第9章「温泉旅行編」
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それは昨晩に遡る。
プルルル、プルルル
「……ん?電話?……リクオくんからだ。」
旅行のための荷造りをしていたところ、リクオから電話が掛かってきた。
ピッ
『あっ、もしもし、リクオです。彩乃ちゃん、今電話しても平気かな?』
「うん、大丈夫だよ。ちょっと荷造りしてただけだから……」
『……荷造り?何処かに旅行にでも行くの?』
「あっ、うん。明日知り合いのお兄さんと旅行に行くことになって……」
『へぇ、家族の人と一緒に?いいね。』
「ううん、私とお兄さんの二人だけだよ。」
『え……』
彩乃がそう答えると、リクオは何故か黙り込んでしまう。
そして次の瞬間には焦ったように質問してきた。
『えっ!お……男の人と二人っきりで行くの!?』
「えっ?あー……そうだよね、普通は驚くよね。」
『本当なんだね……』
彩乃はリクオが焦ったように質問してきたのは、世間的に恋人でもない男女が二人っきりで出掛けるということへの驚きによるものだと判断した。
しかし、実際はそうではなく、彩乃に淡い恋心を抱くリクオがその見ず知らずの「お兄さん」に対して嫉妬してのことだった。
―― 一方奴良組にて ――
「……っ」
「リクオ様?何だか顔色が優れませんけど、彩乃さんと電話してるんですよね?どうかしたんですか?」
「……氷麗……ど、どうしよう!彩乃ちゃんが男の人と二人っきりで旅行に行くって!」
「ええっ!?」
リクオの青ざめた顔色を心配して声を掛けてきた氷麗に、ひそひそと小声で状況を伝えるリクオ。
大切な友人の彩乃が男と二人っきりで旅行に行くと聞いて、氷麗は顔を赤らめた。
「えっ……彩乃さんも大胆ですね。」
「絶対に駄目だよ!そのお兄さんって歳いくつなのかな?中年くらいなら娘みたいなものかもしれないけど、もし若かったら?どっ……どうしよう……でも……!!」
「……リクオ様?」
普段落ち着いた様子のリクオのあまりの動揺ぶりに、氷麗の乙女心センサーが何かを察した。
(……はっ!?もしやリクオ様は彩乃さんがすっ……好きなのでは!?)
自分もリクオにちょっとばかし憧れに近い恋心を抱いている自覚のある氷麗は、リクオの様子にそうではないかと彼の反応を見てすぐにリクオの恋心に気付いた。
(……うう、もしそうなら、側近としてリクオ様の恋を応援すべきよね?……でも、でもぉ!!)
大切な主の恋と自分の恋とで板挟みになりながら、氷麗はもんもんと考える。
そして出した結論は……
「――リクオ様、ちょっとお借りしますね!」
「えっ!氷麗!?」
突然リクオからスマホを取り上げると、氷麗は勝手に電話に出てしまう。
「もしもし、氷麗です。」
『え……氷麗ちゃん?どうしたの?』
「すみません彩乃さん。リクオ様から旅行の話を聞いて、失礼ながら意見させて頂きたく……」
『……?』
「彩乃さんとその男性はご家族なんですか?」
『えっ?ううん、友達というか……ちょっとした知り合いのお兄さんで……』
「でしたら尚更です!彩乃さんを恋仲でもない男と二人っきりで旅行なんて行かせられません!!私とリクオ様もご一緒します!!」
「「えっ……ええっ!!??」」
電話越しなのに、リクオと彩乃の声がハモった。
驚く二人を他所に、氷麗はどんどん話を進めていく。
「その旅行券、お二人までしか行けないんですか?」
『えっ?ううん、最初は家の人達も行く予定だったんだけど、二人共都合が悪くて……四人までなら大丈夫って言ってたけど……』
「でしたら問題ないですね。彩乃さんに何かあってからでは遅いので、私とリクオ様もご一緒させてください!」
『何かあったらって……名取さんはそんな人じゃ……』
「男は狼なんですっ!!」
『で、でもね、名取さんは祓い屋なの。だから氷麗ちゃん達を連れて行くわけには行かないよ!』
「えっ!?は……祓い屋!!??」
彩乃の言葉に氷麗は普段から白い肌がより一層青白く変化した。
『……うん。私が妖のことで困ったりした時とか相談にのってくれるお兄さんみたいな人なんだけどね。万が一氷麗ちゃん達に何かあったら嫌だから、連れていくことは出来ないよ。』
「……………い……いいえっ!例え祓い屋だろうと、彩乃さんの身を守る為なら行きます!!」
『えっ……でも……』
「行きますっっ!!」
『……わかった。名取さんに聞いてみるね。でももし名取さんに妖だって気付かれたら、絶対に逃げてね?』
「はい!約束します!!」
ピッ!ツーツー
彩乃の言葉に気合い十分に答える氷麗。
そして勝手に電話を切ると、リクオに振り返り笑顔でスマホを手渡した。
「やりましたよリクオ様!これで彩乃さんとご旅行に行けます!彩乃さんを男の魔の手から守れますよ!!」
「……って、何勝手に話進めちゃってるの!?しかも相手は祓い屋なんでしょ!?大丈夫なの?!」
「……ご迷惑でしたか?」
「……いや……ありがとう氷麗……(もしかして、僕の気持ちバレてる?)」
「はい!」
頬を赤く染めて氷麗に感謝するリクオ。
どこか安心したようにホッと息をつくリクオを見て、氷麗は決意する。
(リクオ様のこの恋、氷麗は応援します!!)
好きな人達には幸せになって欲しい。
大好きな主と、大切な友人の為に、氷麗は自分の中でくすぶっていた淡い恋心を諦めることにしたのだった。
プルルル、プルルル
「……ん?電話?……リクオくんからだ。」
旅行のための荷造りをしていたところ、リクオから電話が掛かってきた。
ピッ
『あっ、もしもし、リクオです。彩乃ちゃん、今電話しても平気かな?』
「うん、大丈夫だよ。ちょっと荷造りしてただけだから……」
『……荷造り?何処かに旅行にでも行くの?』
「あっ、うん。明日知り合いのお兄さんと旅行に行くことになって……」
『へぇ、家族の人と一緒に?いいね。』
「ううん、私とお兄さんの二人だけだよ。」
『え……』
彩乃がそう答えると、リクオは何故か黙り込んでしまう。
そして次の瞬間には焦ったように質問してきた。
『えっ!お……男の人と二人っきりで行くの!?』
「えっ?あー……そうだよね、普通は驚くよね。」
『本当なんだね……』
彩乃はリクオが焦ったように質問してきたのは、世間的に恋人でもない男女が二人っきりで出掛けるということへの驚きによるものだと判断した。
しかし、実際はそうではなく、彩乃に淡い恋心を抱くリクオがその見ず知らずの「お兄さん」に対して嫉妬してのことだった。
―― 一方奴良組にて ――
「……っ」
「リクオ様?何だか顔色が優れませんけど、彩乃さんと電話してるんですよね?どうかしたんですか?」
「……氷麗……ど、どうしよう!彩乃ちゃんが男の人と二人っきりで旅行に行くって!」
「ええっ!?」
リクオの青ざめた顔色を心配して声を掛けてきた氷麗に、ひそひそと小声で状況を伝えるリクオ。
大切な友人の彩乃が男と二人っきりで旅行に行くと聞いて、氷麗は顔を赤らめた。
「えっ……彩乃さんも大胆ですね。」
「絶対に駄目だよ!そのお兄さんって歳いくつなのかな?中年くらいなら娘みたいなものかもしれないけど、もし若かったら?どっ……どうしよう……でも……!!」
「……リクオ様?」
普段落ち着いた様子のリクオのあまりの動揺ぶりに、氷麗の乙女心センサーが何かを察した。
(……はっ!?もしやリクオ様は彩乃さんがすっ……好きなのでは!?)
自分もリクオにちょっとばかし憧れに近い恋心を抱いている自覚のある氷麗は、リクオの様子にそうではないかと彼の反応を見てすぐにリクオの恋心に気付いた。
(……うう、もしそうなら、側近としてリクオ様の恋を応援すべきよね?……でも、でもぉ!!)
大切な主の恋と自分の恋とで板挟みになりながら、氷麗はもんもんと考える。
そして出した結論は……
「――リクオ様、ちょっとお借りしますね!」
「えっ!氷麗!?」
突然リクオからスマホを取り上げると、氷麗は勝手に電話に出てしまう。
「もしもし、氷麗です。」
『え……氷麗ちゃん?どうしたの?』
「すみません彩乃さん。リクオ様から旅行の話を聞いて、失礼ながら意見させて頂きたく……」
『……?』
「彩乃さんとその男性はご家族なんですか?」
『えっ?ううん、友達というか……ちょっとした知り合いのお兄さんで……』
「でしたら尚更です!彩乃さんを恋仲でもない男と二人っきりで旅行なんて行かせられません!!私とリクオ様もご一緒します!!」
「「えっ……ええっ!!??」」
電話越しなのに、リクオと彩乃の声がハモった。
驚く二人を他所に、氷麗はどんどん話を進めていく。
「その旅行券、お二人までしか行けないんですか?」
『えっ?ううん、最初は家の人達も行く予定だったんだけど、二人共都合が悪くて……四人までなら大丈夫って言ってたけど……』
「でしたら問題ないですね。彩乃さんに何かあってからでは遅いので、私とリクオ様もご一緒させてください!」
『何かあったらって……名取さんはそんな人じゃ……』
「男は狼なんですっ!!」
『で、でもね、名取さんは祓い屋なの。だから氷麗ちゃん達を連れて行くわけには行かないよ!』
「えっ!?は……祓い屋!!??」
彩乃の言葉に氷麗は普段から白い肌がより一層青白く変化した。
『……うん。私が妖のことで困ったりした時とか相談にのってくれるお兄さんみたいな人なんだけどね。万が一氷麗ちゃん達に何かあったら嫌だから、連れていくことは出来ないよ。』
「……………い……いいえっ!例え祓い屋だろうと、彩乃さんの身を守る為なら行きます!!」
『えっ……でも……』
「行きますっっ!!」
『……わかった。名取さんに聞いてみるね。でももし名取さんに妖だって気付かれたら、絶対に逃げてね?』
「はい!約束します!!」
ピッ!ツーツー
彩乃の言葉に気合い十分に答える氷麗。
そして勝手に電話を切ると、リクオに振り返り笑顔でスマホを手渡した。
「やりましたよリクオ様!これで彩乃さんとご旅行に行けます!彩乃さんを男の魔の手から守れますよ!!」
「……って、何勝手に話進めちゃってるの!?しかも相手は祓い屋なんでしょ!?大丈夫なの?!」
「……ご迷惑でしたか?」
「……いや……ありがとう氷麗……(もしかして、僕の気持ちバレてる?)」
「はい!」
頬を赤く染めて氷麗に感謝するリクオ。
どこか安心したようにホッと息をつくリクオを見て、氷麗は決意する。
(リクオ様のこの恋、氷麗は応援します!!)
好きな人達には幸せになって欲しい。
大好きな主と、大切な友人の為に、氷麗は自分の中でくすぶっていた淡い恋心を諦めることにしたのだった。