃんのサポートに回ろうって決めてたの」
だけど、立海の高校に入って皆に出会って自分の気持ちがよく分からなくなったのも事実だ
「夢姫」
「育人君?」
「越知にこの話は」
「してない」
「なら、越知が出す答えを私が言いましょう」
「え?」
「まず越知の妹であり我々のマネージャーやサポートを貴方がしていることには変わりはありませんが」
「うん」
「それ以前にまだ学生です。高校位は出ておいた方が良いでしょう」
「え?」
「あなたが将来越知のサポートに回るのは自由ですが、高校を卒業を待てない越知でない事も事実でしょう」
あ…
「それにあの合宿所にはプロに入ってからもU-25という形があるのでまずはそれまでは我々もあの中にいることは事実ですよ夢姫」
「え?」
この大会が終わったら終わりじゃないの?
「なのでちゃんと学校には通う事を我々は勧めますね」
「だな」
「ツッキーも高校位は出させるやろ。で?」
「「で?」」
「夢姫はまだ何か悩んどるやろ」
「そうですね」
やっぱ育人君と修ちゃんにはお見通しかぁ
「さっき、氷帝の」
その言葉に空気が一瞬張り詰めていて
「榊先生にあたしの本当のお母さんが今はこのオーストラリアにいるって聞かされた」
「それはまた」
「会うか会わないかを自分で決めろって言われたけど」
「まぁそれは夢姫の事だしな」
「俺達が簡単にあって来いとは言えねぇよな」
「そうですね。ですが」
ですが?
「早めに事を片付けてもいいのでは?」
「どういう」
「せやな。夢姫」
「修ちゃん?」
「会って来ぃ」
え?
「母親の話は越知は」
「知ってる。お兄ちゃんと一緒に聞かされたから」
「越知と一緒に行く手もありますが」
あたしが修ちゃんの傍に行ってしまった事もあり
「種ヶ島と一緒に行ってもよさそうですね」
「え?」
「母親に会うにしても夢姫が一緒にいて平気な人材が一緒に居た方が良いでしょう」
「でもそれは俺やない。ツッキーなんやろうな。せやから早めに片付けて明日出かけようや」
「待っててくれる?」
あたしの言葉に、皆がふっと笑ってくれて
「当然でしょう」
「ったく」
「何年お前の兄貴をやって」
「一緒にあの合宿所で生活してると思ってるんだよ」
あ…
「お前の帰りを待てねぇ俺達じゃねぇよ」
そう言ってくれた皆に安心して
「きっとさっき立海の奴等と話してたんはこの事なんやろ」
「うん。でも」
「まぁ答えは出ないでしょうね。半年の彼等と4年の付き合いの我々では出す答えも違うでしょうから」
そういうモノなのかなぁ
「取り合えずまずは越知にも話をしてあとは先生にも場を設けて貰った方が良いでしょう。此方にいるという事を知っているのなら会う事も簡単にできる筈でしょうから」
「話してくるっ」
「ようやくいつも通りの夢姫に戻ったなぁ」
「えぇ。気を付けるんですよ」
「はーい」
お兄ちゃんの部屋に行くとおもいっきりお兄ちゃんに抱き着いて
「どうかしたのか」
「あのね」
悩んでいたことを打ち明けると
「成程な。だがせっかく氷帝を辞めて立海に入ったんだ。卒業はしておいた方が良い。資格があるとはいえ、高校卒業の資格があるのとないのではそれも大きいだろう」
そうなんだ
「だがあとは母親の件だな。榊先生には俺から連絡を入れてみよう」
「大丈夫?」
「お前の事を蔑ろにするような教師では無かっただろう。中等部にいた頃も」
「そうだね」
お兄ちゃんがすぐに話を付けてくれて、母親も早い方が良いとの事で翌日に会う事に
「お兄ちゃんも一緒にいてくれる?」
「問題ない」
やっぱり皆の方が何枚も上手の様で
==
翌日
普段通りに起きたあたしは、食事の支度を済ませて先に住ませたあたしに
「夢姫ちゃん?」
「随分と急いでるようだけど」
「まぁ、ちょっとね」
「夢姫」
「お兄ちゃん」
「行けそうか」
「うん。もう行ける」
「?」
「そうだ。せーちゃん達に話を聞いてくれてありがとうって伝えておいてくれる?」
「それは構わないけど」
「ありがとう」
お兄ちゃんの隣に行くと
「いいのか」
「うん大丈夫だよ」
オーストラリアに残る訳でも母親の所に残るわけでもないし。なんて思いながらも指定された場所に行くと榊先生と一緒にいる女の人
「お待たせしました」
「いいえ、こちらが早く着いてしまっただけですから」
そう話してくれたのは優しそうな女の人で
「お前たちに紹介しておこう。越知夢姫の本当の母親だ」
「久しぶり…ね。こんなに大きくなった娘に会えるなんて思わなかったわ」
「初めまして」
あたしの言葉に驚きを隠せていなかったようで
「まぁそうなるわね」
あたしを越知の家の前に置いてどこかに行ってしまったのは12、3年前。3歳4歳の頃の記憶なんてほぼない。
現にあたしは会の家で私生児と言われるまで越知の両親が本当の両親だと思っていたのだから。まぁそれは今でも本当の親だと思っているけど
「夢姫」
「お兄ちゃん…」
「そう。貴方があの人の息子なのね」
「ん?」
「あの人が貴方に兄弟を作ってあげたいと。だけれど奥様がもう子を為せないからと。でもどうしても女の子が欲しかったあの人とあなたのお母様が提案してきたの。不倫だと思われても仕方がないわ。其れだけの事をしてしまったのも事実だもの」
「「!!」」
「でもね」
でも?
「本当はもっとあなたと一緒にいたかったのも事実よ」
「あたしは…」
「夢姫?」
「あたしは別に会いたいなんて思っても無かった。越知の祖父母がいて両親がいる。そしてお兄ちゃんがいてくれる。そしてあたしのいる場所にはお兄ちゃん
「…っそう…よね」
「夢姫」
「あたしを捨てた母親の事なんてどうでもよかった。越知の家で私生児と言われても」
「「!!」」
私生児と言われていたことを始めて自分の口から言うなんてお兄ちゃんも想像はしなかっただろう
「聞きたい事がある」
「お兄ちゃん?」
「何でも答えるわ」
「なぜ4年も育てたのに、急に4歳の頃越知の家の前に夢姫を置いてどこかに行った」
「そうね。貴方達は確かに疑問に思っても不思議じゃないわね」
「え?」
「あの当時お金も少なくて、夢姫を育てる事にも精一杯になってしまったの。それでどうしようもなくなって夢姫を…あなたを本当の父親の元へ送りたかったのよ。女の子が欲しいと言っていたあの人たちの元にね」
「な…」
母親だと言う女の人の指には指輪が嵌められていて
「今は結婚もしているわ。今の旦那は子供は男の子にしか興味がない人でね」
きっとあたしを捨てた時にはすでに知り合っていたのかもしれない。女の子だったあたしを捨てるにはちょうどいい機会だったのかもしれない
「このオーストラリアに住んでいるのか」
「いいえ。ドイツよ。貴方も出ているU-25のドイツ関係者が私の旦那なの」
ドイツ?
「でもその話は裏もあって」
「「裏?」」
「今の旦那にはね、子供は男の子だけでいいとそう言われたの」
!!
「悩んだわ。自分の娘を自分の手元に置いておくかともね」
「その結果が越知の家の前に置いて行くことだったという事か」
「えぇ。でも忘れた事なんて無かったわ。あの人から貴方が氷帝ではない学校に行くと聞かされた時は驚いたけれど」
「なんで」
「え?」
「それじゃまるであたしが最初から氷帝に通う事を知っていたような」
「知っていたわ。あの人がすでに自分の息子が氷帝学園の幼稚舎に通っている事を話してくれたもの」
それこそお兄ちゃんとあたしが驚いてしまって
「今は」
「え?」
「今は幸せなの」
「えぇ。貴方がいない寂しさもあったけれど。今は息子も娘もいて幸せよ」
母親のその言葉を聞いて椅子から立ち上がったあたしに
「夢姫」
「もう、話すことなんて何もないから」
「どういう」
「そうだな。もう夢姫は限界の様だ」
「「限界?」」
「貴方が越知の家に夢姫を連れて来てくれたことには感謝をしています」
「そう」
「ですが、夢姫が越知の家でされてきたこと。氷帝学園でされてきたこと、言われてきたことを考えたら夢姫の方が辛い思いを貴方以上にしてきているという事を忘れない方が良い」
頭を下げたお兄ちゃんに
「帰るぞ夢姫」
「うん…」