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もうすぐ遠征が始まると言うのに、テニス強化合宿をしているここでは普段通りの練習をしている
「斎藤コーチ、黒部コーチ。越知ですけど」
「あぁ入ってきて構わないよ」
そう言われて入ったモニタールームには珍しく監督の姿もあって
「珍しいですね。この合宿所に監督が降りて来られるのは」
「そうでもない。またすぐに山に戻るだけだ」
あ、そうなんだ
「実はですね今の中学生。つまり」
「来年の高校生ですね」
「えぇ。夢姫にはそのテニスの全国大会を見て来て欲しいのです」
テニスの全国大会か…
「勿論、1人でとは言いません。他のジーニアスのメンバーたちにも見に行って欲しいからね」
「それは」
「うん。そうだよ?練習よりも来年の選手のテニスを見て来て欲しい」
「そして、此れがその資料です」
そう渡されたのは中学生の名簿。3年生だけではなく、2年も1年の名前も挙がっている
「珍しいですね。中学1年生の名前が挙がるなんて」
「そうだねぇ?でもルーキーにしてはちゃんと結果も残しているからね。特に青学のルーキー。彼は素晴らしい成果を残していますから確実に彼の試合は見て来て欲しいと思っていますよ」
青学のルーキー?青学って1年生は最低でも半年はレギュラー争いに入れない事で有名だと思っていたのにどんな風の吹き回しで入れたのか
「わかりました」
「全国大会をしている期間は練習を休ませることにするよ」
「はい」
失礼します。其れだけ伝えるとモニタールームを出て皆が練習をしているコートへ入ると
「随分と遅かったじゃねぇか」
「コーチと監督と少し話を」
「あの
「珍しい事もありますなぁ。お頭」
「あぁ。だがあの監督の事だ。何かあるにちげぇねぇ」
「当たり」
「ほう」
「監督とコーチからの指示は中学生の全国大会の視察をね。来年この合宿所の中に入れる今の中学3年生をメインに見て来いと」
「勘弁しろし」
「ただし、その中には2年生と1年生の名前も挙がっててね」
「それはまた」
「ルーキーは2人。1人は四天宝寺」
「久しいな。四天宝寺が1年からレギュラーで入れてくんのは」
「四天宝寺はそう珍しくも無いでしょう?サブちゃんがいた学校でもあるわけだけど」
「1年やけどね」
「ふふ。でももう1人のルーキーは大和君も驚くんじゃない?青学のルーキーだって言ってたよ」
「おや。僕の後輩ですか」
「うん。もう1人のルーキーが青春学園」
「おやおや」
「この2人の試合も注意してみるようにと。特に今行った青学のルーキーは確実に見て来いって。全国大会の期間中は此処での練習も中止するんだって」
「分かった」
「どうせ夢姫は全部見に行かなければならないやろ」
「うん。だけど、どうせ全部は見に行けないからメインの試合を見に行けたらって感じ」
渡されたリストには九州二翼の抜けている獅子楽中も気になる所。関東大会で惨敗をしている氷帝学園も東京枠という事で全国大会に入り込んでいる
立海大附属が3連覇を成し遂げず今回は準優勝止まりになっているし
「俺と毛利の練習はここまでにする」
「ほな、俺達もそうするか」
「だな」
「で?夢姫は何見て」
「今年の地区大会の結果」
「それはまた」
「まぁこういう結果だよなぁって感じるのは九州二翼の在籍していた獅子楽中」
「如何いう事だ」
「1人は今は四天宝寺に。もう1人は関東の不動峰にいる」
「分かれているのか」
「うん」
「それはまた面白い試合が見られそうだな」
確かに。九州二翼が個人戦で戦ったら面白いのかもしれない
「ま、全国大会までは気長に待つとしようや」
「うん」
迎えた全国大会当日の朝
「起きたか夢姫」
「おはよう。お兄ちゃん。修ちゃんも」
「おはようさん。今日からやな中坊たちの全国大会始まんの」
「うん」
一体初戦は何処が対戦するんだか
「1つ気になってる学校があるの」
「「気になってる学校?」」
「うん。愛知の名古屋星徳中学校」
「何が気になるというんだ」
「テニス部の部員が全員外国人なの。日本人が1人もいない」
「それはまた」
「いつから日本人じゃないのかも気になるし、日本在籍になっているのかも気になる」
「それは」
「でもこのリストには上がっているから余計に気になってるの。関東大会もこのメンバーで上がって来てるんだよね」
「それはまた」
日本の在留資格を持っているだけだとこの合宿所に来て困るのは彼らだ。そうなってからでは遅いとも考えていいだろう
「見に行ってみないとこればかりは分からないな」
「うん」
東京枠で入っている氷帝学園。あたしとお兄ちゃんが在籍をしている母校でもあるわけで
「氷帝も気になるか」
「勿論。でも氷帝の初戦は獅子楽中。初戦敗退は免れるだろうね」
「だろうな。俺の後輩とは言え関東大会で負け東京枠の中から全国大会に出るなど」
「まぁしょうがないよ。お兄ちゃんよりも強い選手なんて今の氷帝にはいないでしょう?」
「さしあたって興味はない」
自分の後輩には興味を示さないかぁ
「支度して来い」
「うん」
半そでのワンピースにスパッツと動きやすいようにスニーカーにして万が一のためのパーカーも持って行くと
「修ちゃんも私服だ」
「しゃーないやろ」
「コーチ共がここのジャージで全国大会を見に行くことを禁じてんだから」
あー…視察だと思わせないようにするためなのかも
バスで全国大会の会場に入ると、既に中は中学生で混雑していて
「わー。随分と人がいっぱいだ」
「そりゃ、全国だからな」
そんな中一番近いコートで始まっていたのは
「千葉と沖縄…」
千葉の試合も沖縄の試合も見たことはないかも
「夢姫」
「お兄ちゃん?」
「俺は氷帝を見てくる。見ていても構わないが」
リストを見ると2校ともリストに上がって居る学校の選手だ
「俺が一緒にいるさかい。大丈夫やろ」
「そうか」
其の儘お兄ちゃんは言っていた通り氷帝の試合を見に行ったのだろう
「どうなるのやら」
シングルスとダブルスを交互で遣る試合なんてなかなか見られるものじゃない
フェンス越しに見ているとはいえただならない緊張感だ
「へぇ。千葉にもいたんだルーキー」
「「!?」」
隣にいたらしい青学の選手たちと近場にいる立海も驚いている様子だ
「でも、リストには」
「入ってない。コーチと監督のミスなんてことは無いだろうけど」
「せやろな」
「「おい」」
「「ん?」」
「あぁ。青学もいたんかいな」
「な」
「修ちゃん流石にそれはひどいでしょ。最初から見えていたくせに」
「悪い悪い」
試合を見ると六角は一勝もせず沖縄に惨敗。
「此れはコーチたちの采配ミスかな」
「ん?」
「六角に1人もいい選手がいない」
「な!?」
「この試合しか見ていない癖に…!」
「この試合しか見ていないから言えることもあるで。コイツは」
「修ちゃん。言っちゃ駄目って言われているでしょう?」
「せやったな。ま、お前らが俺に会える率は限りなく低いやろ」
「だろうね」
彼らがあの合宿所に来る頃には修ちゃんもお兄ちゃんもいなくなってる。そしてあたしも其れは同じだ。お兄ちゃんが出るのと同時にあたしも出ると言う手筈になっているからだ
「どういう意味だ」
「此れだけ教えてあげる。修ちゃんは今現在高校3年生だよ。今回会えたのだって奇跡に近いんだから」
「!?」
そんな中沖縄の選手が六角のコーチの顔面にテニスボールを当てたのだ
「修ちゃん」
「あぁ。駄目やろコーチにテニスボール当てたりしたら」
「だよねぇ」
合宿所ではそんな事あり得ない事だ。まぁあの合宿所でこんな事をするような選手がいないと言った方が正しいか
「でも修ちゃんが中に入ってたら」
「俺に返せへん球がない事夢姫は知っとるやろ」
「知ってるよ。3年間見てたんだから」
それにあの合宿所であたしにボールを当ててくる人はいないという事をすでに知って居るからこそ3年間一緒に居られたようなものだ
「どうかしたのか」
「早かったなぁ」
「今トラブル」
「トラブル?」
「六角のコーチの顔面目掛けてテニスボール打った。あの比嘉の選手」
「なるほど」
「「でっけぇ…」」
結局六角は負けてしまったが
「あんな大口叩いたわりに弱さーよ」
そう言った比嘉中の選手たちと青学は試合をするのか
「確かに六角は負けちゃったね。でも」
「でも?女性の貴方が口を出すことでもないでしょう」
比嘉中の男性部員はあたしの方にラケットを振りかざそうとしたのを
「危ないっ」
真上から止められたのだ
「な!?」
「1ゲームしてやるわ」
「修ちゃん?」
「種ヶ島」
「俺らの
「ならば俺も1ゲームだけしてやろう」
「「!?」」
「ですが」
「はぁ…」とため息をついたあたしは
「お兄ちゃんも彼も公式な試合ではないのでコーチたちには内緒にしておいてくださいね。
でもあたしからは、コーチと監督にあなた方比嘉中からラケットで暴力を振るわれそうになったと報告をしなくてはいけないので」
「何?」
「あの2人は六角のコーチとあたしにラケットを振るった事で少しお怒りのようなので」
「な!?」
「せやなぁ、俺は夢姫にラケット振りかざしたお前が入ってき」
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