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「――小羽ですか?ええ、来ていますよ。毎日皆さんの様子を聞きに来てますね。」
笑顔でそう口にするしのぶの言葉に、善逸は涙目を通り越して、絶望の表情を浮かべた。
白目を剥いたまま、まるで廃人にでもなったかのように力なく項垂れる善逸に、炭治郎は本気で心配そうに声をかけてきた。
「ぜ……善逸?大丈夫か?生きてるか?」
「…………」
「あらあら、どうしたんですか?」
「あっ、あの、実は……」
炭治郎は、この五日間小羽が善逸や自分たちの前に姿を見せていないこと、それで善逸が落ち込んでいることなどを説明した。
話しを聞いたしのぶは、ふむふむと何度も頷いて考えるような仕草をした。
「まあ……そうだったんですね。小羽は毎日夜にこの蝶屋敷を訪れているんです。毎日訪ねて来る度に皆さんの様子を聞いてくるくらいには気にかけているようだったのですが、その割には全然皆さんのお見舞いに行こうとしなかったので、『直接会っていかないのか』と聞いてみたのですが、何故か挙動不審になって、『私にはみんなに合わせる顔がないので……』と何やら思いつめた顔で言っていましたね。」
「えっ」
「……どういうこと?」
しのぶの言葉に困惑の表情を浮かべる善逸と炭治郎。
それにしのぶは問い掛ける。
「何か心当たりはありますか?」
「……いや……全くないというか、寧ろ俺が聞きたいというか……」
「……そうですか。」
「他に何か言ってませんでしたか?」
「いいえ。特には……」
「…………」
炭治郎としのぶが会話している横で、善逸は何かを考え込むように黙り込んでいた。
『小羽は毎日夜にこの蝶屋敷を訪れているんです。』
「……夜、か……」
しのぶの言葉を思い出しながら、善逸は何かを思いついた様子で、ポツリと呟いたのであった。
「しのぶさん、ちょっと協力してくれませんか?」
「……はい?」
善逸からの突然のお願いに、しのぶは不思議そうに首を傾げるのであった。
*************
時刻は夜の十時を回ろうとしていた。
炭治郎、伊之助、善逸、清隆の四人が眠る病室にある人物が訪れていた。
極力音を立てないように細心の注意を払って戸を開けると、足音を立てないよう、気配を消してこっそりと部屋に忍び込んできたその人物は、小羽であった。
小羽の足音は一切しない。
普通なら床がギシッと軋む音がする筈なのだが、まるで忍の如く気配の消し方が上手かった。
けれどどんなに足音を殺しても、気配を消すのが上手くとも、善逸には関係のないことであった。
生き物である以上、心臓は動いている。
どんなに気配を消すのが上手くとも、耳のいい善逸には、鼓動の音で小羽がやって来たことが分かってしまうのだ。
(……来た。)
待ち望んでいた小羽の登場に、善逸の心臓の鼓動がバクバクと緊張で速くなる。
彼女に寝たふりをしていることが悟られぬよう、善逸は必死に平静を装って呼吸を整えた。
小羽は清隆や炭治郎、伊之助の眠るベッドの近くを少し彷徨いた後、真っ直ぐに善逸のいるベッドへと近付いていった。
善逸の枕元まで来ると、小羽の動きが止まる。
そして感じる視線。
(み、見られてる……?)
目を閉じていても分かるくらい、強い視線を感じる。
そんな彼女の心音からは、罪悪感と、後悔と、自分を心から心配する音が聴こえた。
――何で、こんな音……
善逸は困惑していた。
どうして小羽からこんなにも自分を責めるような音がするんだろう。
数十秒ほど見つめられた後、小羽の気配が動いた。
行ってしまう。
「――待って!!」
「!」
善逸は慌てて上半身を起こすと、立ち去ろうとしていた小羽の羽織を、短くなった手を必死に伸ばして掴んだ。
てっきり眠っていると思っていた善逸に突然羽織を掴まれ、小羽は驚いて振り返った。
笑顔でそう口にするしのぶの言葉に、善逸は涙目を通り越して、絶望の表情を浮かべた。
白目を剥いたまま、まるで廃人にでもなったかのように力なく項垂れる善逸に、炭治郎は本気で心配そうに声をかけてきた。
「ぜ……善逸?大丈夫か?生きてるか?」
「…………」
「あらあら、どうしたんですか?」
「あっ、あの、実は……」
炭治郎は、この五日間小羽が善逸や自分たちの前に姿を見せていないこと、それで善逸が落ち込んでいることなどを説明した。
話しを聞いたしのぶは、ふむふむと何度も頷いて考えるような仕草をした。
「まあ……そうだったんですね。小羽は毎日夜にこの蝶屋敷を訪れているんです。毎日訪ねて来る度に皆さんの様子を聞いてくるくらいには気にかけているようだったのですが、その割には全然皆さんのお見舞いに行こうとしなかったので、『直接会っていかないのか』と聞いてみたのですが、何故か挙動不審になって、『私にはみんなに合わせる顔がないので……』と何やら思いつめた顔で言っていましたね。」
「えっ」
「……どういうこと?」
しのぶの言葉に困惑の表情を浮かべる善逸と炭治郎。
それにしのぶは問い掛ける。
「何か心当たりはありますか?」
「……いや……全くないというか、寧ろ俺が聞きたいというか……」
「……そうですか。」
「他に何か言ってませんでしたか?」
「いいえ。特には……」
「…………」
炭治郎としのぶが会話している横で、善逸は何かを考え込むように黙り込んでいた。
『小羽は毎日夜にこの蝶屋敷を訪れているんです。』
「……夜、か……」
しのぶの言葉を思い出しながら、善逸は何かを思いついた様子で、ポツリと呟いたのであった。
「しのぶさん、ちょっと協力してくれませんか?」
「……はい?」
善逸からの突然のお願いに、しのぶは不思議そうに首を傾げるのであった。
*************
時刻は夜の十時を回ろうとしていた。
炭治郎、伊之助、善逸、清隆の四人が眠る病室にある人物が訪れていた。
極力音を立てないように細心の注意を払って戸を開けると、足音を立てないよう、気配を消してこっそりと部屋に忍び込んできたその人物は、小羽であった。
小羽の足音は一切しない。
普通なら床がギシッと軋む音がする筈なのだが、まるで忍の如く気配の消し方が上手かった。
けれどどんなに足音を殺しても、気配を消すのが上手くとも、善逸には関係のないことであった。
生き物である以上、心臓は動いている。
どんなに気配を消すのが上手くとも、耳のいい善逸には、鼓動の音で小羽がやって来たことが分かってしまうのだ。
(……来た。)
待ち望んでいた小羽の登場に、善逸の心臓の鼓動がバクバクと緊張で速くなる。
彼女に寝たふりをしていることが悟られぬよう、善逸は必死に平静を装って呼吸を整えた。
小羽は清隆や炭治郎、伊之助の眠るベッドの近くを少し彷徨いた後、真っ直ぐに善逸のいるベッドへと近付いていった。
善逸の枕元まで来ると、小羽の動きが止まる。
そして感じる視線。
(み、見られてる……?)
目を閉じていても分かるくらい、強い視線を感じる。
そんな彼女の心音からは、罪悪感と、後悔と、自分を心から心配する音が聴こえた。
――何で、こんな音……
善逸は困惑していた。
どうして小羽からこんなにも自分を責めるような音がするんだろう。
数十秒ほど見つめられた後、小羽の気配が動いた。
行ってしまう。
「――待って!!」
「!」
善逸は慌てて上半身を起こすと、立ち去ろうとしていた小羽の羽織を、短くなった手を必死に伸ばして掴んだ。
てっきり眠っていると思っていた善逸に突然羽織を掴まれ、小羽は驚いて振り返った。