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少し休んだ後お兄ちゃんがコートの設置をするからと一緒に行くと
「本当にコートが2面もあるとは」
「昔はよく使っていたのよ。氷帝に通っている宍戸君なんかも家が近いし、テニスをしているという事もあるのだけれどね」
「へぇ」
「宍戸と家が近かったんか」
「がっ君とジロ君も近いよ?」
なんならジロ君なら喜んで来ちゃいそうな気がするけど
「マジかよぃ」
「本当」
ネットを張り終わると、普段のTシャツとジャージでいいと言ってくれたお兄ちゃんに皆着替えてきて
「夢姫は気になっている人はいないの?」
「気になる人?」
「そう」
んーっと悩むも
「そうね。一緒に居て楽しいとか嬉しいとか思える人はいないの?」
一緒に居て楽しいのは修ちゃんだし嬉しいのも修ちゃんなんだけど、まーくんの顔も浮かんできて
「悩みごとの多い年ごろよね」
「え?」
「そうねぇ」
「お祖母ちゃん?」
「夢姫、今はめい一杯悩みなさい」
「悩む?」
「そう。4年前月光が行った選抜強化合宿に夢姫も連れて行くと決めたのは月光だけれど、それでもあの子も十分悩んでいたわ」
「お兄ちゃんが?」
初めて知った
「今まで女の子が入ったことのない場所に連れて行けばどうなるか分からない。けれどこの家の使用人たちの夢姫のいない様に扱っている人間が多くいる環境、氷帝学園の幼稚舎や一緒について行っていた中等部での出来事もあってここに置いておきたくなかった月光の迷いもあったのよ」
「そうなんだ」
後ろで聞いていた使用人たちは悔しそうに下を向いていて
「夢姫がここに来るのも戸惑っていたというよりも悩んでいたというのは月光から聞いているわ。
それはそうよね。あんな使用人がいる実家には帰って来にくいでしょうけど、貴方は間違いなく越知の家の人間で私たちの孫娘で越知家の令嬢でもあり月光の妹でもあるのよ」
「はい…」
みんながテニスボールを打ち始めていると
「夢姫はこの越知の家に来た当時から月光の傍を離れることなんてしなかったし、月光のテニスをずっと見ていたものね。今回の海外にもついて行くんでしょう?」
「うん。お兄ちゃんと一緒に行って来る」
「そう。気を付けて行って来るのよ」
「え?」
「娘が海外に試合とはいえ行くのだもの。心配で仕方がないわ」
そっか
「貴方方も本来ならば夢姫はこの家の人間。月光と同じように扱わなければならないと再三言っていたにもかかわらず未だに直って居なかったとは。この家の人間として恥ずかしい」
「で、ですが!」
「旦那様のお子ではありますがどこの女が母親かもわからない子供の面倒を見る義理など」
「ならば越知のこの家の使用人を辞め今すぐ出てお行きなさい」
「お祖母ちゃん?」
「大奥様?」
ボールを打っていたお兄ちゃんたちの手も止まってしまった事もありこっちを向いているのが容易に取れる
お爺ちゃんもお父さんもここに一緒に来て
「そうだな」
「お兄ちゃん?」
あたしの頭を撫でてくれるお兄ちゃんが昔から好きで
「夢姫を可愛がってくれていた例の使用人は」
「働けるならと申し出てくれてはいますが」
「旦那様!?」
「お前たちがないがしろにしている夢姫は紛れもなく私の娘でこの家の人間だ」
「そうですね母親が違う。それは認めましょう。でも」
でも?
「夢姫は間違って生まれてきた子でもあなた達がないがしろにしていい子でもありません」
「なぜですか!」
「お兄ちゃんは何か聞いてる?」
「少しな」
お兄ちゃんでも少ししか知らないんだ
「越知の家は男系家計。私の家は女系家計。月光を産んでからも私は女の子が欲しかった」
!?
「だけれど、子供が出来ない体になったのは夢姫が生まれてくる2年前。月光が丁度3歳くらいの時よ」
下を向いているお父さんも何も言えないでいるという事は本当のことなんだろう
「もう2度と子供は望めない。欲しかった女の子も育てることが出来ない」
「でもだからと言って」
「私がそう言ったのよ。外に女の人を作っても構わないと。あの人も女の子が欲しいと言っていたのに出来ない体になってしまったからと。
でもそんな中夢姫が来たのは3、4歳の頃。寒空の下家の外でうずくまっていたの。見た目が月光の幼いころにそっくりで紛れもなくあの人の娘であることに違いないと直ぐに分かったわ」
「な!?」
「貴方も見た事が有ったでしょう?DNAの結果」
「あぁ。夢姫が親父とは血縁関係にあると言う内容だったな」
「そう。私もあの人も泣いて喜んだわ。念願の娘を育てることが出来ると」
「だけど、お前たちは夢姫をのけ者扱いにしている。そんな使用人はこの家にはいらない。実家であるこの家は夢姫が安心して帰って来られる家でなければならない。何度も忠告もした警告もしている」
「へ?」
「ですが!」
「何度も言わせるな!」
「大旦那様?」
「お爺ちゃん」
「夢姫をこの家の人間として見られないお前たちは不要だと言っている!氷帝学園の幼稚舎や月光と一緒に行っていた中等部であったあの出来事の時からずっと!」
そんな昔から言ってくれていたの?
「今日中に荷物をまとめて出て行け」
使用人にそう冷たくいったお爺ちゃんとお父さん
「すげぇ爺さんだな」
「そりゃ越知グループの総帥だもの。だけどお兄ちゃんはダブルスでプロの道に行くことが確定している。お父さんだって大学の教授をしている。越知グループで働いているのはお母さんの方なの」
「へぇ」
ピンポーンというチャイムが鳴ったあと来たのは
「本当だぁ!丸井君もいる」
「げ。ジロ君」
「ここに来てまで会うとはな」
「まぁご近所様だし幼なじみだもん」
「だな。外にまで聞こえてたしな爺さんの声」
そうだったんだ
翌日、皆よりも少しだけ早く起きてしまったのはきっとあの人たちがいるからであろうからで
ベランダから外を眺めていると壁に向かって打っている切原君の姿とそれを見ているお兄ちゃんの姿があって下に降りると案の定まだあの人達は居て
「あら。もう起きられたんですか。昔の様にいつまでも起きて来なくてもよろしかったのでは」
「そうですよね?だって大旦那様や大奥様達はお優しいからあなたのような私生児に迄気にかけてくれているのだから」
私生児…そんな事あたしが1番知ってる
ドンっとあたしの肩を押してきた使用人の力が強かったせいか後ろによろけて倒れ込む寸前で
「またそんな事をしたのかお前たちは」
「つ、月光様…」
「…っ」
お兄ちゃんの顔を見るないなや、昨日の今日という事もありどうしていいのか分からず部屋に戻って鍵まで確り閉めて布団に潜り込んだ
==
「なんや?」
「随分と」
「種ヶ島、三津谷」
「ん?」
「夢姫はきっとここに居る間部屋から出てこないかもしれない。いやきっと出てこないだろうな」
驚いた顔をした2人に
「昨日親父や爺さんに言われた通り出て行っていれば何の問題も夢姫があんな風になることも無かった。が、きっと夢姫に放った言葉はアイツにとってはタブーなんだ」
「タブー?」
「あぁ。私生児その言葉はアイツにとってタブー。昔もその言葉を言われてから引きこもって居る。
誰にも会わず親父たちだけじゃない。祖父母も俺のこともアイツはまた信じなくなる。立海の奴等が聞いていなくて良かったな」
「そうやな」
「で、ですが!」
「だからといって夢姫を傷つけて部屋に閉じこもらせるのも肩を後ろに押すのもいいわけがないだろう」
「両親や祖父母がアイツに会いたがっていた。だがこんな境遇での生活の事もあり氷帝の事もあるから実家に来ることはアイツに決めさせた。だが、矢張りこうなるならアイツは合宿所に置いてくるべきだったな」
ピリついた空気の中
「あら。どうかしたの?」
「おはようございますお婆様。実は夢姫に」
ここで今あった事を話すとお婆さんの顔つきが変わった
「なるほど。では強硬手段と行きましょう」
「「強硬手段?」」
「月光はこの者たちの部屋からすべての荷物を外へ持っていらっしゃい」
「はい」
「「??」」
分かって居ないであろう種ヶ島や三津谷は首をかしげていたが
「そ、それだけは!それだけは困ります!」
「何が困ると言うの?出て行けと言われたのに出て行かず。早朝にもかかわらず夢姫の方を後ろに押すなんて言語道断。
私たちの大事な孫で娘で妹であるあの子を失うかもしれないと思ったのは月光よ
なら貴方方にも同じようにしなければ永遠に分からないのでしょう?月光お願いね」
「あぁ」
部屋のドアをノックされたと思ったらお兄ちゃんの声がして
「夢姫。少し気晴らしをしよう」
「しない。してもあの人たちの方が何枚も手札を持っているもの」
「そうだな。だがそのあいつ等は怒らせてはいけない人間を既に2人も怒らせている。夢姫にも俺と一緒にいさせていいと言うお達しが出ている」
「それでも、行かない」
「そうか。分かった」
それからあっという間にドサドサといろいろな物を落としている音がしてきて
「や、やめてください!」
「私たちの!大切な!」
そんな悲鳴染みた声が聞こえて来ていて
「大切なものだからなんだ」
「お前たちは夢姫という私たちの大事なものを奪おうとしたじゃないか。それも1度ならず何度も」
「これはモノ。でもお前たちが奪おうとした夢姫は1人しかいないんだ」
「終わった」
お兄ちゃんがそう告げたのと同時に起きたらしい立海の皆は既に下に居て、ただ顔を見るのも怖くなって直ぐに部屋に避難してしまった
「皆に悪いことしちゃった」
それでも会うのが怖い。なんて思っていると部屋のドアからノックする音が聞こえてきて
「はい」
「俺や」
修ちゃん?
「ちょい、ここ開けてくれへん?」
ドアを開けると秀ちゃんはすんなりと入ってきて
「夢姫」
「修ちゃん?」
「ツッキーと話したんやけどな」
お兄ちゃんと?何を話したって言うの?
「合宿所に戻ろか。俺と」
合宿所に戻る?
「その方が夢姫も自由に伸び伸びと夢姫らしく生活が出来るからやて」
「皆にも会うのが怖いの」
「せやろうな。夢姫はそういう子や。それはツッキーもそうやけど俺達もよぉ知っとる」
「しゅ…」
「今の夢姫は4年前。U-17の招集が掛かった時と同じやしな」
そうだ。あの時もこうやって修ちゃんは入って来たんだっけ
「あん時と同じ顔をしとるな」
「え?」
「誰の言葉も受け入れん。誰と話しても夢姫が心を閉ざしとった4年前のあん時と同じ顔をしとる」
そんな顔をしているんだ…
「俺達もツッキーからしか聞いとった話しか知らんけどな。今回の事でよぉ分かったわ」
「え?」
「夢姫が心を閉ざした理由がな」
そんなの、分かる訳…
「分かるやろ。俺達は夢姫の事なら何でも知っとる。特に俺やツッキーは他の奴等と違って一緒におる時間が長いからな」
「確かに長いけど…」
「確かに最終的に決めたんは夢姫や。けどな今回ばかりは俺もツッキーも賛成するべきやなかったな」
「!?」
「俺がここにおる。せやから夢姫は我慢してここに戻ってきたんやろ」
「うん」
「けど、最初から俺と一緒に合宿所におった方がよっぽど良かったな」
「そ、そんな事…!」
「あるやろ。あるから今の夢姫は心が悲鳴を上げとるんやろ。だから誰も受け入れんでこうして引きこもったんとちゃう」
ポタポタと涙を流すあたしに
「思い切り泣けばええよ。それを受け入れられんツッキーや俺達やあらへんもん」