最終選別~柱合会議まで
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小羽は悩んでいた。
善逸に自分が彼の鎹雀だということを打ち明けるべきかどうかを。
鎹一族の変身能力に関しては、極力隠しておいた方が良いとは言われているが、絶対に機密にしろとは言われていない。
だから、打ち明けること自体は場合によっては許されているのだ。
しかし、打ち明けると色々と問題が起きたりするのも事実であった。
相手が動物だと思っているから問題ないことも、実は人間であったと判明すると問題になることもある。
監視問題になったり、裏切り行為然り、そして何よりも、変身能力を持つ鎹一族を化け物扱いする者もいるのだ。
鬼ではないにしろ、鬼のように変身能力を持つ鎹一族を気味悪がる者は少なくない。
だからこそ、言わなくても良いのなら極力隠しておきたいのが本音である。
(――だけどもう……隠しておけるのも時間の問題な気がする……)
炭治郎の嗅覚や善逸の聴覚。人の心の変化にすら気付いてしまう彼等の五感の前では、いずれ正体に気付く時がくるだろう。
それに何より、小羽の罪悪感がそろそろ限界であった。
(うん……やっぱり相棒である善逸くんにだけは本当のことを話そう。)
小羽はその日の夜、善逸と話をすることにした。
*************
夜になると、小羽は善逸を部屋へと呼び出した。
女の子である小羽にだけ与えられた一室にやってきた善逸は、なんだかそわそわと落ち着きなくしていた。
頬はほんのりと赤く染まり、目もキョロキョロと泳いでいて、明らかに緊張しているようだった。
小羽も別の意味で緊張していた。
「#name4#、小羽ちゃん……話って何?」
「善逸くん、来てくれてありがとうね。あっ、お茶とかどう?」
「あっ、うん。の、飲むよ……」
ひささんが用意してくれたお茶とお菓子を出すと、善逸は緊張しながら小羽の近くに座った。
「「……」」
二人して無言でお茶を啜る。お互いに緊張してしまっているため、会話が出てこないのだ。
(……う、緊張する。話題……何か話題を……いきなり本題からなんて無理!!)
「あ、あのさ……」
「う、うん?」
緊張した空気の中、沈黙を破って口を開いたのは善逸からだった。
びっくりして思わず声が裏返ってしまう。
「た……炭治郎がさ!」
「う、うん。」
「炭治郎が伊之助と揉めた時なんだけど、あいつの頭突きって本当にすごくて、めっちゃ石頭で……それから……」
「うん。」
善逸が話し始めてくれたお陰で、小羽の緊張が少しずつほぐれていく。
小羽は善逸の話を聞きながら、楽しげに相槌を打っていた。
いつの間にか善逸の話を聞くのが楽しくなってきてしまい、すっかり本題に触れることも忘れて話し込んでしまう。
……………………………………
…………………………
…………………
「――あっ!もうこんな時間だ。」
「……え?ああっ!ご、ごめんね。こんな時間まで話し込んじゃって……」
「そ、そんなことないよ!!すっごく楽しかったよぉ~~!!」
(――ああ、このままじゃ駄目だ。ちゃんと言わないと……)
「じゃあ俺、部屋に戻るね。すっごく名残惜しいけど……」
「まっ!待って善逸くん!」
パシッ!
「ヒャアァァァーーーー!!#name4##name4#、小羽ちゃん!!??」
部屋に戻ろうとする善逸の手を思わず掴んで引き止めてしまう小羽。
突然手を握られて興奮したように悲鳴を上げる善逸の顔は真っ赤に染まり、手汗がぶわりと吹き出した。
それでも小羽は気にせず善逸の手をぎゅっと力強く握り締める。
真剣な眼差しで真っ直ぐに善逸を見つめると、ゆっくりと口を開いた。
「――あのね。私……私は……」
「#name4#、小羽ちゃん?」
「私は……ね。私がね……「カァァァーー!!」ひゃっ!!」
「ぬわぁぁぁぁああーーーー!!!いきなりなんだよぉぉーーー!!!」
小羽がいよいよ本当に自分の正体について善逸に打ち明けようとした瞬間、突如として空からやってきた鴉が部屋に入ってきて鳴いたのである。
あまりにも絶妙なタイミングで現れたので、小羽も善逸も驚いて声を上げてしまった。
善逸に至っては相変わらずのうるささである。
「――あっ、黒姫!」
「え?何!?小羽ちゃんの鴉なの?」
「う、うん。」
それは小羽の鎹鴉であった。
黒姫という名前のその雌鴉は、小羽が卵から育てた鴉であった。
「カー!伝令!伝令!小羽様ニ任務デス!西に向カイ、鬼ヲ退治セヨトノコトデス!」
「え……に、任務?」
「カー!ハイ!」
「き、鬼殺隊としての?」
「ソウデスカー!」
鬼殺隊としての小羽に与えられた初任務。
まさかの事態に小羽は目をぱちくりと瞬きして驚いた。
(――そうか。今、善逸くんたちは怪我で動けないから、私が鎹雀として動く必要が無いのか……それなら鬼殺隊としての任務がきても不思議じゃない。)
「明日ノ朝ニハ出立セヨトノコトデス!」
「……わかった。」
小羽はやっと巡ってきた鬼殺隊としての初任務に、戸惑いながらもしっかりと頷く。
するとそれを聞いていた善逸が焦ったように叫んだ。
「ちょっ!!まっ!!ええーーーっっ!!何で今任務なんて持ってくるんだよォ!!せっかく!!小羽ちゃんと暫くうふふのあははができると思ってたのにーー!!こんなのってあんまりだろーーっ!!」
「……善逸くん……」
どんな時でも善逸くんは善逸くんだな。
小羽は半ば呆れつつ、あまりにもらしい彼にふっと小さく笑った。
「――ごめん善逸くん。話はまたいつかね。」
「え……今じゃダメなの?」
「うん。とても大切な話だから、落ち着いた時に話したいの。」
小羽がそう言うと、善逸はどこか納得いかなそうに眉をひそめた。
けれど、小羽が困っているのに気付いたのか、渋々頷いてくれた。
「……わかった。いつか話してね?」
「うん。約束する。」
小羽がそう約束すると、善逸はふわりと微笑んでくれた。
***********
――こうして急遽任務を与えられた小羽は、翌日の朝、善逸たちに見送られて出掛けることになった。
朝になるや否や、善逸は小羽にしがみついて泣き喚いた。
「いやだぁーーー!!やっぱり行かないでよぉ小羽ちゃぁんっっ!!」
「善逸くん……」
「善逸、小羽の邪魔をするな!」
「そうだ!!邪魔だから離れろ!!」
小羽が困っていると、炭治郎と清隆が善逸を止めてくれた。
清隆が善逸を無理やり引っペがそうと首根っこを掴んで引っ張るが、善逸も負けじと小羽の足にしがみついて嫌々と首を横に振って拒絶した。
「嫌だよォーー!!やっと会えたのにこんなすぐお別れなんて!!やっぱり嫌だァーー!!」
「うーん、困ったなぁ~~……」
「いい加減にしろ!!」
べしっ!!
「ぐふっ!!」
等々痺れを切らした清隆が善逸の首に手刀を当てると、善逸はぐったりと倒れ込んだ。
気絶した善逸を炭治郎が支えてやると、清隆は呆れたように、そして少し疲れた様子でやれやれとため息をついて善逸を見た。
「……こいつ、何でこんなに小羽に執着するんだ?しかもものすごくしつこいし。」
「小羽が本当に好きなんじゃないか?」
「だったら尚更近付けたくねーわ!」
清隆が恨めしげに善逸を睨み付けると、炭治郎は苦笑して、まあまあと清隆を宥めた。
「――清隆も今日から任務に復帰するんだろ?小羽と一緒なのか?」
「いや。俺と小羽は別々の任務だ。」
「そうなのか、せっかく会えたのに寂しくなるな。」
「……またどこかの任務で会えるよ。」
「そうだな。」
「おい菊之助と桜餅!!今度会ったら俺と勝負しろ!!」
炭治郎が少し寂しそうに言うので、小羽が励ますように言葉をかけると、伊之助がまるで誰だかわからない名前を叫んで小羽たちに話しかけてきた。
それに清隆は呆れたようにジト目で伊之助を見る。
「清隆だ!誰が菊之助だ。あと、俺の可愛い妹は小羽だ。いい加減覚えてくれよ。」
「源三郎と富子だな!!」
「違う!!」
そんなやり取りをしつつ、小羽たちは善逸が起きる前にと、藤の花の家紋の家を後にするのであった。
善逸に自分が彼の鎹雀だということを打ち明けるべきかどうかを。
鎹一族の変身能力に関しては、極力隠しておいた方が良いとは言われているが、絶対に機密にしろとは言われていない。
だから、打ち明けること自体は場合によっては許されているのだ。
しかし、打ち明けると色々と問題が起きたりするのも事実であった。
相手が動物だと思っているから問題ないことも、実は人間であったと判明すると問題になることもある。
監視問題になったり、裏切り行為然り、そして何よりも、変身能力を持つ鎹一族を化け物扱いする者もいるのだ。
鬼ではないにしろ、鬼のように変身能力を持つ鎹一族を気味悪がる者は少なくない。
だからこそ、言わなくても良いのなら極力隠しておきたいのが本音である。
(――だけどもう……隠しておけるのも時間の問題な気がする……)
炭治郎の嗅覚や善逸の聴覚。人の心の変化にすら気付いてしまう彼等の五感の前では、いずれ正体に気付く時がくるだろう。
それに何より、小羽の罪悪感がそろそろ限界であった。
(うん……やっぱり相棒である善逸くんにだけは本当のことを話そう。)
小羽はその日の夜、善逸と話をすることにした。
*************
夜になると、小羽は善逸を部屋へと呼び出した。
女の子である小羽にだけ与えられた一室にやってきた善逸は、なんだかそわそわと落ち着きなくしていた。
頬はほんのりと赤く染まり、目もキョロキョロと泳いでいて、明らかに緊張しているようだった。
小羽も別の意味で緊張していた。
「#name4#、小羽ちゃん……話って何?」
「善逸くん、来てくれてありがとうね。あっ、お茶とかどう?」
「あっ、うん。の、飲むよ……」
ひささんが用意してくれたお茶とお菓子を出すと、善逸は緊張しながら小羽の近くに座った。
「「……」」
二人して無言でお茶を啜る。お互いに緊張してしまっているため、会話が出てこないのだ。
(……う、緊張する。話題……何か話題を……いきなり本題からなんて無理!!)
「あ、あのさ……」
「う、うん?」
緊張した空気の中、沈黙を破って口を開いたのは善逸からだった。
びっくりして思わず声が裏返ってしまう。
「た……炭治郎がさ!」
「う、うん。」
「炭治郎が伊之助と揉めた時なんだけど、あいつの頭突きって本当にすごくて、めっちゃ石頭で……それから……」
「うん。」
善逸が話し始めてくれたお陰で、小羽の緊張が少しずつほぐれていく。
小羽は善逸の話を聞きながら、楽しげに相槌を打っていた。
いつの間にか善逸の話を聞くのが楽しくなってきてしまい、すっかり本題に触れることも忘れて話し込んでしまう。
……………………………………
…………………………
…………………
「――あっ!もうこんな時間だ。」
「……え?ああっ!ご、ごめんね。こんな時間まで話し込んじゃって……」
「そ、そんなことないよ!!すっごく楽しかったよぉ~~!!」
(――ああ、このままじゃ駄目だ。ちゃんと言わないと……)
「じゃあ俺、部屋に戻るね。すっごく名残惜しいけど……」
「まっ!待って善逸くん!」
パシッ!
「ヒャアァァァーーーー!!#name4##name4#、小羽ちゃん!!??」
部屋に戻ろうとする善逸の手を思わず掴んで引き止めてしまう小羽。
突然手を握られて興奮したように悲鳴を上げる善逸の顔は真っ赤に染まり、手汗がぶわりと吹き出した。
それでも小羽は気にせず善逸の手をぎゅっと力強く握り締める。
真剣な眼差しで真っ直ぐに善逸を見つめると、ゆっくりと口を開いた。
「――あのね。私……私は……」
「#name4#、小羽ちゃん?」
「私は……ね。私がね……「カァァァーー!!」ひゃっ!!」
「ぬわぁぁぁぁああーーーー!!!いきなりなんだよぉぉーーー!!!」
小羽がいよいよ本当に自分の正体について善逸に打ち明けようとした瞬間、突如として空からやってきた鴉が部屋に入ってきて鳴いたのである。
あまりにも絶妙なタイミングで現れたので、小羽も善逸も驚いて声を上げてしまった。
善逸に至っては相変わらずのうるささである。
「――あっ、黒姫!」
「え?何!?小羽ちゃんの鴉なの?」
「う、うん。」
それは小羽の鎹鴉であった。
黒姫という名前のその雌鴉は、小羽が卵から育てた鴉であった。
「カー!伝令!伝令!小羽様ニ任務デス!西に向カイ、鬼ヲ退治セヨトノコトデス!」
「え……に、任務?」
「カー!ハイ!」
「き、鬼殺隊としての?」
「ソウデスカー!」
鬼殺隊としての小羽に与えられた初任務。
まさかの事態に小羽は目をぱちくりと瞬きして驚いた。
(――そうか。今、善逸くんたちは怪我で動けないから、私が鎹雀として動く必要が無いのか……それなら鬼殺隊としての任務がきても不思議じゃない。)
「明日ノ朝ニハ出立セヨトノコトデス!」
「……わかった。」
小羽はやっと巡ってきた鬼殺隊としての初任務に、戸惑いながらもしっかりと頷く。
するとそれを聞いていた善逸が焦ったように叫んだ。
「ちょっ!!まっ!!ええーーーっっ!!何で今任務なんて持ってくるんだよォ!!せっかく!!小羽ちゃんと暫くうふふのあははができると思ってたのにーー!!こんなのってあんまりだろーーっ!!」
「……善逸くん……」
どんな時でも善逸くんは善逸くんだな。
小羽は半ば呆れつつ、あまりにもらしい彼にふっと小さく笑った。
「――ごめん善逸くん。話はまたいつかね。」
「え……今じゃダメなの?」
「うん。とても大切な話だから、落ち着いた時に話したいの。」
小羽がそう言うと、善逸はどこか納得いかなそうに眉をひそめた。
けれど、小羽が困っているのに気付いたのか、渋々頷いてくれた。
「……わかった。いつか話してね?」
「うん。約束する。」
小羽がそう約束すると、善逸はふわりと微笑んでくれた。
***********
――こうして急遽任務を与えられた小羽は、翌日の朝、善逸たちに見送られて出掛けることになった。
朝になるや否や、善逸は小羽にしがみついて泣き喚いた。
「いやだぁーーー!!やっぱり行かないでよぉ小羽ちゃぁんっっ!!」
「善逸くん……」
「善逸、小羽の邪魔をするな!」
「そうだ!!邪魔だから離れろ!!」
小羽が困っていると、炭治郎と清隆が善逸を止めてくれた。
清隆が善逸を無理やり引っペがそうと首根っこを掴んで引っ張るが、善逸も負けじと小羽の足にしがみついて嫌々と首を横に振って拒絶した。
「嫌だよォーー!!やっと会えたのにこんなすぐお別れなんて!!やっぱり嫌だァーー!!」
「うーん、困ったなぁ~~……」
「いい加減にしろ!!」
べしっ!!
「ぐふっ!!」
等々痺れを切らした清隆が善逸の首に手刀を当てると、善逸はぐったりと倒れ込んだ。
気絶した善逸を炭治郎が支えてやると、清隆は呆れたように、そして少し疲れた様子でやれやれとため息をついて善逸を見た。
「……こいつ、何でこんなに小羽に執着するんだ?しかもものすごくしつこいし。」
「小羽が本当に好きなんじゃないか?」
「だったら尚更近付けたくねーわ!」
清隆が恨めしげに善逸を睨み付けると、炭治郎は苦笑して、まあまあと清隆を宥めた。
「――清隆も今日から任務に復帰するんだろ?小羽と一緒なのか?」
「いや。俺と小羽は別々の任務だ。」
「そうなのか、せっかく会えたのに寂しくなるな。」
「……またどこかの任務で会えるよ。」
「そうだな。」
「おい菊之助と桜餅!!今度会ったら俺と勝負しろ!!」
炭治郎が少し寂しそうに言うので、小羽が励ますように言葉をかけると、伊之助がまるで誰だかわからない名前を叫んで小羽たちに話しかけてきた。
それに清隆は呆れたようにジト目で伊之助を見る。
「清隆だ!誰が菊之助だ。あと、俺の可愛い妹は小羽だ。いい加減覚えてくれよ。」
「源三郎と富子だな!!」
「違う!!」
そんなやり取りをしつつ、小羽たちは善逸が起きる前にと、藤の花の家紋の家を後にするのであった。