最終選別~柱合会議まで
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「おはようみんな。今日はとてもいい天気だね。空は青いのかな?
顔ぶれが変わらずに半年に一度の柱合会議を迎えられたこと、嬉しく思うよ。」
お館様の姿が見えた瞬間、柱たちは一斉に跪く。
小羽と清隆も慌てて跪くと、一人だけぼんやりとしていた炭治郎が不死川に無理やり頭を地面に押さえつけられているのが見えた。
「お館様におかれましても御壮健で何よりです。益々の御多幸を切にお祈り申し上げます。」
「ありがとう、実弥。」
「畏れながら、柱合会議の前に、この竈門炭治郎なる鬼を連れた隊士について、ご説明いただきたく存じますが、よろしいでしょうか。」
「そうだね、驚かせてしまってすまなかった。炭治郎と禰豆子のことは私が容認していた。そしてみんなにも認めてほしいと思っている。 」
「「!!」」
鬼を認めよとのまさかの言葉に、柱たちは明らかに顔色を変えた。
柱の殆どが、鬼に対して酷い憎悪や嫌悪感を抱いている者ばかりだ。
いくら敬愛するお館様の言葉でも、簡単に承知する訳にはいかなかった。
「嗚呼……たとえお館様の願いであっても、私は承知しかねる……」
「俺も派手に反対する。鬼を連れた鬼殺隊など認められない。」
「私は全てお館様の望むままに従います。」
「僕はどちらでも……すぐに忘れるので……」
「……」
「信用しない信用しない。そもそも鬼は大嫌いだ。」
「心より尊敬するお館様であるが、理解できないお考えだ!!全力で反対する!!」
「鬼を滅殺してこその鬼殺隊。竈門・冨岡、両名の処罰を願います。」
柱の大半が反対意見の中、お館様はとても落ち着いていた。
「では、手紙を。」
「はい。」
ご息女のお一人が懐から手紙を取り出すと、静かにそれを読み上げ始めた。
「こちらの手紙は、元柱である鱗滝左近次様から頂いたものです。一部抜粋して読み上げます。」
「"――――炭治郎が鬼の妹と共にあることをどうかお許しください。
禰豆子は強靭な精神力で人としての理性を保っています。
飢餓状態であっても人を喰わず、そのまま二年以上の歳月が経過致しました。
俄には信じ難い状況ですが、紛れもない事実です。
もしも禰豆子が人に襲いかかった場合は、竈門炭治郎及び――――……
鱗滝左近次、冨岡義勇。そしてその同門である信濃清隆、信濃小羽が腹を切ってお詫び致します。"」
――その手紙は、炭治郎くんの修業が終わって間もなくの頃に、鱗滝先生がお館様に鬼の禰豆子ちゃんの存在を容認してもらうために書き上げたものだった。
当時、手紙を届けたのは私たち兄妹だった。
だから当然、手紙の内容は知っていた。
先生と義勇兄さんが、禰豆子ちゃんと炭治郎くんのために命を懸けると聞いた時、私はそこまでする必要はないのではと思った。
けれどそれを言っても、鱗滝先生の決意は固かった。
『鬼の禰豆子を最初に生かすと決めたのは義勇であり、そして儂もそれを受け入れ、炭治郎を育てた。鬼の禰豆子を生かすと決めたのは炭治郎だけでなく儂等二人も同じ。ならば、その責任を負うのも当然のこと。これは必要なことなのだ。』
そう言った先生の言葉に、その固い覚悟に、私は何も言えなくなってしまった。
どうしてそこまで二人は禰豆子ちゃんのことを信用できるのかと、本気で思ってしまった。
確かに彼女は普通の鬼とは違うようだったし、実際に会ってみて、今まで会った鬼とは違う独特の気配を感じた。
禰豆子ちゃんからは鬼特有の嫌な感じがしないのだ。
気配は確かに鬼なのに、血の匂いが全くしない。
でも私は心配だった、いくら今まで人を喰ったことがないと言っても、今後もそうであるとは限らないからだ。
今は人を襲わなくても、今後彼女の鬼化が進んだら?
絶対に安全だなんて保証はどこにもないのだ。
それなのに……
『先生と兄さんの覚悟は分かりました。この手紙はきちんと責任を持ってお館様に届けます。』
『ああ、ありがとう。『ただし、一つ条件をつけさせてください。』……条件?』
『はい。その手紙に俺の名も書き加えて欲しいのです。』
『なっ!?お兄ちゃん何言って!!』
『……それがどういう事かは分かっているな?』
『わかっています。鬼である禰豆子ちゃんがこれから先、絶対に人を襲わないという保証はない。けれど俺は、炭治郎と禰豆子ちゃんを信じます。二年間あいつ等を見守ってきたけれど、炭治郎は信用できる男です。あいつなら、本当に禰豆子ちゃんを人間に戻してしまえるかもしれない。俺の命を懸けることで、禰豆子ちゃんを生かせる力になるなら、喜んで懸けます。それに俺は、炭治郎たちを信じると決めた先生と兄さんの二人を信じてますから。』
『……お兄ちゃん……』
『……そうか。』
『…っ、だったら、私の名も入れてください先生!!』
『なっ!何言ってるんだ、お前はそんなことしなくても……』
『お兄ちゃんは黙ってて!勝手に自分の命を懸けたお兄ちゃんにとやかく言われる筋合いないから!』
『でもお前、別に禰豆子ちゃんのこと認めたわけじゃないんだろ?』
『そうだよ。簡単に鬼を信じられるわけないじゃない!』
『だったら何で……』
『お兄ちゃん達が命を懸けて二人を守ろうとしてるのに、私だけ何もしないなんてする訳ないでしょ?確かに、私はまだ禰豆子ちゃんを認めてないし、信じてる訳じゃない。だけどね、お兄ちゃんや先生、義勇兄さんが炭治郎くんを信じて、禰豆子ちゃんを生かそうと命を懸けるって言うなら、私だって命を懸けるわよ!見くびらないで!二人のことはまだ命を懸けてあげられる程信用している訳じゃないけれど、お兄ちゃんたちのことは心から信じられる。そのお兄ちゃんたちがそこまでして信じるって言うのなら、私だって覚悟を決めるわよ!!』
『……小羽……』
『それにね、これは勘だけど、あの二人はいつか私にとってかけがえのない存在になる気がする。だから、二人のために私も命を懸けるよ。』
――そうして、手紙には私たち兄妹の名も書き加えられた。
少しでも禰豆子ちゃんの命が重いものとなるように。
彼女を生かす力になるように……
鱗滝の手紙に、炭治郎は静かに涙を流した。
まさか、禰豆子の為に四人が命を懸けてくれていたなんて思わなかったから。
なんとも言い難い感情が心の中で渦巻く。
押さえつけられた頭を無理に動かして、小羽たち三人を見るが、三人とも真っ直ぐにお館様を見つめていた。
「……切腹するから何だと言うのか、死にたいなら勝手に死に腐れよ。何の保証にもなりはしません。」
「不死川の言う通りです!人を喰い殺せば取り返しがつかない!!殺された人は戻らない!」
柱二人の意見はもっともであった。
正論だと思う。普通ならば、少しでも危険な可能性のあるものは始末するべきだろう。
けれど、お館様は私たちの意思もちゃんと汲み取ってくれていた。
「確かにそうだね。人を襲わないという保証ができない。証明ができない。ただ、人を襲うということもまた、証明ができない。」
「!!」
「禰豆子が二年以上もの間、人を喰わずにいるという事実があり、禰豆子のために五人の者の命が懸けられている。
これを否定するためには、否定する側も、それ以上のものを差し出さなければならない。」
「……っ」
「……むぅ!」
お館様の言葉もしっかりと的を射ていた。
けれど、それでも人の命には変えられないと、柱二人が強く反対してしまえばそれまでだった。
お館様の言う、対等に扱うという必要は、力でねじ伏せてしまえば関係ないのだから。
それでもやはり、お館様には強く反対することができないのだろう。
不死川と煉獄は押し黙った。
ここからが、お館様の凄いところである。
この後柱たちは結局、お館様の命令に逆らうことができなくなるだろう。
小羽はそう確信していた。
そしてその勘はやはり当たることになるのであった。
顔ぶれが変わらずに半年に一度の柱合会議を迎えられたこと、嬉しく思うよ。」
お館様の姿が見えた瞬間、柱たちは一斉に跪く。
小羽と清隆も慌てて跪くと、一人だけぼんやりとしていた炭治郎が不死川に無理やり頭を地面に押さえつけられているのが見えた。
「お館様におかれましても御壮健で何よりです。益々の御多幸を切にお祈り申し上げます。」
「ありがとう、実弥。」
「畏れながら、柱合会議の前に、この竈門炭治郎なる鬼を連れた隊士について、ご説明いただきたく存じますが、よろしいでしょうか。」
「そうだね、驚かせてしまってすまなかった。炭治郎と禰豆子のことは私が容認していた。そしてみんなにも認めてほしいと思っている。 」
「「!!」」
鬼を認めよとのまさかの言葉に、柱たちは明らかに顔色を変えた。
柱の殆どが、鬼に対して酷い憎悪や嫌悪感を抱いている者ばかりだ。
いくら敬愛するお館様の言葉でも、簡単に承知する訳にはいかなかった。
「嗚呼……たとえお館様の願いであっても、私は承知しかねる……」
「俺も派手に反対する。鬼を連れた鬼殺隊など認められない。」
「私は全てお館様の望むままに従います。」
「僕はどちらでも……すぐに忘れるので……」
「……」
「信用しない信用しない。そもそも鬼は大嫌いだ。」
「心より尊敬するお館様であるが、理解できないお考えだ!!全力で反対する!!」
「鬼を滅殺してこその鬼殺隊。竈門・冨岡、両名の処罰を願います。」
柱の大半が反対意見の中、お館様はとても落ち着いていた。
「では、手紙を。」
「はい。」
ご息女のお一人が懐から手紙を取り出すと、静かにそれを読み上げ始めた。
「こちらの手紙は、元柱である鱗滝左近次様から頂いたものです。一部抜粋して読み上げます。」
「"――――炭治郎が鬼の妹と共にあることをどうかお許しください。
禰豆子は強靭な精神力で人としての理性を保っています。
飢餓状態であっても人を喰わず、そのまま二年以上の歳月が経過致しました。
俄には信じ難い状況ですが、紛れもない事実です。
もしも禰豆子が人に襲いかかった場合は、竈門炭治郎及び――――……
鱗滝左近次、冨岡義勇。そしてその同門である信濃清隆、信濃小羽が腹を切ってお詫び致します。"」
――その手紙は、炭治郎くんの修業が終わって間もなくの頃に、鱗滝先生がお館様に鬼の禰豆子ちゃんの存在を容認してもらうために書き上げたものだった。
当時、手紙を届けたのは私たち兄妹だった。
だから当然、手紙の内容は知っていた。
先生と義勇兄さんが、禰豆子ちゃんと炭治郎くんのために命を懸けると聞いた時、私はそこまでする必要はないのではと思った。
けれどそれを言っても、鱗滝先生の決意は固かった。
『鬼の禰豆子を最初に生かすと決めたのは義勇であり、そして儂もそれを受け入れ、炭治郎を育てた。鬼の禰豆子を生かすと決めたのは炭治郎だけでなく儂等二人も同じ。ならば、その責任を負うのも当然のこと。これは必要なことなのだ。』
そう言った先生の言葉に、その固い覚悟に、私は何も言えなくなってしまった。
どうしてそこまで二人は禰豆子ちゃんのことを信用できるのかと、本気で思ってしまった。
確かに彼女は普通の鬼とは違うようだったし、実際に会ってみて、今まで会った鬼とは違う独特の気配を感じた。
禰豆子ちゃんからは鬼特有の嫌な感じがしないのだ。
気配は確かに鬼なのに、血の匂いが全くしない。
でも私は心配だった、いくら今まで人を喰ったことがないと言っても、今後もそうであるとは限らないからだ。
今は人を襲わなくても、今後彼女の鬼化が進んだら?
絶対に安全だなんて保証はどこにもないのだ。
それなのに……
『先生と兄さんの覚悟は分かりました。この手紙はきちんと責任を持ってお館様に届けます。』
『ああ、ありがとう。『ただし、一つ条件をつけさせてください。』……条件?』
『はい。その手紙に俺の名も書き加えて欲しいのです。』
『なっ!?お兄ちゃん何言って!!』
『……それがどういう事かは分かっているな?』
『わかっています。鬼である禰豆子ちゃんがこれから先、絶対に人を襲わないという保証はない。けれど俺は、炭治郎と禰豆子ちゃんを信じます。二年間あいつ等を見守ってきたけれど、炭治郎は信用できる男です。あいつなら、本当に禰豆子ちゃんを人間に戻してしまえるかもしれない。俺の命を懸けることで、禰豆子ちゃんを生かせる力になるなら、喜んで懸けます。それに俺は、炭治郎たちを信じると決めた先生と兄さんの二人を信じてますから。』
『……お兄ちゃん……』
『……そうか。』
『…っ、だったら、私の名も入れてください先生!!』
『なっ!何言ってるんだ、お前はそんなことしなくても……』
『お兄ちゃんは黙ってて!勝手に自分の命を懸けたお兄ちゃんにとやかく言われる筋合いないから!』
『でもお前、別に禰豆子ちゃんのこと認めたわけじゃないんだろ?』
『そうだよ。簡単に鬼を信じられるわけないじゃない!』
『だったら何で……』
『お兄ちゃん達が命を懸けて二人を守ろうとしてるのに、私だけ何もしないなんてする訳ないでしょ?確かに、私はまだ禰豆子ちゃんを認めてないし、信じてる訳じゃない。だけどね、お兄ちゃんや先生、義勇兄さんが炭治郎くんを信じて、禰豆子ちゃんを生かそうと命を懸けるって言うなら、私だって命を懸けるわよ!見くびらないで!二人のことはまだ命を懸けてあげられる程信用している訳じゃないけれど、お兄ちゃんたちのことは心から信じられる。そのお兄ちゃんたちがそこまでして信じるって言うのなら、私だって覚悟を決めるわよ!!』
『……小羽……』
『それにね、これは勘だけど、あの二人はいつか私にとってかけがえのない存在になる気がする。だから、二人のために私も命を懸けるよ。』
――そうして、手紙には私たち兄妹の名も書き加えられた。
少しでも禰豆子ちゃんの命が重いものとなるように。
彼女を生かす力になるように……
鱗滝の手紙に、炭治郎は静かに涙を流した。
まさか、禰豆子の為に四人が命を懸けてくれていたなんて思わなかったから。
なんとも言い難い感情が心の中で渦巻く。
押さえつけられた頭を無理に動かして、小羽たち三人を見るが、三人とも真っ直ぐにお館様を見つめていた。
「……切腹するから何だと言うのか、死にたいなら勝手に死に腐れよ。何の保証にもなりはしません。」
「不死川の言う通りです!人を喰い殺せば取り返しがつかない!!殺された人は戻らない!」
柱二人の意見はもっともであった。
正論だと思う。普通ならば、少しでも危険な可能性のあるものは始末するべきだろう。
けれど、お館様は私たちの意思もちゃんと汲み取ってくれていた。
「確かにそうだね。人を襲わないという保証ができない。証明ができない。ただ、人を襲うということもまた、証明ができない。」
「!!」
「禰豆子が二年以上もの間、人を喰わずにいるという事実があり、禰豆子のために五人の者の命が懸けられている。
これを否定するためには、否定する側も、それ以上のものを差し出さなければならない。」
「……っ」
「……むぅ!」
お館様の言葉もしっかりと的を射ていた。
けれど、それでも人の命には変えられないと、柱二人が強く反対してしまえばそれまでだった。
お館様の言う、対等に扱うという必要は、力でねじ伏せてしまえば関係ないのだから。
それでもやはり、お館様には強く反対することができないのだろう。
不死川と煉獄は押し黙った。
ここからが、お館様の凄いところである。
この後柱たちは結局、お館様の命令に逆らうことができなくなるだろう。
小羽はそう確信していた。
そしてその勘はやはり当たることになるのであった。