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「じゃあ幸村の話とは別件で」
「うん?」
「ねぇ夢姫ちゃん」
「不二君?」
「そろそろ僕たちの事も名前で呼んで欲しいな」
「何で?」
「立海や元々呼んでいた人たちなら分かる。でも僕たちだけが夢姫ちゃんを名前呼びして夢姫ちゃんが僕たちを名前で呼ばないのは不公平じゃないかい?」
そんなことないと思うけど
「確かに。夢姫が名前で呼んでいる人材って少ないよね」
「そう?」
「俺達立海とお兄さんたちを含めた大人組。氷帝の宍戸、芥川、向日くらいだろう?」
「そうだね?」
「でもきっとその中でちゃんと呼べているのって宍戸くらいじゃない?」
「亮君?」
なんで亮君なんだろう
「ほら」
ほらと言われても分からなくて首をかしげていると
「なんでそう呼べるのに」
「大分前の事だよ。りっくんって呼んだら恥ずかしいからやめろって言うんだもん」
「へぇ」
「夢姫?」
「まだ怖いかい?」
「少し…」
どこで…お兄ちゃんの義理の妹だって言われるか分からない、越知の義理の娘だって言われるか分からない状況じゃ
「何話してんだよ?」
「夢姫ちゃんにそろそろ僕たちの事も名前で呼んで欲しいなと思っててね。僕たちだけが夢姫ちゃんの事を名前で呼ぶなんて不公平じゃない」
「あぁ、そういう事か。確かに不公平だよな。俺達氷帝だってそれは同じだ」
「せやなぁ。岳人や宍戸、慈郎は兎も角としてもや」
なんて話している跡部君に忍足君
「おやおや。どうかしましたかな?夢姫が泣きそうな顔をしているなんて」
「デューク君…」
「先輩」
ことの顛末を話してくれた不二君にほー君とジュウ君が
「成程。それで夢姫に名前を呼んでもらいたいと」
「でもよ、夢姫の場合中々無理があんだろ」
「え?」
「俺達の中に夢姫がようやく名前で呼べている奴がいる。お前たちじゃない、俺達の中にで、だ」
「先輩たちの中に?」
「それが誰か分かるか」
疑問に思っている彼らに続けたのは
「遠野と平等院だ」
「へ?普通に呼んでいますよね?」
「お前たちにはそう見えるだろう。でも実際にはまだ恐怖があるらしい。特に遠野にはな」
「まぁお頭の場合夢姫は妹と同じ感覚何でしょうな」
「寧ろここに居る奴等は大概兄妹がいる奴が多いから、夢姫の扱いにもなれたもんだろ」
「特に種ヶ島は下に妹と弟がいるから夢姫の扱いは早かっただろ」
「そうだな」
「そうなんですね」
「あぁ」
「だから夢姫もそう言った安心感があるのかもしれないが」
「立海は大丈夫そうだが青学や氷帝も先ずは夢姫に出来ている壁を壊すことが先でしょうな」
「「壁?」」
「そう」
「壁さえ壊してしまえば夢姫は案外心を開いてくれるし名前でも呼べるからな」
「そうなんですね」
「その壁ってどうやったら」
「それはお前たち次第やろ」
コーチと一緒に入って来た修ちゃんの所にすぐに行くと
「おやおや相変わらずですなぁ」
「5年も一緒に居れば変わるかと思ったけどな」
「「5年?」」
「あぁ。夢姫は氷帝の幼稚舎を卒業したのと同時にこの合宿所へ来ているからな。春先と言っても中学卒業と同じくらいで招集が掛かっているからな」
「そうだったんですね」
「ま、泣きそうな顔をしとる割には泣かんくなったのは進歩やろ。昔の夢姫なら絶対に泣いとるしな」
「そこまで泣き虫じゃないもん」
「十分泣き虫だろ」
なんて話をしているにもかかわらず
「せやなぁ夢姫」
「んー?」
「この大会後取り合えずコイツ等も1度学校には顔を出さなくちゃいけんしなぁ」
「そうなんですか?」
「あぁ。大会期間中は国外にずっとおる訳やしな。そんでもって普通の学生生活も送らせる話になっとる」
「へぇ」
「でも、俺達は戻ってからすぐに国内での遠征もある。夢姫はどうせ俺達についてくるやろうけど」
「行く」
「修二」
「お、竜二も丁度来たんか」
「竜君だ」
「他に誰に見えんだよ。チビ夢姫」
人のおでこにデコピンを食らわせてきた竜君に
「痛い…」
「加減してるからな。これでも」
「しゃーないやろ。女の子なんやから」
「修ちゃんが1番優しい」
「んなわけあるか」
「ですが、学校もあって遠征にも行くのは」
「無理な話やないやろ。毛利も同じ状況での生活なんやから」
「でもまぁ俺達からしたら立海にだって同じことが言えるだろうよ。コイツがちゃんと言えてる奴が1人もいねぇのが何よりの証拠だ」
「え?だって皆さんも」
「俺達の事は大分前からしっかりと言えてる。が夢姫が呼びやすいように呼ばせているだけだ。青学の大和も呼べている。君島も渡邊も同じように呼べている」
「むしろ君島と渡邊は既に名前で呼んでいるしな」
「夢姫が立海生をどこまで呼べるか。誰の事を先に名前を呼べるか見ものですなぁ」
「見せ物じゃないんだけどなぁ」
「随分と人が集まってますねぇ。ツキさん」
「そうだが一体」
「お帰りなさい」
「あぁ」
「青学の奴等も夢姫に名前で呼んで欲しいんやと」
「そうか」
やけど。と続けた修ちゃんの言葉に
「そうだな。確かに夢姫は俺達の事はしっかりと名前で呼ぶことが出来ているからな」
「ならばなぜ」
「夢姫が他人に壁を作っていることは知って居るな」
「なんとなく」
「ではその壁が見えるものだけではないとしたらお前たちはどうする」
「見えない壁があるって言う事ですか」
「そういう事だ」
「青学も氷帝も先ずは夢姫に自分を見てもらう事から始めんせーね」
「「自分を見てもらう?」」
「でなきゃ夢姫はツキさんや修さんがいる時みたくはならんよ」
「毛利先輩は出来たんですか?」
「出来ている。俺と一緒にいる時間が多い毛利は自分を見てもらう時間が他の奴等よりも必然的に多かったからな」
「そうなんですね」
「だが、それは立海大附属だって同じことだ。このワールドカップが終われば必然的にお前たちと一緒にいる時間も増えてくる。毛利も学校に行く時間も増えるだろう。お前たちを見てもらうための時間は多くあるという事だ」
「せやけど」
「「ん?」」
「夢姫に聞きたいことがある奴は山ほどおるんやろうな」
「だろうな」
修ちゃんやお兄ちゃんたちの後ろから見えたまー君の姿に一瞬ドキッとしたのは気のせいだと思いつつ
「でも彼女は」
「多少は話してくれるんとちゃう?特に夢姫と同じクラスの幸村や柳、丸井に仁王もおるしな」
「へぇ夢姫ちゃんってそんなに同じクラスの人間がいたんだ」
「いる」
「だが、俺達もいる前で話す確率は低い」
「だろうな」
話すつもりもないけど
「せやな夢姫」
「修ちゃん?」
「ちゃんとスマホもっとき」
「え?」
「夢姫の事を知りたいんやったらまずは立海だけにしておき」
「ですな。同じ学校であれば何かあった時に対処しやすいでしょうしなぁ」
「そういうもの?」
「あぁ。氷帝の宍戸達だってお前の全部を知って居るわけじゃないだろう」
「そうだけど」
氷帝のあの2人はこの合宿に来てからの面識しかない。話をするのがとても怖くて仕方がない
「夢姫」
「お兄ちゃん?」
「アイツらがそうそうお前に危害を加える奴等だとは思えんが、怖いと言うのなら氷帝学園とは合宿所で話をする機会を与えるが」
「今日一緒に聞くという手もあるけどね」
「今日済ませとけばええんとちゃう」
「え?」
「氷帝の2人も一緒でもいいけど」
「なんかあったらすぐに呼びや」
「うん」
立海の皆と氷帝の2人が残った部屋で
「幸村」
「ん?」
「氷帝学園の人間として最初に聞いておきたい事があるんだが」
「構わないよ」
あたしの方を見て来た跡部君と忍足君は
「宍戸や向日、慈郎とは幼馴染だと訊いてはいるが、なんで幼稚舎の途中から来なくなった」
「今はなくなった。というよりも処分されたからないけどあたしたちが幼稚舎に通っていたころには氷帝の幼稚舎にもテニスラケットやテニスボールが常備されていたの。それは幼稚舎の5年生くらいから始まる部活の活動で使用できるものだった」
「「!?」」
「だけど、幼稚舎の3年の終わりごろにあたしは上級生にラケットやボールで暴力を振るわれた。それも両親や祖父母、お兄ちゃんたちにも見つからないような場所に当てられたの」
「来なくなった理由はそれか」
「それもある。酷くなったのはお兄ちゃんが氷帝の中学に上がったのと同時にエスカレートしたの。中学と幼稚舎じゃ校舎も違うからとエスカレートした。その暴力を振るっていたのが同級生のお兄さんたちだったの」
「んだと」
「そないなこと」
「でもそれでも、幼稚舎でも中学の校舎に入ることは可能だった。お兄ちゃんに話せば少しは楽になれるかもとも思った」
「ん…」
「だけど待ち伏せされたの。例のお兄さんたちに。でラケットで思いっきり叩かれて気を失ったあたしが目を覚ましたのは使われていない旧体育館倉庫」
「な!?」
「今はもう無いでしょう?」
「あぁ」
「せやけどなんでそないテニスラケットやボールで」
「あたしがお兄ちゃんの本当の妹じゃないから」
その言葉に衝撃を受けているのは氷帝の2人だけじゃない。青学の皆だって同じだ
「先輩の」
「本当の妹じゃない?」
「養子か?」
「ある意味そうだね」
「どういう事だ」
「あたしとお兄ちゃんは異母兄妹。あたしが4歳の頃に越知の家に引き取られたから」
「じゃあ夢姫が実家で言われていた意味って言うのは」
「こういう事が含まれていたのか」
「そう言うこと」
「でもなんで」
「両親も祖父母も女の子を育てて見たかったっていうのは聞いた事があったの。でもお母さんはお兄ちゃんを産んだ後体調を崩して、2人目を望めなかった。お母さんは外に他に女性を作ってもいいと言ったらしくてね。お父さんが手を出した女性があたしの本当のお母さん」
「マジか」
「お父さんも喜んだって言うのは聞いた事があったしお母さんも同じように喜んでいたというのは聞いた事があったの。でもやっぱりシングルで、女手1つで子育てをするにも限界ってあったんだろうね。あたしを越知の家の前に置いて実母は行方をくらませているの。今もどこで何をしているのかなんて想像もつかないけど」
「ほんまかいな」
「本当のこと。嘘なんて言ったってしょうがないでしょう?」
「確かにな」
「ほな、学校に行けんようになったっちゅーのは」
「暴力を振るわれたときの映像を見たでしょう?」
「あぁ」
「あの時、お兄ちゃんは既に中等部でテニス部の部長もしていた。それだけの実力も兼ね備えていて上級生も同級生も文句なんて言う人なんていなかった
だけどそれでも中には逆恨みをする人もいるわけで、お兄ちゃんが試合に行っていなかった日をよく狙われることが多くなった。旧体育館倉庫に閉じ込められた日もお兄ちゃんは練習試合で学校にはいなかった日だった」
「え?だって第一発見者は確か」
「亮君たちだね。だけどやってきた張本人たちはその暴力沙汰を金でもみ消そうとした。けど出来なかったの」
「「出来なかった?」」
「あの氷帝学園でか?」
「そう。もみ消しをさせないように動いてくれたのは越知の家だけじゃない。跡部君たちなら知って居るでしょう?榊先生」
「「!!」」
「お兄ちゃんが榊先生に掛け合ってくれたのもあってもみ消しをさせなかった」
「なんで」
「あたしの制服の袖口や裾からラケットで叩かれた跡やボールを当てられた跡が見えたらしくて。お兄ちゃんはそれを榊先生に報告した
当然直ぐに幼稚舎からラケットもボールも撤去されたけど幼稚舎でも誰がラケットやボールを持っているか分からない。そんな恐怖もあって学校の中に入っても教室に入れない日が続いていたし、先生もそれを分かって居ても何も言ってこなかった」
「じゃあ、他に学校に行けなくなった決定的な何かがあったんだろ」
「幼稚舎では昼間に泳げない生徒が放課後にプールを使用できるのは知って居るでしょう?」
「あぁ」
「あたしもその1人だったの。普段教室にも入れないから皆と一緒になにも出来なくて、放課後プールの練習をしてた。時々亮君やがっ君たちにも手伝ってもらったりもしてたけど」
「へぇ」
「それはまた」
「でも、それが一変したのはある日、プールに入ろうとしてストレッチをしている最中に背後から前に突き落とされたの」
「「な!?」」
「そうなるとどうなるか分からないあたしでもなかった。けど落とされた恐怖と誰もいなくなっていたプールでの恐怖でどうしていいか分からなくなったのも事実。そこからプールが怖くなって泳げなくなった」
「マジかよぃ」
「奇跡的に助かったのは中等部のテニスコートが幼稚舎のプールに近いという事。すぐにお兄ちゃんが助けてくれなければ今頃あたしはいなかったかもしれない」
「な!?」
「そこからどこで何をされるか分からない恐怖があって学校に行くにも幼稚舎で降りられなくてお兄ちゃんが中等部に通っている3年間は中等部の図書室を使って勉強したり、職員室も使って居たりもした
音楽や体育みたいな授業はお兄ちゃんと一緒に出ていることが多かったけど。中等部で出ていても評価はしてもらえていたから」
「そうか」
「でもそれだけのことをされていたのならテニスだって怖くなりそうだが」
「怖くなったよ当然のように。でもお兄ちゃんがテニス部の部長をしていたし関東大会でも氷帝は立海にも青学にも当たってはいたけど全国大会で試合をしている選手も多くて
それでも氷帝学園のテニス部で試合をしているのならとお兄ちゃんが出る試合は全て見に行っていた。お兄ちゃんもそれを分かってて監督の隣で見ていても構わないと言ってくれたのだけれど、ダメならコートの隅で目を閉じていていい。そう言ってくれたの」
「マジかよ」
「お兄ちゃんがテニスで人を傷つけることはないって教えてくれた。全国では牧ノ藤学院とも舞子坂とも試合をしていてね」
「どこかで聞いたことのある学校やな」
「あるんじゃない?去年の全国大会にもこの2校は出てきているし。でもどっちもお兄ちゃんは主要選手との試合をしていないのも事実だけど」
「どういう意味じゃ」
「牧ノ藤には鳳凰くんが。舞子坂には奏多君と修二君がその時には在籍していたの。でもお兄ちゃんはその3人と試合をすることは無かった」
「な!?」
「高校に上がる時にお兄ちゃんからこの選抜強化に召集されているという話が来ていてあたしにはどうする事も出来ないからと思っていたのにコーチと監督に直談判をしてあたしも一緒に参加させてもらえることになった。
その時もお兄ちゃんしか信じられなくて、誰が居ても大して変わらないだろう。そう思ってたの」