第8章「黒ニャンコ編」
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山道に沿って上へと向かって移動していく光。
彩乃とニャンコ先生はその謎の光の正体を突き止める為にそっと光の方へと近づいた。
「……狐火か」
「多いね。何処に向かっているんだろ?」
光の方に近づいてみると、そこには提灯を持って山道を登っていく沢山の妖達がいた。
「……む?」
「どうした?」
「人間の匂いがするような……」
「ちっ!」
どろんっ!
彩乃とニャンコ先生が草むらに身を潜めて妖達の様子を見守っていると、彩乃(人間)の匂いに気付いた妖が足を止めてスンスンと辺りの臭いを嗅ぎ始めた。
するとそれに気付いた先生はすぐさま本来の斑の姿に戻ると、前脚で彩乃を踏みつけた。
「ぶっ!先生重い。」
「我慢しろ。私の匂いでカモフラージュしてやっているんだ。」
斑に踏みつけられている間に、どうやら妖は気のせいだと思ったのか、辺りを見回すのをやめた。
「気のせいか……寧ろこの辺りは獣臭い。」
「そういえば、昔はよく『主様』が人の匂いをつけて帰ってきておったのう。」
「そうだったな。人に化けて里で遊び、美味な土産をよく分けてくれておった。」
「それを……おのれ人間共め……」
(主様……?)
二匹の妖達が何やら話している「主様」という存在が気になった彩乃だったが、二匹の妖はいそいそと何処かに急ぐように山の上へと歩いて行ってしまった。
「……よし、行ったか……」
「おや」
妖の群れが去って行ったのを確認した斑が、漸く彩乃から前脚を退けた瞬間、一匹の蝶々が彩乃達の元に飛んできた。
黒く美しい蝶々は人の姿に化けると、美しい着物の女の妖へと姿を変えた。
「そのお姿は斑様ではありませんか……お久しゅう」
「お前は……紅峰か。」
「先生の知り合い?」
「まあな」
「ふふ、いつ見てもお美しいお姿……おや、これは人の子。お食事中でしたか。私にも是非おこぼれを……ん?この顔どこかで……ぎゃっ!夏目レイコ!?」
「阿呆声がでかい!!」
だしっ!
「ぎゃっ!!」
彩乃の顔を見て大声を上げた紅峰と呼ばれた蝶々の妖は、斑によって前脚で踏み潰されると、蛙が潰れたような声を上げるのだった。
…………
……
「へえ、孫ねぇ……」
「だから、私はレイコさんではないよ。」
「しかし、ふふ。相変わらず短気なお方だ。」
「紅峰、この辺で紙の束をくわえた黒くてラブリーな猫を見なかったか?」
「黒くてラブリー?その猫が何か?」
「いや、知らんならいい。さっきのあの妖の列は何だ。」
「この森の妖が集まって飲み会です。……ああ、そういえば……頭のでかい不細工な黒猫が会場(そこ)へ向かうのを見ました。」
「それだ!紅峰、そこへ私達を連れていって!」
「正気かい?人の子が行けばすぐに食われてしまうよ夏目。」
「だったら妖に化けて行くから!お願い!!」
「しかしねぇ……」
「私にはどうしてもあの黒猫を見つけないといけない責任があるの!だから紅峰!!」
じっと真っ直ぐに紅峰の目を見つめながら頼めば、紅峰は何を思ったのかくすりと口角を吊り上げて笑った。
「……生意気な目ともの言いは確かに少しレイコに似ているか。そこが気に入っているのですか?」
「阿呆か。くだらんことを言ってると喰うぞ!」
「ふふ、この人の子がどこまでやれるか見守るのも面白そうだ。よし、夏目。連れていって差し上げましょう。上手く妖に化けきれれば良し、もし人の子とバレることになれば、その時は皆の肴になって頂きましょう。」
「――わかった。頼むね。」
彩乃がその条件を飲むと、紅峰は妖しく微笑むのだった。
「頑張ろうね、先生。」
「お前はまた勝手なっっ!」
どろんっ!
「ぎ……ぎゃあああーー!?斑様がちんちくりんにーーっっ!!??」
ニャンコ先生が依代の姿に戻ると、それを初めて見た紅峰はこれでもかという程目をひんむいて驚いた。
そして悲鳴にも近い声で絶叫するのだった。
「……うううう……おいたわしい……」
「こっちか、酒はー!!」
「お酒を飲みに行くんじゃないんだからね!!」
あれから簡単に先生が招き猫に封印されていた事情を話すと、変わり果てた斑の姿に、紅峰は会場に着くまでずっと先生を哀れんで泣き続けたのだった。
彩乃とニャンコ先生はその謎の光の正体を突き止める為にそっと光の方へと近づいた。
「……狐火か」
「多いね。何処に向かっているんだろ?」
光の方に近づいてみると、そこには提灯を持って山道を登っていく沢山の妖達がいた。
「……む?」
「どうした?」
「人間の匂いがするような……」
「ちっ!」
どろんっ!
彩乃とニャンコ先生が草むらに身を潜めて妖達の様子を見守っていると、彩乃(人間)の匂いに気付いた妖が足を止めてスンスンと辺りの臭いを嗅ぎ始めた。
するとそれに気付いた先生はすぐさま本来の斑の姿に戻ると、前脚で彩乃を踏みつけた。
「ぶっ!先生重い。」
「我慢しろ。私の匂いでカモフラージュしてやっているんだ。」
斑に踏みつけられている間に、どうやら妖は気のせいだと思ったのか、辺りを見回すのをやめた。
「気のせいか……寧ろこの辺りは獣臭い。」
「そういえば、昔はよく『主様』が人の匂いをつけて帰ってきておったのう。」
「そうだったな。人に化けて里で遊び、美味な土産をよく分けてくれておった。」
「それを……おのれ人間共め……」
(主様……?)
二匹の妖達が何やら話している「主様」という存在が気になった彩乃だったが、二匹の妖はいそいそと何処かに急ぐように山の上へと歩いて行ってしまった。
「……よし、行ったか……」
「おや」
妖の群れが去って行ったのを確認した斑が、漸く彩乃から前脚を退けた瞬間、一匹の蝶々が彩乃達の元に飛んできた。
黒く美しい蝶々は人の姿に化けると、美しい着物の女の妖へと姿を変えた。
「そのお姿は斑様ではありませんか……お久しゅう」
「お前は……紅峰か。」
「先生の知り合い?」
「まあな」
「ふふ、いつ見てもお美しいお姿……おや、これは人の子。お食事中でしたか。私にも是非おこぼれを……ん?この顔どこかで……ぎゃっ!夏目レイコ!?」
「阿呆声がでかい!!」
だしっ!
「ぎゃっ!!」
彩乃の顔を見て大声を上げた紅峰と呼ばれた蝶々の妖は、斑によって前脚で踏み潰されると、蛙が潰れたような声を上げるのだった。
…………
……
「へえ、孫ねぇ……」
「だから、私はレイコさんではないよ。」
「しかし、ふふ。相変わらず短気なお方だ。」
「紅峰、この辺で紙の束をくわえた黒くてラブリーな猫を見なかったか?」
「黒くてラブリー?その猫が何か?」
「いや、知らんならいい。さっきのあの妖の列は何だ。」
「この森の妖が集まって飲み会です。……ああ、そういえば……頭のでかい不細工な黒猫が会場(そこ)へ向かうのを見ました。」
「それだ!紅峰、そこへ私達を連れていって!」
「正気かい?人の子が行けばすぐに食われてしまうよ夏目。」
「だったら妖に化けて行くから!お願い!!」
「しかしねぇ……」
「私にはどうしてもあの黒猫を見つけないといけない責任があるの!だから紅峰!!」
じっと真っ直ぐに紅峰の目を見つめながら頼めば、紅峰は何を思ったのかくすりと口角を吊り上げて笑った。
「……生意気な目ともの言いは確かに少しレイコに似ているか。そこが気に入っているのですか?」
「阿呆か。くだらんことを言ってると喰うぞ!」
「ふふ、この人の子がどこまでやれるか見守るのも面白そうだ。よし、夏目。連れていって差し上げましょう。上手く妖に化けきれれば良し、もし人の子とバレることになれば、その時は皆の肴になって頂きましょう。」
「――わかった。頼むね。」
彩乃がその条件を飲むと、紅峰は妖しく微笑むのだった。
「頑張ろうね、先生。」
「お前はまた勝手なっっ!」
どろんっ!
「ぎ……ぎゃあああーー!?斑様がちんちくりんにーーっっ!!??」
ニャンコ先生が依代の姿に戻ると、それを初めて見た紅峰はこれでもかという程目をひんむいて驚いた。
そして悲鳴にも近い声で絶叫するのだった。
「……うううう……おいたわしい……」
「こっちか、酒はー!!」
「お酒を飲みに行くんじゃないんだからね!!」
あれから簡単に先生が招き猫に封印されていた事情を話すと、変わり果てた斑の姿に、紅峰は会場に着くまでずっと先生を哀れんで泣き続けたのだった。