鬼滅の刃
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私には今、困ったことがある。
「名前ちゃん、あーん!」
「……自分で食べれるよ。」
差し出されたお粥を前に、私は困ったように苦笑する。
すると善逸は不服そうに眉をしかめた。
「駄目だよ名前ちゃん。名前ちゃんは今怪我してるんだから、安静にしてなきゃ。」
「いや……ご飯くらいは食べれるよ?」
「だーめ!腕折れてるんだから安静に!ほら、あーん!」
「あっ、あーん。」
聞き分けのない子供に説教するように言われてしまい、諦めて口を開ける。
すると善逸は匙を傾けて口の中にお粥をゆっくりと流し込む。
口の中のお粥をゆっくりと噛んでこくりと喉を鳴らして飲み込めば、彼は満足そうに笑った。
「美味しい?他に何か欲しいものはある?してほしいことは?俺、何でもやるよ!」
「……ありがとう、でも大丈夫だから。善逸はもう気にしなくていいんだよ。」
「でも!名前ちゃんが大怪我したのは俺を庇って鬼の攻撃を受けたからだし!俺に何かできるなら何でもしてあげたいんだ!」
「善逸のせいじゃないよ。」
「だけど……!」
何度説明しても、善逸は納得しない。
それだけ自分を責めているのだろう。
5日前に私と善逸は、合同任務でとある山に住み着いたという鬼の討伐に向かった。
そこで案の定善逸は泣き喚き、まともに戦うことができなかった。
善逸は強いのだが、眠らないと何故か本来の実力を出せないという厄介な弱点のようなところがあった。
だからあの日、私は戦えない善逸を守りながら戦うことになり、結果、鬼に攻撃されそうになった善逸を庇って、鬼の血鬼術をまともに受けてしまい、大怪我を負ってしまったのである。
その後はお約束というか、私が怪我をしたことにショックを受けて気絶した善逸によって、鬼は無事に退治された。
その後すぐに蝶屋敷に運ばれたが、生死をさ迷うことになった私は3日間眠り続けたようであった。
目を覚ました時には、1番に善逸が傍にいてくれて、涙と鼻水でグチャグチャになった顔で謝罪された。
余程心配をかけてしまったらしい。
それから更に2日経った今、善逸は自分のせいで私に大怪我させたことに責任を感じているのか、こうして忙しなく私の世話を焼いてくれていた。
かなり過保護すぎるくらいに。
「今日はどんな髪型にする?」
「いや、適当に結ってくれれば大丈夫だから。ほんと。」
「えー!」
適当に返事を返せば、また不服そうに善逸が声を漏らす。
善逸が私の髪を櫛でゆっくりと梳かしていく。
腰あたりまで伸ばした髪の手入れは利き手が骨折している今、とてもやりにくく、正直切ってしまおうかとも思ったのだが、こうして毎日善逸が綺麗に梳かしてくれて、その上手先が器用な彼は、私でも出来ないようなお洒落な髪型に結い上げてくれるのだ。
正直、女である私よりも女子力が高い善逸に少しばかり落ち込んだ。
「じゃあ、俺好みに結ってもいい?」
「いいよ。善逸、そういうのは本当に上手いし、変な髪型にはしないって信頼してるし。」
「そりゃあ勿論!!名前ちゃんを最高に可愛くしてあげるね!!あっ!!勿論そのままでも天女みたいに可愛いんだけどね!!」
「はいはい。分かったから。」
いつもの善逸の私に対する変な口説きが始まる。
それを適当に流しつつ、私は善逸が髪を櫛で優しく梳かしていく手つきに身を任せた。
善逸は本当に丁寧に丁寧に女の子を労わるような優しい手つきで髪を梳かしてくれた。
それがとても気持ちよくて、温かな日差しのお陰で少し眠くなってきた。
「名前ちゃん眠い?」
「んー、大丈夫」
「眠いなら無理しないで寝ていいよ?」
「やだ。折角善逸が髪を綺麗に結ってくれるのに、寝るなんてもったいない事しない。」
「~~っっ!!あーもう!!君のそういうところ本当に好き!!俺のこと好きだってことでしょ!?」
「まあ、好きだね。恋人だし。」
「ほらぁ!!そういう素直に俺のこと好きって言ってくれる!!あーもう大好き!!」
「知ってるよ。」
なんか善逸が一人で勝手に顔を真っ赤にして騒ぎ出した。
すまん善逸よ。何をそんなに興奮して盛り上がっているのかいまいちよく分からん。
まあ、彼が幸せそうなら何よりである。
そうこうしているうちに結い終わったのか、善逸の手が止まった。
「はい、できた!どうかな?」
「おー!」
「気に入ってくれた?」
「相変わらず器用だねぇ。ありがとう。」
渡された手鏡を覗いてみると、中に映った自分の髪型に感心したように声を漏らした。
毎日毎日、器用にも違う髪型にしてくれる。今日は三つ編みを頭の後ろで少しだけ編み込んで、リボンで結い止めてある。
長い髪は前に善逸が綺麗だと言ってくれたのが嬉しくて、少しだけ気を使うようになった。
今まであまり気にしなかった手入れを毎日毎日欠かさずするようになった。善逸が喜んでくれるから。
大怪我をするのはできればもう二度とごめんであるが、こうやって全力で善逸に甘えられることが、実はちょっと嬉しかったのだ。
責任を感じている善逸には悪いが、私はこの状況を少しだけ幸せに感じていた。
(きっと、耳の良い善逸は気付いてるんだろうなぁ~)
善逸は優しいから、私がこの状況を少しだけ役得に感じているのに気付いても、きっと怒ったりしない。
それをいい事に、私は迷惑そうなフリをして全力で甘えるのだ。
善逸は私を素直だと言うけれど、とんだ天邪鬼なんだよ。
「ねぇ善逸。」
「ん~?なぁに?名前ちゃん!」
私が名前を呼んで振り返れば、善逸が嬉しそうに顔を破顔させてこちらを見る。
そのまま私は善逸の唇に自分のそれを押し当てた。
触れ合ったのはほんの数秒程度だったけれど、唇をそっと離した後、目を開けて間近で見た善逸の顔は、これ以上ないくらい真っ赤に染まっていて、私は思わず声を上げて笑ってしまった。
「あははは!善逸顔真っ赤!!あははっ、いたた!お腹いたァ!ふふっ!」
「えっ?えっ??」
いたた、笑うと怪我に響いて痛い。
でも善逸の顔があまりにもおかしなことになっていて、笑いが止まらない。
ケラケラと笑い続ける私に、善逸は未だに自分の身に起こった状況が理解できないのか、ぼけっとしていた。
「ねぇ善逸。」
「はひっ!!?」
「怪我が治ったら、デェトしようか。」
「……はひぇい!!?」
にっこりといたずらっ子のように笑って言えば、善逸は未だに思考が追いつかないのか、謎の奇声を上げた。
それが可笑しくて、私はまた笑い声を上げた。
数分後、やっと心に頭が追いついた善逸が、とんでもなく大きな声で奇声を上げて騒ぎ出したので、しのぶさんに怒られることになったのであるが、それは語らずとも分かるであろう。
「名前ちゃん、あーん!」
「……自分で食べれるよ。」
差し出されたお粥を前に、私は困ったように苦笑する。
すると善逸は不服そうに眉をしかめた。
「駄目だよ名前ちゃん。名前ちゃんは今怪我してるんだから、安静にしてなきゃ。」
「いや……ご飯くらいは食べれるよ?」
「だーめ!腕折れてるんだから安静に!ほら、あーん!」
「あっ、あーん。」
聞き分けのない子供に説教するように言われてしまい、諦めて口を開ける。
すると善逸は匙を傾けて口の中にお粥をゆっくりと流し込む。
口の中のお粥をゆっくりと噛んでこくりと喉を鳴らして飲み込めば、彼は満足そうに笑った。
「美味しい?他に何か欲しいものはある?してほしいことは?俺、何でもやるよ!」
「……ありがとう、でも大丈夫だから。善逸はもう気にしなくていいんだよ。」
「でも!名前ちゃんが大怪我したのは俺を庇って鬼の攻撃を受けたからだし!俺に何かできるなら何でもしてあげたいんだ!」
「善逸のせいじゃないよ。」
「だけど……!」
何度説明しても、善逸は納得しない。
それだけ自分を責めているのだろう。
5日前に私と善逸は、合同任務でとある山に住み着いたという鬼の討伐に向かった。
そこで案の定善逸は泣き喚き、まともに戦うことができなかった。
善逸は強いのだが、眠らないと何故か本来の実力を出せないという厄介な弱点のようなところがあった。
だからあの日、私は戦えない善逸を守りながら戦うことになり、結果、鬼に攻撃されそうになった善逸を庇って、鬼の血鬼術をまともに受けてしまい、大怪我を負ってしまったのである。
その後はお約束というか、私が怪我をしたことにショックを受けて気絶した善逸によって、鬼は無事に退治された。
その後すぐに蝶屋敷に運ばれたが、生死をさ迷うことになった私は3日間眠り続けたようであった。
目を覚ました時には、1番に善逸が傍にいてくれて、涙と鼻水でグチャグチャになった顔で謝罪された。
余程心配をかけてしまったらしい。
それから更に2日経った今、善逸は自分のせいで私に大怪我させたことに責任を感じているのか、こうして忙しなく私の世話を焼いてくれていた。
かなり過保護すぎるくらいに。
「今日はどんな髪型にする?」
「いや、適当に結ってくれれば大丈夫だから。ほんと。」
「えー!」
適当に返事を返せば、また不服そうに善逸が声を漏らす。
善逸が私の髪を櫛でゆっくりと梳かしていく。
腰あたりまで伸ばした髪の手入れは利き手が骨折している今、とてもやりにくく、正直切ってしまおうかとも思ったのだが、こうして毎日善逸が綺麗に梳かしてくれて、その上手先が器用な彼は、私でも出来ないようなお洒落な髪型に結い上げてくれるのだ。
正直、女である私よりも女子力が高い善逸に少しばかり落ち込んだ。
「じゃあ、俺好みに結ってもいい?」
「いいよ。善逸、そういうのは本当に上手いし、変な髪型にはしないって信頼してるし。」
「そりゃあ勿論!!名前ちゃんを最高に可愛くしてあげるね!!あっ!!勿論そのままでも天女みたいに可愛いんだけどね!!」
「はいはい。分かったから。」
いつもの善逸の私に対する変な口説きが始まる。
それを適当に流しつつ、私は善逸が髪を櫛で優しく梳かしていく手つきに身を任せた。
善逸は本当に丁寧に丁寧に女の子を労わるような優しい手つきで髪を梳かしてくれた。
それがとても気持ちよくて、温かな日差しのお陰で少し眠くなってきた。
「名前ちゃん眠い?」
「んー、大丈夫」
「眠いなら無理しないで寝ていいよ?」
「やだ。折角善逸が髪を綺麗に結ってくれるのに、寝るなんてもったいない事しない。」
「~~っっ!!あーもう!!君のそういうところ本当に好き!!俺のこと好きだってことでしょ!?」
「まあ、好きだね。恋人だし。」
「ほらぁ!!そういう素直に俺のこと好きって言ってくれる!!あーもう大好き!!」
「知ってるよ。」
なんか善逸が一人で勝手に顔を真っ赤にして騒ぎ出した。
すまん善逸よ。何をそんなに興奮して盛り上がっているのかいまいちよく分からん。
まあ、彼が幸せそうなら何よりである。
そうこうしているうちに結い終わったのか、善逸の手が止まった。
「はい、できた!どうかな?」
「おー!」
「気に入ってくれた?」
「相変わらず器用だねぇ。ありがとう。」
渡された手鏡を覗いてみると、中に映った自分の髪型に感心したように声を漏らした。
毎日毎日、器用にも違う髪型にしてくれる。今日は三つ編みを頭の後ろで少しだけ編み込んで、リボンで結い止めてある。
長い髪は前に善逸が綺麗だと言ってくれたのが嬉しくて、少しだけ気を使うようになった。
今まであまり気にしなかった手入れを毎日毎日欠かさずするようになった。善逸が喜んでくれるから。
大怪我をするのはできればもう二度とごめんであるが、こうやって全力で善逸に甘えられることが、実はちょっと嬉しかったのだ。
責任を感じている善逸には悪いが、私はこの状況を少しだけ幸せに感じていた。
(きっと、耳の良い善逸は気付いてるんだろうなぁ~)
善逸は優しいから、私がこの状況を少しだけ役得に感じているのに気付いても、きっと怒ったりしない。
それをいい事に、私は迷惑そうなフリをして全力で甘えるのだ。
善逸は私を素直だと言うけれど、とんだ天邪鬼なんだよ。
「ねぇ善逸。」
「ん~?なぁに?名前ちゃん!」
私が名前を呼んで振り返れば、善逸が嬉しそうに顔を破顔させてこちらを見る。
そのまま私は善逸の唇に自分のそれを押し当てた。
触れ合ったのはほんの数秒程度だったけれど、唇をそっと離した後、目を開けて間近で見た善逸の顔は、これ以上ないくらい真っ赤に染まっていて、私は思わず声を上げて笑ってしまった。
「あははは!善逸顔真っ赤!!あははっ、いたた!お腹いたァ!ふふっ!」
「えっ?えっ??」
いたた、笑うと怪我に響いて痛い。
でも善逸の顔があまりにもおかしなことになっていて、笑いが止まらない。
ケラケラと笑い続ける私に、善逸は未だに自分の身に起こった状況が理解できないのか、ぼけっとしていた。
「ねぇ善逸。」
「はひっ!!?」
「怪我が治ったら、デェトしようか。」
「……はひぇい!!?」
にっこりといたずらっ子のように笑って言えば、善逸は未だに思考が追いつかないのか、謎の奇声を上げた。
それが可笑しくて、私はまた笑い声を上げた。
数分後、やっと心に頭が追いついた善逸が、とんでもなく大きな声で奇声を上げて騒ぎ出したので、しのぶさんに怒られることになったのであるが、それは語らずとも分かるであろう。